日本IBM、圧縮やアクセス制御などの機能が強化された「DB2 V10.1」
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は10日、データベース管理ソフトの新版「IBM DB2 V10.1」を発表した。セキュリティと大量データへの対応を強化しているとのことで、まず4月30日よりダウンロード提供を開始。6月11日からはメディアパックでも提供を開始する。価格は、66万9800円(税別)から。
新版では、まず、個々のデータに対してアクセスを制御可能な「Row and Column Access Control(RCAC)」が全エディションの標準機能として追加された。従来であれば、表の行や列ごとでしか制御できなかったアクセス制御が、行と列の両方でも制御できるようになり、個々のデータに対してアクセス設定を行えることから、特にクラウド環境でのデータベース共有において、プライバシーや機密データの保護に貢献するとした。
また、データ圧縮効率を高めてストレージ容量を削減するデータ圧縮機能「アダプティブ圧縮」機能も提供される。データベースの1つの表は、複数のページにわたって格納されたデータから構成されているが、従来版ではページごとの圧縮機能のみが提供されていた。しかしアダプティブ圧縮では、ページごとに圧縮した後に、さらに表全体で圧縮できるため、従来より圧縮効率が高まるとのこと。IBMによるテストでは、従来の圧縮機能では、54.1GBのデータが約40%の21.2GBに圧縮されたのに対し、新版の圧縮機能では約16%にあたる8.4GBまで圧縮できたという。
このほか、データ参照・更新速度向上への対応が強化され、データを格納するストレージシステムを、使用頻度に応じて選択できるようになった。使用頻度の高い表のデータをアクセス速度の高いストレージへ格納可能なため、パフォーマンスの最適化が図れるとしている。
さらに、現在のデータだけでなく、過去に入力したデータ、更新履歴の参照と、将来にわたって変化するデータの入力ができる「タイム・トラベル参照」機能が追加されているのも特徴。キャンペーンやセールのように、季節的に変動する商品の価格や予測需要といった、時間の経過とともに変化する将来のデータを事前入力して、簡易的な分析を行えるだけでなく、業務分析などにおいても、売り上げや利益の推移を過去の財務データから標準的なSQLを使用して参照可能になっている。