シマンテック、仮想化対応やストレージ連携を強めた「NetBackup 7.5」


代表取締役社長の河村浩明氏

 シマンテック株式会社は、データ保護ソフトの新版「Symantec NetBackup 7.5」を3月6日に発売する。価格は62万円から。

 NetBackupは、物理・仮想、さまざまなOS、ハードウェアが混在する異機種混在環境においてデータを保護する大規模向けバックアップソフト。企業データをテープ、ディスク、クラウドストレージなど多用なメディアに保護し統合的に管理し復旧できる。重複排除機能を備え、重複排除を行う場所をクライアント、メディアサーバー、アプライアンスとニーズに合った場所を選べるのも特徴。

 新版では「仮想化対応」「高速バックアップ技術」「重複排除」「ストレージ連携」「ディザスタリカバリ」などにおける機能強化を図った。

 仮想化環境への対応強化としては、全体のバックアップイメージからファイル単位のリカバリを実現する「GRT(Granular Recovery Technology)」を拡張。X線のように透過的に仮想マシンの状態を可視化できる「V-Ray」機能を強化し、新たに「アプリケーションGRT」を実装した。これにより、VMware vSphere上のExchange/SharePoint/SQL Serverからメール/ファイル/データベースに至るまで、VMware vShpereのバックアップイメージから、特別なエージェントを用意することなく、きめ細かいデータアイテム単位でリストア可能となる。

 「高速バックアップ技術」としては、「NetBackup Accelerator」を実装した。差分・増分バックアップからワンポリシーでフルバックアップを自動作成する機能。従来のフルバックアップにかかった時間が差分・増分バックアップ程度に短縮されるため、処理時間を大幅に削減。「100倍、あるいはそれ以上の速さを実現する」という。

 この機能により、管理者の手間も削減される。従来、バックアップは初回のフルバックアップ、日々の差分・増分バックアップ、定期的なフルバックアップが必要だったが、NetBackup Acceleratorでは、初回のフルバックアップ以降は日々の差分・増分バックアップでフルバックアップイメージが自動作成されるため、定期的なフルバックアップが不要になるからだ。バックアップのスケジューリングをシンプル化できる。

 「重複排除」では、増大するバックアップデータに対応するため、重複排除後のデータ容量を従来の32TBから64TBまで拡張した。より多くのデータ量を長期にわたって保護できる。また、従来のSAN、DASに加え、iSCSIストレージもサポートし、ストレージディスクの選択肢を増やした。

 「ストレージ連携」としては、「NetBackup Replication Director」を実装した。NetBackupのOpenStorage技術を使って、ストレージベンダー各社のハードウェアに備わるスナップショット/レプリケーション技術をNetBackupと連携させ、より高速なバックアップとリカバリを実現する機能。従来、バックアップとスナップショット/レプリケーションは別々に管理されていたが、ストレージで複製された何百ものスナップショットをNetBackup管理コンソールから一元管理できるようになる。まずはNetApp製品と連携させ、順次ラインアップを拡充する方針。

 併せて、クラウドストレージ対応も強化した。NetBackupでは、バックアップデータを特定のクラウドストレージへ転送・保管できるが、旧版では米Nirvanixのデータセンターのみが対象だった。新版では、AT&T、Amazon Web Services、Rackspaceのクラウドストレージもサポートした。

 「ディザスタリカバリ」では、バックアップイメージの複製を重複排除しながら遠隔地に自動転送する機能「Auto Image Replication」を強化した。カタログデータを含めた完全なデータを自動的に複製し、DRサイトに転送する同機能において、BMR(ベアメタルリカバリ)をサポートする。これにより、仮想環境におけるシステム情報もデータ情報と合わせて完全な形でDRサイトに転送するため、DRサイトで必要なOS再インストールやハードウェア設定を最小化し、リカバリプロセスを簡略化するという。

Symantec V-RayReplication Director

 なお、発表会には富士通、日立、NECがパートナーとして登壇した。

富士通 IAサーバ事業本部長の近藤博昭氏日立 RAIDシステム事業部長の岩崎秀彦氏NEC プラットフォームマーケティング戦略本部長の秋本富士夫氏

 富士通 IAサーバ事業本部長の近藤博昭氏は「両社製品を連携させることで仮想化に最適なバックアップを提供したい。大量のデータをどうバックアップしていくか。すでに当社サーバー・ストレージとNetBackupの共同検証を進めており、大規模仮想化環境のバックアップとしてはNetBackupを推奨している。今後はETERNUSとReplication Directorとの連携を早期に進めるほか、クラウド・データセンター向けソリューションの共同製品も展開していく」とした。

 日立 RAIDシステム事業部長の岩崎秀彦氏は「幅広く協業している。NetBackupを『JP1/VERITAS』とJP1ブランドで提供しているほか、JP1/VERITASをHarmounius Cloudにも展開。ストレージ製品との連携も進めている」とした。

 NEC プラットフォームマーケティング戦略本部長の秋本富士夫氏は「仮想化におけるクラウド事業において協業している。2011年12月には『スマートバックアップソリューション』を発表した。今後は同社が推進する、サーバー・ストレージ・ネットワークの『まるごと仮想化』において、新たな共同ソリューションを創出したい」とした。

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