東工大・青木教授の研究グループがゴードンベル賞・特別賞を受賞

東工大GSICのスパコン「TSUBAME2.0」はダブル受賞


 東京工業大学学術国際情報センター (GSIC) の青木尊之教授らのグループが、スパコンの国際会議SC11でゴードンベル賞・特別賞を受賞した。

 青木教授らの研究チームは、今年度のスパコンの実用問題に対する計算で 2.0ペタフロップス(単精度)を達成。米国シアトル市で開催されているSC11で発表。計算内容は合金の凝固過程において形成されるデンドライト(樹枝状結晶)をフェーズフィールド法という理論で計算するもので、軽量高強度な新材料の開発などに大きく貢献すると期待されているという。

 計算手法は、空間を格子状に分割し、その格子点上で非線形な方程式を有限差分法で解く(格子法またはステンシル計算と呼ばれる)手法を用いた。これまで格子法はプロセッサのピーク性能に対して高い実行性能(フロップス値)を引き出すことが難しいと言われてきたが、青木教授の研究チームはピーク性能2.4ペタプロップス(倍精度)/4.8ペタプロップス相当(単精度)のNVIDIA製Tesla GPUを大量に搭載したスパコンTSUBAME2.0において、ピーク性能に対して44.5%と極めて高い実行性能を達成した。

 今回のSC11のゴードンベル賞では、25件以上のエントリーから5件のファイナリストが事前選出され、その中から理研を中心としたグループが「京」コンピュータを使った計算でゴードンベル賞のもう1つの本賞である「ピークパフォーマンス賞」を受賞し、TSUBAME2.0と合わせて日本が2つある本賞を独占。

 日本の両賞の独占は、2002年の地球シミュレータ以来の快挙だという。また、イタリアのThe National Research Council (CNR) とGSICとの共同チームがTSUBAME2.0を使った血流のシミュレーションもファイナリストとなった上、奨励賞(Honorable Mention)を受賞。TSUBAME2.0としても、ダブル受賞となった。

 特別賞を受賞した論文は、「TSUBAME 2.0スパコンにおける樹枝状凝固成長のフェーズフィールド法を用いたペタスケール・シミュレーション(Peta-scale Phase-Field Simulation for Dendritic Solidification on the TSUBAME 2.0 Supercomputer)」。研究チームには、東工大メンバーのほか、京都工芸繊維大学工学部も参加している。

Al-Si 合金の樹枝状凝固成長過程



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