大塚商会、2010年度決算は3年ぶりに増収増益に


代表取締役社長 大塚裕司氏
2010年12月期決算概要

 株式会社大塚商会は1日、2010年度(2010年1月1日~2010年12月31日)の決算を発表した。

 連結売上高は、前年比7.8%増の4634億9300万円、営業利益は同18.1%増の190億1300万円、経常利益は同18.8%増の195億0800万円、当期純利益は同21.1%増の106億3100万円となった。

 単体では売上高は前年比7.7%増の4329億1900万円、営業利益は同20%増の175億9600万円、経常利益は同19.7%増の182億8200万円、当期純利益は同21.9%増の100億1800万円。

 大塚裕司社長はこの結果について、「景気は緩やかに持ち直しつつあり、当社が把握できる景気の指針となる、一日あたりのコピー用紙出荷量も2009年を底に、2010年夏以降、新記録を継続している。IT投資も更新需要を中心に、持ち直し傾向にある。その結果、2007年度以来、3年ぶりの増収増益決算となった。売上高はほぼ2年前の水準に戻っているものの、収益は保守を含め粗利がダウンしているためそこまで戻っていない。ただ、前期が厳しい状況だったために対前年同期比は順調に推移している」と説明。

 また、「計画比については、昨年の10月29日、年初計画を2007年度以来の上方修正を実施したが、単体では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益ともに目標を上回ったものの、連結では売上高が3億円足りず、計画比99.9%達成にとどまった」と話している。


連結売上高と利益の状況連結売上高の四半期推移。「第1四半期の売上高は自民党政権時代に決まっていたICT特需で学校案件が大きく伸びた」(大塚社長)

 セグメント別では、システムインテグレーション事業が前年比11.8%増の2535億4100万円、サービス&サポート事業が同3.5%増の2080億800万円、その他の事業が同15.5%減の19億4200万円となった。

 「景気が回復するとSI売上高が伸びる。単体での詳細セグメント別売上高では、受託ソフトの売り上げのみ前年を下回っているが、これはパッケージへのシフトが進み、受託ソフトの事業自体が縮小傾向にあるため」(大塚社長)。


連結セグメント別売上高単体詳細セグメント別売上高
単体顧客企業の年商別売り上げ構成

 顧客企業の年商別売り上げ構成では、売り上げ10億円未満の企業の割合が27.94%、10億円から100億円未満の企業が28.31%、100億円以上が43.75%となった。

 「どの年商規模のお客さまの売り上げも増加している。ここ数年、厳しい環境が続いていた、売り上げ10億円未満のお客さまも伸長した。これは大塚商会が中小企業のお客さまに支えられてビジネスが伸長した原点に戻り、(オリジナル顧客管理システムの)SPRに頼った営業活動を、地域に密着した足で稼ぐ営業活動へ原点回帰した結果が業績に表れた」と中小企業向けビジネスに注力する姿勢を強調した。

 重点戦略事業の状況としては、サーバーは対前年同期比12.4%増の364億0500万円、パソコンは33.2%の6663億3200万円となった。

 「パソコンの売り上げは、業界団体であるJEITAのデータと比較してもかなりの高レベルとなっているが、Y2Kからの更新期である2005年前後に導入されたパソコンのリプレース需要はこれから。Windows 7によるリプレースが本格化するのはこれから」と好調なパソコンの売り上げはさらに上昇させることができるとの見通しを示した。

需要喚起が見込まれるIPv4からIPv6への移行支援サービスのベースとなる、IPv4の枯渇状況
今回、初めて公開された主なWebサービスの利用人数推移

 その要因の1つとなるのが、IPv4が枯渇し、IPv6への移行による需要。「Windows XPはIPv6に対応していない(編集部注:対応してはいるが完全ではない)ため、IPv6への切り替えを行った企業と、IPv4のままの企業との間でメールが届かないといった事態が起こる可能性がある。当社では移行支援サービスをスタートしており、今後需要が出てくるのではないか」と、特需が期待できるとした。

 また、今回初めてASPなどWebサービスの利用者数を発表した。

 「これまで公表してこなかったが、1999年からASP型のWebサービス事業をスタートし、2010年で103万人の利用者が存在し、さらに増加していくものと考えることができる。提供しているサービスは現在のクラウド、SaaSに近いものだが、あえてASPという名称でサービスを提供していく」。

2011年度の連結売上高・利益の計画
2011年に向かえる創業50周年に向けての活動予定

 2011年度については、連結売上高は対前年同期比4.9%増の4860億円、営業利益は10.4%増の210億円、経常利益は10.2%増の215億円、当期純利益は0.8%増の107億2000万円。

 セグメント別では、システムインテグレーション事業が5.7%増の2681億円、サービス&サポート事業が4.1%増の2165億円、その他の事業が27.9%減の14億円。

 大塚社長は、2011年のIT市場に対し、「昨年3月期のICT特需がない分、今年は慎重な見通しとしたい。ただし、先ほどお話ししたようにY2K後のパソコンリプレース需要や、Windows XPパソコンはIPv6非対応であることがきっかけとなって需要が見込めるのではないか」とIT市場については特需があった昨年と比較し、踊り場状態となり、本格的なIT需要回復期は下期以降との見通しを示した。

 大塚商会自身は2011年に50周年を迎えることから、「私が小学校3年生の時に、先代社長である父が30万円でできた会社。原点に戻り、足を使って営業活動を行い、現在66%を占める単品取引のお客さまを、セット商品の利用によりより大きなソリューションを利用してもらうことを目指す」という方針を掲げ、植林活動、環境対策事業、Webサイトでの歴史紹介などの記念事業を行う。

 中期計画としては、人員計画は基本的に横ばいで、増収増益をはかり、営業利益率、経常利益率と共に現状4.2%の利益率を過去最高の6.5%を超える7%を目標値としていく。

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(三浦 優子)
2011/2/2 06:00