日本HP、通信事業者の新サービス創出を支援する「HP SNAP」

パケット定額から柔軟な従量課金へ


HP SNAPの概要

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は30日、通信事業者などのサービスプロバイダが、エンドユーザーの要望に応じた柔軟なサービス・課金を提供できるよう支援するソリューション「HP Subscriber Network and Application Policy(以下、HP SNAP)」を発表した。

 併せて、HP SNAPの基盤となるシステム運用管理構築を支援するソフトウェアソリューションおよびコンサルティングサービス「HP Next Generation OSS拡張ソフトウェアソリューション(以下、HP NGOSS拡張ソリューション)」、「HPソリューションコンサルティングサービス(以下、HP SCS)」も発表。6月30日より順次提供を始める。

 HP SNAPは、固定・携帯などの通信事業者向けのソリューション。エンドユーザーのサービス利用状況やネットワーク帯域に応じた課金など柔軟なポリシー管理を実現する製品だ。ユーザーがその時々に求めるサービスレベルに合わせてネットワークをコントロール(ポリシーを管理)し、顧客満足度の向上と投資の最適化を図る。

 具体的な機能としては、ネットワーク・加入者・アプリケーションに応じて提供するサービスを変更するポリシー管理機能「HP Unified Policy Manager」、加入者・プロファイル情報に基づき、セグメント化やスコア付けする分析機能「HP Dynamic Profiler」、リアルタイム課金によるサービス/料金モデルを実現する「HP Real-time Charging」、加入者・プロファイル情報に応じてプロモーション情報をプッシュする「HP Promotion&Campaign Manager」の4つ。

米HP コミュニケーション・メディアソリューション バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのアーワン・メナード氏

 これらで何が実現するのか。通信サービスは現在、パケット量をベースとした定額サービスなどが主流だ。しかし、「高速ネットワークの普及や魅力的な端末、多様なサービス・アプリの普及で、個々の利用状況を省みない全員一律の定額モデルから、ユーザーごとの利用状況に応じた課金モデルへの転換が求められている」と、米HP コミュニケーション・メディアソリューション バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのアーワン・メナード氏は指摘する。

 HP SNAPでは、ネットワーク・加入者・アプリケーションの状況を分析し、それに応じてサービスや課金方法を変更できるようになる。これにより、「高額な定額サービスに加入しなくても、サービス利用時に適切なサービスプランを提示し、すぐにそのサービスを利用可能な状態にする」、「モバイル端末で動画を見る場合などに追加料金を払うことで、今だけレスポンスが落ちないようにする」、「海外ローミング時にはリアルタイムに利用状況を確認し、リミットも設定可能にする」といった、通信事業者における新たなサービスモデルが実現するという。

 エンドユーザーから見れば、「今だけ、使いたい」というニーズが満たされ、「例えば、ライブストリーミングでサッカーW杯の決勝戦が見たいが、パケット定額に加入していない。まもなくキックオフというときに、1日だけのパケット定額プランをおサイフケータイ支払いで申し込むといったことが可能になる」(通信・メディアソリューションズ統括本部 シニアエグゼクティブコンサルタントの伊藤亮氏)。

「パケット」ベースのサービスから、「特定ユーザー・アプリ」を識別したサービスへ例えば、定額プランの「今だけ、使いたい」に応える
HP SCSの概要

 一方、HP NGOSS拡張ソリューションとHP SCSでは、通信事業者の「フルフィルメント」(新サービスが申し込まれてから提供開始までの社内業務)や、「アシュアランス」(サービスレベルのリアルタイム監視などのサービス保証業務)を改善する。

 通信・メディアソリューションズ統括本部 エグゼクティブコンサルタントの丹羽正一郎氏は「HP SNAPなどによって新しいサービスが展開しやすくなっても、現状では運用監視などのシステムが設備ごとに多数独立して存在していることから、新サービス運用への対応に時間がかかったり、コスト増となって収益機会を失ったりすることがある」と指摘。

 日本HPでは従来より、通信事業者向けに、業務運用が最適に行われるよう「コンサルティング」「構築」「運用管理」の面からシステム構築支援を行ってきた。この取り組みを拡張したのがHP NGOSS拡張ソリューションとHP SCSという。

 具体的にHP NGOSS拡張ソリューションでは、個別顧客ごとのサービスレベル管理を実現する「HP Universal SLA Manager」、ITILベースのヘルプデスク機能を提供する「HP Problem Manager」、異なるデータベース間の情報流通を支援する「HP Unified Topology Manager」、サーバー群やネットワーク機器の性能データを収集して、しきい値管理やレポート作成を支援する「HP Performance Management」を用意。いずれもソフトウェアソリューションとして提供する。

 一方、こうした「運用支援環境の変革」をコンサルテーションするHP SCSでは、業務プロセスを中心としたアセスメント「SPA(Service Process Assessment)」、システムアーキテクチャを中心としたアセスメント「TAA(Technical Architecture Assesment)」、移行プロジェクトの計画支援とプロジェクト管理を行う「BTG(Business Transformation Governance)」を用意。

 今回発表の製品はいずれもソフトと導入支援サービスとの組み合わせでの提供となるため、価格は個別見積もり。

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(川島 弘之)
2010/7/1 06:00