メルー、無線LANソリューションの事業戦略を説明-日本市場でのビジネス拡大に注力


米Meru Networks プレジデント兼CEOのイハブ・アブー・ハキマ氏

 メルー・ネットワークス株式会社(メルー)は6月22日、米国本社のNASDAQ新規上場および、日本法人の新社長就任にともなう記者発表会を開催。無線LANソリューションのビジネス戦略や同社製品の優位性、今後の日本市場向け戦略などについて説明した。

 まず、米Meru Networks プレジデント兼CEOのイハブ・アブー・ハキマ氏がグローバル市場での事業概況について、「当社は、有線並みの品質とパフォーマンスを無線で提供することをコンセプトに、他社に先駆けてエンタープライズ領域でのオール無線化を推進してきた。現在は、データ・音声・ビデオ・アプリケーションを同時利用できる802.11n WLANソリューションにおいてリーディングベンダーの地位を確保しており、世界38ヵ国、3000以上の顧客が当社製品を採用している」と述べ、エンタープライズ無線LAN市場のけん引役を担ってきたことを訴えた。

 そして、「これまで無線LANは、電子メールやインターネットにアクセスするだけの手段だったが、iPhoneやiPadなどの登場をきっかけにエンタープライズ領域での無線LANニーズが急速に高まっている。このニーズに応えるためには、ミッションクリティカルで高密度なネットワーク環境に対応できる高品質の無線LANソリューションが必要だ。しかし、“マイクロセル”による第三世代の無線LANアーキテクチャでは、カバレッジホールが発生するほか、アクセスポイントの追加なども難しく、エンタープライズ領域への適用は難しいのが実情。これに対して、当社のアーキテクチャは、無線LAN環境を仮想化することで、カバレッジホールを完全になくし、ミッションクリティカルな環境でも常に安定した通信を提供する」と、エンタープライズ領域における同社無線LANソリューションの優位性を説明した。

メルーのビジョン:エンタープライズのオール無線化エンタープライズ規模の無線利用革命メルーの無線LAN仮想化の特長

 またハキマ氏は、NASDAQ上場の件についても触れ、「世界的に厳しい経済環境の中でのNASDAQ上場は、当社にとってチャレンジだった。無事に上場できたのは、ビジネスパートナーの協力があってこそ。特に、日本のパートナーやユーザーの支援がなければ、上場は難しかっただろう」と、日本市場でのビジネス展開がNASDAQ上場の大きなカギを握っていたという。

 実際に、同社では日本市場に向けた無線LANソリューションの事業拡大に力を注いでおり、「1年半前は、当社ユーザーのほとんどが音声系ソリューションだったが、大学を中心に無線LANソリューションを推進した結果、現在では国立大学の約14%まで当社ソリューションの導入が拡大している」(ハキマ氏)という。

 北米市場以外のビジネスを担当するMeru Networks インターナショナル・セールス担当バイスプレジデントのデイビッド・ケリー氏は、「3年前、北米以外のインターナショナル市場は売り上げ全体の10%にすぎなかった。しかし、現在では30%にまで売上比率が伸びてきている。この伸びを支えているのが日本市場でのビジネスだ。そして、日本でのビジネスモデルをアジア各国で展開し、さらなる市場拡大を進めている。今後も、パートナー各社との協力体制を強化し、引き続き日本市場でのビジネス展開に力を注いでいく」と、日本市場の重要性をあらためて強調した。

米Meru Networks インターナショナル・セールス担当バイスプレジデントのデイビッド・ケリー氏メルー・ネットワークス代表取締役社長の司馬聡氏

 最後に4月1日付で日本法人の新社長に就任した司馬聡氏があいさつ。「日本では、スマートフォンが急速に普及しているが、これにともなってWi-Fiの端末設備の密度が高まり、行き詰まりつつある。しかし、当社の無線LANソリューションであれば、この問題を容易にクリアすることができる。また、これから数年後には、国内企業の90%以上が無線LANを利用するようになると見ており、そのニーズに対応できるのも当社のソリューションだけだ。こうした将来的なビジョンを見据え、ユーザーニーズに着実に応えながら日本でのビジネス拡大を目指していく」と、新社長としての抱負を述べた。


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(唐沢 正和)
2010/6/23 06:00