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オラクル、開発者向けの新たな取り組み 積極的なコミュニティ活動を通じてエンジニア層の充実を目指す

 日本オラクル株式会社は、4月26日に開催されたOracle Cloud Platform Summit Tokyoにおいて、同社が提供する「Oracle Cloud Platform」を利用する開発者向けの新たな取り組みを紹介した。

 Oracle Cloud Platformは、非常に多岐にわたるサービスである。その中でも開発者向けとして提供されている代表的なサービスとしては、Dockerコンテナを活用してコードを実行する「Oracle Apprication Container Cloud」、クラウドベースのDevOps機能をサポートする「Oracle Developer Cloud Service」、JavaScriptの開発者向けフレームワークの「Oracle JavaScript Extension Toolkit」などが挙げられる。

 日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 室長の竹爪慎治氏は、「Oracle Cloud Platformは、PaaSとIaaSのレイヤーにあるサービス。無駄なセットアップやコンフィギュレーションをすることなく、付加価値の高いサービスをすぐに利用することができる。この恩恵をもっとも受られるのは開発者」と述べた。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 室長の竹爪慎治氏

 開発者に向けてさまざまなサービスを提供するにあたり、オラクルでは3つのプライオリティとして「マイクロサービス」「機械学習」「JavaScript」を設定しているという。これらの分野をオラクルでは現在のカッティング・エッジと認識し、今後も伸びていくことを予想している。

 竹爪氏は「オラクルはテクノロジーベンダー、もしくはクラウドサービスプロバイダとして、すでにこれらの分野のテクノロジーをお客様に提供しており、今後も積極的に展開していく」と述べ、さらに「開発者の皆さまには、これらオラクルのテクノロジーを理解してもらうため、技術ナレッジ、サンプルコード、さらにはこれらを活用したアプリケーションや新しいアイデアのプロトタイプなどを開発者コミュニティに積極的に発信していきたいと考えている」とした。

 多くの開発者にOracle Cloud Platformのテクノロジーを理解してもらうための取り組みとして、同社のエバンジェリストである中嶋一樹氏は、すでに展開しているいくつかの取り組みを紹介した。

 最初に中嶋氏が紹介したのは、Increments株式会社が提供する技術情報共有サイト「Qiita」に、日本オラクルはコーポレートのアカウントを作成して情報発信を行っているというもの。「すでにオラクルの50人強のエンジニアが、情報の発信を始めている」と中嶋氏。他にもサンプルアプリなどのコードはgithubで公開していることや、MeetupやYoutubeといったサービスを利用し、技術情報の共有を積極的に推進している。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 エバンジェリストの中嶋一樹氏
中嶋氏自身も積極的にQiitaに投稿している。

 また、オンラインだけの取り組みにとどまらず、日本全国で勉強会の開催も行っている。2016年1月に立ち上げた勉強会だが、すでに500人近いエンジニアが参加しているとのこと。これまで勉強会で取り上げたテーマとしては、「IoT」「機械学習」「サーバレス」などがある。また、近々スタート予定の取り組みとして、比較的初心者に近いエンジニア向けのBootcampを計画しているという。

 また、中嶋氏はアプリケーション開発者向けに永年無料で使用できるアプリケーション開発ツール「Application Express(APEX)」のコミュニティは、ワールドワイドのレベルでは積極的に展開されていることを紹介した。まだ日本からの参加者はあまり多くはないが、今後は日本でも広げていく方針であるという。

 なお、オラクルと言えば認定資格であるOracle Master制度が有名であるが、新たにクラウド活用のスキルを証明する認定資格として「Oracle Master Cloud」も発表された。2016年5月より順次国内で提供を開始する。

北原 静香