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阪九フェリー、基幹システムの仮想化移行でストレージ高速化製品「PernixData FVP」を採用

VMware環境のI/O性能を改善、スループットは約10倍に

 株式会社ネットワールドは18日、阪九フェリー株式会社が、ネットワールドが取り扱う米PernixDataのストレージ高速化プラットフォーム「PernixData FVP」を導入したと発表した。同社は、基幹業務システムをVMware vSphereの仮想化基盤に集約するにあたり、高性能で止まらないシステムを実現するため、PernixData FVPを採用したという。

 PernixData FVは、VMware基盤を構成する複数の物理サーバー上で、フラッシュデバイスをクラスタ化してキャッシュバッファとして利用し、性能を向上させるソリューション。物理サーバーに特別な装置を増強することなく、必要容量のフラッシュデバイスを追加するだけで、VMware環境のI/O性能を改善できる。

 九州と大阪・神戸を結ぶ長距離フェリーを運営する阪九フェリーでは、2年前から開発系サーバーやWebサーバーなどを仮想化基盤で稼働させており、その成果を踏まえて、新たに基幹業務システムも仮想化基盤に集約することにした。しかし、経理や請求、予約関連業務などの重要システムが対象となる上、高負荷なデータベースサーバーを稼働させることから、いかに“高性能で止まらないシステム”を実現するかが課題になっていた。

 そこで同社では、基幹システムでも安心して適用できるよう、データの整合性や耐障害性を高める仕組みを備えていることや、フラッシュ搭載ストレージより導入コストを抑えられる点を評価し、PernixData FVPの採用を決断した。また、予約系の業務システムではリード(読み込み)処理がメインとなるが、データベースではライト(書き込み)処理も多く発生することから、リード/ライトの双方に両方でキャッシュが効く点も選定の重要なポイントになったという。

システム構成図

 新しい仮想化基盤は、2015年8月~9月にかけて段階的に本稼働を開始した。構成としては、2台の物理サーバーにそれぞれ200GB×2台のフラッシュデバイスを搭載している。導入後の調査では、直近の1カ月間で9100万回のリードをキャッシュ上で処理し、約2.7TB分のトラフィックを削減。ライトは4400万回分の処理を高速化し、スループットも約10倍に向上した。実際の業務に適応した結果、10月末にあった、年末のチケット予約のピークのタイミングでも、ストレージへの負荷を4分の1未満に押さえ込んでおり、PernixData FVPの効果が実証されたとのことだ。

 なおシステムの構築は、ネットワールドのパートナーである九電ビジネスソリューションズ株式会社が担当している。

キャッシュヒット率が高く、ほとんどのデータがサーバーフラッシュへのリード/ライトのため、仮想マシンの性能は、サーバーに搭載されたフラッシュとほぼ同等の性能を示しているという

石井 一志