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NTT Com、映像から人間の動作を理解する人工知能「時系列ディープラーニング」開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は7日、時系列データの解析が可能なディープラーニング技術を開発し、映像データから人間の動作を高精度に検知することに成功したと発表した。

 今回NTT Comが開発した技術は、映像をフレームごとの静止画に分解し、1フレームにおける分析対象範囲内のピクセルのみではなく、近い時間軸フレームの範囲内ピクセルに対しても局所結合を行う。検知時に画像内に含まれる物体の各位置・各箇所以外に、時間軸情報を含めた3次元による解析を行うことで精度を高めた動作の特定を可能にした。画像だけでなく、時系列で変化するIoTデータ(温度、電圧などのセンサー情報)の高精度な解析も可能で、汎用性に優れているとしている。

 今月行われた実験において、「しゃがんでいる」「きょろきょろしている」「ものを置いている」など数種類の動作を対象とした検証を実施した結果、従来の解析方法の認識精度が60%弱程度であったのに対し、時系列ディープラーニングは約85%の認識精度を実現したという。

 NTT Comによると、静止画に写っている物体や人間に対する認識精度は向上したが、人間の動作など連続した時間的変化をとらえて意味を持つものに対する解析については現在も高い精度での認識が困難な状況という。今回の時系列データ解析によって、“人間の動き”を分析することが重要と考えられる防犯分野をはじめ、工場での異常検知、店舗での購買行動分析、スポーツにおけるプレー分析など、新たなビジネス領域を開拓できる可能性があるとしている。

磯谷 智仁