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TIS、独自開発のクラウドオーケストレーションソフト新版、OSSとして公開

 TIS株式会社は27日、独自開発したクラウドオーケストレーションソフト「CloudConductor」の新バージョン1.0版を、オープンソースソフト(OSS)として公開したと発表した

 CloudConductorは、複数の仮想マシン・仮想ネットワーク・仮想ストレージなどから構成されるシステム基盤全体を、設定含めて整合した状態で一挙に構築できるツール。類似の代表的なものでは「AWS CloudFormation」や「OpenStack Heat」などがある。

 1.0版には「高可用性が求められるシステムを構築するためのサンプルパターンの追加」や「システムのスケールイン・スケールアウトの対応」などの機能が盛り込まれた。これにより、「クリティカルな可用性が求められるシステムに監視やバックアップなどの運用機能も備えたシステムを自動でクラウド上に構築する」「特定のクラウドにロックインされず、稼働中のシステムを別のクラウド環境へ移行する」「災害発生時に別のクラウド上にバックアップシステムを復旧する」といった場面での適用が可能になった。

CloudConductorの全体構成図

 TISでは、CloudConductorによるシステム復旧の実証実験も積極的に進めており、2014年11月には宮城県登米市において実施された災害発生後のシステム復旧に活用された。この実験では、災害発生後に発生する一時的なシステム停止を想定し、CloudConductorを活用したクラウド間フェイルオーバーの検証。災害発生より6分53秒で重要文書システムと機器管理情報共有システムを復旧させるという成果を実現したという。

障害発生からシステム切り替えまでの流れのイメージ

 今後は、CloudConductor開発プロジェクトを通じて、近年注目されている「Software-Defined」技術を活用し、ハイブリッドクラウドなどの多種多様なシステム稼働環境を統合管理するソフトの技術開発をめざす考え。

 また、さまざまな顧客ニーズに応えるための機能拡張と同ソフトで利用するサンプルパターンを整備することで、簡単な操作で自動的にクラウド上に多数のサーバーやネットワークを適切に配置できるようにする。通常のエンタープライズシステムが必要とするバックアップ、高可用性、監視、システム運用などの非機能要求もテンプレートに組み込むことで、システムの構築から運用を網羅したクラウドオーケストレーションの実現をめざすとしている。

川島 弘之