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中小規模にも本格的な仮想環境を、日本HPが仮想アプライアンス下位モデル

「HP ConvergedSystem 200-HC」を発表

 日本HPは3日、仮想化用途向けの統合型システムのラインアップを拡充し、中規模環境向けに「HP ConvergedSystem 200-HC(以下、200-HC)」を発表した。主にHPソフトで構成した「200-HC StoreVirtual」と、VMwareソフトで構成した「200-HC EVO:RAIL」の2種類を用意する。

200-HC

 200-HCは、2Uのサイズで100VMから始められる仮想化アプライアンス。より小さな環境でも「本格志向の仮想化環境を実現できるように設計された」(同社)。必要なものはすべて構成済みで出荷され、ソフトもすべてプリインストールされる。

200-HC

 200-HC StoreVirtualには、「VMware vSphere」「VMware vCenter」「HP StoreVirtual VSA」「HP OneView InstantON」「HP OneView for vCenter」などを搭載。「HP StoreVirtual VSA」の仮想共有ストレージが筐体内に含まれるため、外部SAN環境が不要。「HP OneView InstantON」により最短15分の環境構築を実現する。

 モデルは2種類。HDDのみで構成した容量・価格重視の「240-HC StoreVirtual」と、HDD・SSDを混在させた性能重視の「242-HC StoreVirtual」。価格は1788万7000円(税別)から。

200-HC StoreVirtual概要
ストレージ構成が異なる2つのモデルを展開

 一方、200-HC EVO:RAILには、「VMware EVO:RAIL Engine」「VMware vSphere Enterprise Plus」「VMware Virtual SAN」「VMware vCenter Log Insight」「VMware vCenter Server Standard」が含まれ、VMwareフルスタックで構成される。仮想共有ストレージや15分での起動といった特長は、200-HC StoreVirtualと同様に、VMwareの技術を使って実現している。価格は3577万円(税別)から。

200-HC EVO:RAIL概要
電源オンから15分で仮想マシン作成開始

 両社の違いは、主には仮想共有ストレージを「StoreVirtual」で実現するか、「VMware Virtual SAN」で実現するかの違いとなる。技術的にはほぼ同等だ。では、なぜ両タイプを用意したか。

 「当社の顧客でもVMwareハイパーバイザーのユーザーは多く、同時にVMwareの管理ツール群を利用しているケースも多い。そういう顧客向けに、まずはVMwareフルスタック版を用意した。ただ、それだけではほかのハイパーバイザーを利用するユーザーには対応できない。240-HC StoreVirtualでも当初はVMware vSphereのみのサポートとなるが、今後はHyper-VとKVMに対応する予定で、非VMwareユーザーへの対応するための余地とした」(同社)。

主なスペック

 加えて、料金体系も刷新。オンプレミスのシステムについて、サーバー単位、ストレージ(GB/TB)単位、SANポート単位などのリソースの使用状況に応じた従量課金を提供する「HPフレキシブルキャパシティ」を拡張し、新たにVM単位の従量課金を提供する。米HPが提供するクラウドサービスで採用されている課金モデルを踏襲し、VMのスペックごとに係数を設定。そこに利用したVMの数を掛け合わせることで金額を算出し、従量課金を可能にする。ただ、当初は200-HCは未対応で、将来的に対応する予定とのこと。

HPフレキシブルキャパシティ概要
従量課金の概要

 想定用途としては、「1システム100台の汎用仮想サーバー」「1システム250台の仮想デスクトップ」「リモートオフィス・ブランチオフィス」「仮想プライベートクラウド基盤の構成要素」などを挙げている。

 このほか、200-HC StoreVirtualをベースに、OpenStackを採用したプライベートクラウド向けアプライアンス「HP Helion CloudSystem 200-HC」も提供する予定。中小規模やスモールスタート型のプライベートクラウドを迅速、低コストに導入できるとしている。

川島 弘之