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日本HP、Cloud FoundryベースのPaaS基盤「Helion Development Platform」

“価格破壊を実現”

HP Helion Development Platform

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は20日、ハイブリッドクラウド環境の構築や活用、管理を可能にするアプリケーション開発・実行基盤「HP Helion Development Platform」を発表した。

 Helion Development Platformは、オープンソースのPaaS基盤Cloud Foundryをベースとしたアプリケーション開発・実行基盤。日本HPのOpenStackディストリビューション「HP Helion OpenStack」向けに最適化されており、これと併用することで、ハイブリッドクラウドの導入を検討しているエンタープライズに対し、統合されたIaaS・PaaS環境を提供するという。

 一般に、アプリケーションの実行基盤を構築するためには、アプリケーション開発者とインフラ担当者が何度も打ち合わせをし、ハードウェアを手配して、その上にOSやミドルウェアなどさまざまなソフトを導入するなど、さまざまな手順が必要となる。米HP クラウドチーフテクノロジストの真壁徹氏によれば、「従来型の導入作業では、アプリケーションを動かす環境を作るまでに、(アプリケーション開発経験者としての)肌感覚で最低でも3カ月かかる」とのことで、導入作業はアプリケーション開発者にとっても大きな負担になっていたという。

 日本HPがHelion Development Platformで解決しようとしているのは、導入に際したこのような手間を削減すること。あらかじめアプリケーションの実行環境をPaaSとして用意しておくことで、開発者が必要とする環境を、簡単にデプロイできるようになる。その結果、アプリケーション稼働までのリードタイムが短縮され、ビジネスを実現するタイミングがこれまでより早くなれば、企業にとっては大きなメリットになるのだ。

米HP クラウドチーフテクノロジストの真壁徹氏
Helion Development Platform提供の狙い

 もっとも、こうしたことは他社のPaaSなど実現は可能だ。そもそもHelion Development Platformは、オープンな基盤であるCloud Foundryをベースにしているので、同じくCloud Foundryを利用しているほかのサービスと、根本部分は大きく変わらない。しかし真壁氏によれば、日本HPならではの“味付け”がいくつも施されているという。

 同氏はその1つとして、「OpenStackとの統合・連携」を挙げ、「例えばDBaaS(Database as a Service)のTroveをHelion Development Platformからうまく使えるような仕組みを盛り込んだ」と話す。そのほかにも、アプリケーションのユーザー間分離で利用するコンテナ技術にWardenではなくDockerを使っていること、マーケットプレイス機能による機能拡張を容易に行えるようにしていること(現在はβ版)などを説明した。

Helion Development Platformの技術的な特徴

 さらに日本HP クラウドビジネス統括本部の春木菊則統括本部長は、Helion Development Platformの値段を「価格破壊」と表現。「24時間のテクニカルサポートを付けたとしても、物理サーバーあたり年間9万6000円(税別)で、他社と2けた違う価格を実現していることに驚かれたのではないか。Helion OpenStackとあわせても、物理サーバーあたり18万1000円で利用できる」と述べ、使いやすい価格設定により、顧客のクラウド活用を高めていきたいとの狙いを話している。

 なおHelion OpenStackと同様、Helion Development Platformにも無償のコミュニティ版「Helion Development Platform Community」が存在する。商用版と比べて、30ノードまで、HA/DR機能なしといった制限はあるものの、サポートが不要であれば無償で利用可能。標準時間テクニカルサポート付の場合は、年間3万8000円(税別)/物理サーバーとなる。

日本HP クラウドビジネス統括本部の春木菊則統括本部長

 またHelion Development Platform商用版は、前述のように24×7テクニカルサポート付が年間9万6000円/物理サーバー、標準時間テクニカルサポート付が年間5万2000円(税別)/物理サーバーで提供される。

石井 一志