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空中に文字描いて手書き入力――富士通研が「指輪型端末」開発

現場作業を効率化

 株式会社富士通研究所(以下、富士通研)は13日、指先で文字入力などの操作が可能な指輪型ウェアラブルデバイスを開発したと発表した。フィールド業務の効率化を目的に、実証実験を経て2015年度中の実用化をめざす。

 昨今、工場やビルのメンテナンスをはじめとするフィールド業務でのハンズフリー実現など、その業務効率を向上するために、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)をはじめとするウェアラブルデバイスの活用に注目が集まっている。富士通研でも2014年2月にグローブ型ウェアラブルデバイスを開発し、実用化に向けた実証実験を進めている。

 そこで挙がったのが「入力作業の手間」という課題だ。HMDやグローブ型端末を利用しても、文字入力を行う際に結局手を使うことになり、入力が容易ではなかったという。その課題を解決するために、ハンズフリーでの文字入力の実現をめざしたのが、今回の指輪型端末だ。

2014年2月にグローブ型端末を発表。ただ文字入力について課題があった
指輪型端末の特徴

 人差し指にはめる重さ10g以下の指輪型端末に、モーションセンサー(加速度・ジャイロ・磁気)、状態表示LED、NFCタグリーダー、入力操作ボタンを実装し、「空中の指先ジェスチャによる手書き文字入力」を実現した。

 親指で入力操作ボタンを押して、空中に漢字や数字を描くと、高精度で文字入力が行える。こだわったのは「空中手書き文字入力処理技術」。紙にペンで書くときと違って、空中で文字を描く場合、文字を構成する指の動きと書き出しまでの動きを区別する必要がある。この技術では、モーションセンサーから「手書運動成分」を抽出し、一筆書きの文字軌跡を生成。軌跡から文字として不要な部分(一画ごとに次の書き出しに移る指の動き)を自動排除して、正確な文字として補正する。

 また、作業中の体の動きをノイズとして文字入力に反映しない技術も搭載した。「あまりに激しい動きを伴う現場作業だと文字入力との区別が付かなくなるかもしれないが、歩いたり、体が揺れたりする程度なら問題なく文字入力が可能」(富士通研 ヒューマンセントリックコンピューティング研究所 主管研究員の村瀬有一氏)。

主な機能
空中手書き文字入力処理技術

 漢字、数字、ひらがな、カタカナ、アルファベットの入力に対応し、漢字は画数の制限なく(複雑な漢字も)入力可能。数字は小数点も認識でき、数字のみの認識率では約95%の精度を実現したという。ただし、漢字については「評価はこれから。筆跡にクセのある場合だと認識率も下がるので、今後の課題」(村瀬氏)とのこと。

数字を入力している様子
漢字を入力している様子。一筆書きの軌跡から不要な部分を排除

 これにより、現状では一度作業を中断して行う数値入力やメモ書きを、手を止めずに実現する。利用はHMDとの併用を想定。指輪型端末に実装されたNFCタグリーダーで、操作機器などに取り付けられたNFCタグを読み取ることで、必要な情報をHMDに表示するなどの連携も可能だ。

 入力操作ボタンに特定のコマンドを割り当てることも可能で、デモではHMDに装着されたカメラ撮影を指先で行っていた。その写真にそのまま手書きメモが書き込めるイメージだ。

 グローブ型ウェアラブルデバイスとともに実証実験を行い、いずれも2015年度中の実用化をめざす。現場によっては指輪のようなものをはめられない業務もあるため、1つ1つ現場の要望を聞きながら、最適な端末の形を提案する考え。「腕時計型が最適な現場もあるかもしれない」(同氏)として、今後も端末の形を限定せずに技術研究・開発を進める方針。

(川島 弘之)