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既存資産を保護しながらクラウド・ビッグデータに対応、オラクルが技術革新アピール

Oracle Days Tokyo 2014

 日本オラクル株式会社は10月22日・23日の2日間、「Oracle Days Tokyo 2014」を開催。初日となる22日は、「Technology Day」として、オラクル・コーポレーション データベース・サーバーテクノロジー担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏、日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏が基調講演を行った。

 「オラクルデータベース製品の総責任者がカタリ、Oracle Database 30年の歩みと今後の進化 〜CloudとBigDataのための先進Database基盤とビジネスに革新をもたらすDatabase In-Memoryテクノロジー〜」と題し、10月初旬に米サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2014」で発表された内容と、最新のDatabaseテクノロジーが紹介された。

テクノロジーサービスをすべてクラウドに

 基調講演の冒頭、日本オラクルの代表取締役社長兼CEOの杉原博茂氏が登場。自身がOracle OpenWorld 2014の最前列席から撮影した、CTOとして講演を行ったラリー・エリソン氏の写真を披露しながら、OpenWorldでの発表概要と、自身が掲げた日本オラクル2020年にクラウドでナンバー1となる目標についてあらためて説明を行った。

日本オラクル 代表執行役社長 兼 CEO 杉原博茂氏
杉原社長自ら撮影したOracle OpenWorld 2014で講演するラリー・エリソン氏

 2020年にクラウドでのナンバー1企業となるという目標は、杉原氏が社長に就任して掲げた目標で、「日本だけでなく、米本社にも承認をとって、日本語、英語の2つのロゴマークを作った。クラウドといえばまずオラクルの名前があがるような、圧倒的なナンバー1となることを目指す」と日本語、英語両方のロゴを披露しながら説明した。

杉原氏が掲げた、日本オラクルの目標である2020年クラウドナンバー1を目指すロゴ

 杉原氏は、「オラクルの製品ポートフォリオはアプリケーション、ミドルウェア、データベース、そしてそれを支えるサーバー&ストレージ。これらのテクノロジーサービスをすべてクラウドにすることが、オラクルの戦略をひと言でまとめたもの」と指摘した。

 OpenWorld 2014については、「テーマはクラウド、ビッグデータ、エンジニアードシステム、モバイルの4つ。Oracle Cloud Platformでは、コアビジネスであるデータベースをクラウド化することが一番大きなドライビングファクターとなる。単にクラウド化するだけでなく、ボタン1つで既存Oracle Databaseやアプリケーションをクラウドに移行できる」とOpenWorldでの発表のポイントを話した。

Oracle Cloud Platformの概要

ここ12カ月のデータベースのトレンドを説明

米Oracle データベース・サーバーテクノロジー担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏

 その後、メンデルソン氏が登場。新しいテクノロジーを紹介する前提として、過去30年のデータベースを振り返り、「さまざまな技術革新を行ってきたが、導入当時は画期的なものとされるが5年もすれば当たり前のものとして受け入れられ、驚かれないものとなる」と話した。

 その一方で、Oracle Databaseに使用されている言語SQLについては、「30年間変更の必要がなかった。利用者にとってはSQLを使って書いたアプリケーションは、Databaseが世代進化をしても書き換えの必要はなく、ユーザーの投資を保護してきた」と現在も変わらずアプリケーション資産を守る存在であり続けている。

 そうした状況の中、直近12カ月のDatabaseの革新について言及した。最初に紹介したのは、前日に日本でも提供を開始した「Oracle Zero Data Loss Recovery Appliance」。従来のバックアップ・アプライアンスがファイルバックアップ用に作られているため、「Databaseを理解していない。新製品はDatabaseを理解し、エンジニアードシステムをベースとし、これまでとはレベルの異なるバックアップを実現する」と説明した。

直近12カ月間のデータベース・イノベーション
Zero Data Loss Recovery Appliance

 次に1年前にリリースした「Oracle Database 12c」をとりあげた。12cの特徴の1点目としてマルチテナントは、ユーザーにとって人気が高いバーチャルマシンがハードウェアコスト削減につながっているものの、「お客さまからはDatabaseの数は依然として削減できないのだが、という声をもらっていた。そこで、プラガブルデータベースを導入しパッチ処理も一度の適用ですべてのデータベースに適用される仕組みとした」と管理にかかる手間が大幅に削減された。

 マルチテナントを活用したDatabase as a Serviceは、開発用の場合、高速プロビジョニング、スナップショット・クローンなど短期間に開発が可能。さらに、テストと開発用、本番用、ミッションクリティカルと要件ごとに異なるサービスレベルを設定することができる。

 Oracle Cloud Platformはセキュアクラウドアプリケーション構築のためのプラットフォームであるが、セキュアであると共にマルチテナントアーキテクチャがクラウドに最適なものだと説明。「既存アプリケーションの変更は不要。これはインターネットの世界で当たり前のものではなく、例えばSalesforce.comはForce.comで開発できることをアピールし、賛同を受けたが、開発したアプリケーションはSalesforce.comにロックインされる。われわれはそうではなく、クラウドからオンプレミスへ、オンプレミスからクラウドへと移動が可能だ」

 こうした特性をふまえ、「12cはマルチテナントというクラウドに最適な特性を持っている」とアピールした。

Oracle Multitenant
Database as a Serviceのパッチ適用とアップグレード
開発用のDatabase as a Service
マルチテナントを活用したDatabase as a Service

 ビッグデータに対しては、Oracle Database 12c In-Memoryによってアプリケーションを書き換えることなく、100倍速いクエリを実現し、データウェアハウスとの混合環境のOLTPをスピードアップする。

 データベースはロー型=行、カラム型=列があるが、これに対しIn-Memoryではインメモリ・デュアル・フォーマットによってロー型、カラム型両方のフォーマットでメモリに保持。集計やレポート処理は新しいインメモリ・カラム型に対して実行し、OLTP処理はロー型フォーマットに対して実行する。

 さらに導入が簡単なことも特徴で、「既存アプリケーションの変更は不要で、3ステップでインメモリデータベースを利用できる」と敷居が低いことが特徴だとした、

 オラクル内部でもアプリケーション部隊でインメモリを利用し、「オラクルのアプリケーションはインメモリーに完全対応している。インメモリデータベースの持つ特性は、ビジネスのあり方が、情報活用方法を変える可能性がある」と単なるテクノロジーの変化にとどまらない影響を持つと話した。

 Oracle SQLについては、各種のビッグデータタイプに適応する。エンタープライズのビッグデータ分析は、センサーが取得したIoTデータ、TwitterやFacebookなどSNSのデータなど対象が変化しているが、それぞれのデータに分析に必要な情報がサイロに分かれている。

 「しかし、あらゆるツールやアプリケーションから透過的にビッグデータにアクセスしたいとお客さまからはリクエストがある。そこで透過的にデータにアクセスできるOracle Big Data SQLによって、Oracle、Hadoop、NoSQLデータに対する大規模パラレルSQLクエリを実現する」

 メンデルソン氏はまとめとして、「インメモリ技術は生まれたばかりであり、今後10年間は必要な投資を行っていく対象であると考えている。オラクルが提供するクラウドはオンプレミスと完全なハイブリッド環境を実現する。マルチテナンシーはアプリケーションのクラウド移行を促進していく」とデータベースの最新動向をあげた。

Oracle Database 12c In-Memoryのゴール
インメモリ・デュアル・フォーマット
Oracle In-Memory Applications
Oracle Big Data SQL

2014年は大きな転換点

日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏

 次に日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏が登場し、サンフランシスコのOracle OpenWorld 2014でのトピックを紹介した。

 三澤氏は、「SaaSベンダーとしても、オラクルは世界で2番目の企業となった。ラリー・エリソンは『2014年はオラクルにとって大きな転換点となる』と話している」とオラクルが変革期にあると指摘した。

 ただし、「お客さまのSQL資産は置き換えなくて済む」と顧客の既存資産を生かすことができることが、Oracle Cloud Platformの特性であるとも指摘。さらに、JavaとSQLという業界標準テクノロジーを活用していることで、「ベンダーロックインをさせない環境であることも大きな特徴」と説明した。

 Oracle Engineered Systemsについては、「発売後1年経ってから評価が大きく上昇した。新しくアナウンスしたM7 Microprocessor Software in Siliconは、SPARCプロセッサもいよいよここまで来たか!と考えさせられるレベル。Oracleを動かすものとしてはこれ以上のものは今後も出て来ないかもしれない。そのポイントとなっているのが、Software in Siliconという技術」とOracle Databaseに最適化されたものであると説明した。

Oracle OpenWorld 2014の主な発表
Oracle Cloud Platform 3つのゴール
オンプレミスからクラウドへ
Oracle Engineered Systems
M7 Microprocessor Software in Silicon

 不可欠なセキュリティ技術については、「Oracleだけが持っている機能が職務分掌を実現するDatabase Vault」と紹介。これはデータベースのデータ管理、チューニング、運用管理を分離して権限を持たせることができる。ベネッセ事件の時のように、外部のエンジニアがデータ管理を行う権限をなくすといった設定を行うことで、データ漏えいを防ぐ。

 「これができるのは現在、オラクルだけ。さらに暗号化、システムログの集約と3つの対策をしっかりとっていくことで、セキュリティ対策が可能となる」。

 ビッグデータについては、「Oracle Big Data SQL」は構造化データと非構造データを高度に融合した新たなデータ分析基盤となることをアピールした。

機密情報保護におけるデータベースのセキュリティ対策
職務分掌機能
Oracle Big Data SQL

(三浦 優子)