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鹿児島・薩摩川内市と富士通、ICT活用の高齢者見守りを実証へ

電力使用量や温湿度センサーから情報収集

 鹿児島・薩摩川内市と富士通株式会社は26日、2014年7月22日に締結した「次世代エネルギーを活用した市民サービス検討に関する基本協定」に基づき、家庭内で計測した電力使用量などの情報を活用した見守り支援サービスの事業化に向けた実証を開始した。

 九州地域における基幹エネルギー供給基地を持つ薩摩川内市は、2011年に同市における次世代エネルギーの潜在可能量(ポテンシャル)の基礎調査を実施。2012年4月には、人口減少や高齢化の進展、地域経済の衰退などに伴う課題への対策として、次世代エネルギー活用などを検討する「薩摩川内市次世代エネルギービジョン策定委員会」を設置。さまざまな角度から検討を行い、2013年3月には次世代エネルギー活用について同市が進むべき方向性を示した「次世代エネルギービジョン」および「行動計画」を策定した。富士通は、同委員会に設立当初より参画し、ICT関連ノウハウを提供・協力してきた。

 今回は、家庭内で計測した電力使用量などの情報を活用した見守り支援の実証として、同市で現在実施中のスマートグリッド(次世代電力網)実証実験に参加中の一部の市民モニターに対して協力を依頼するとともに、新たに高齢者モニターを市民の中から募る方針。

 目的は、同市全域で行ってきた声がけや定期訪問などの高齢者見守り活動に、ICTを採り入れて、効率化や質の向上を図ること。仕組みは、実証に参加する高齢者宅に電力使用量の計測器と、温度・湿度・照度・気圧などが測定できる複合センサーを設置してデータを収集。富士通のクラウドセンターにて蓄積・分析することで、見守り対象者の生活リズムや住環境の状態を導き出して、行動を推定する。この推定情報を基に、同市の関連部門が見守り対象者宅への訪問要否を判断するという。

 この仕組みが有効かどうか、事業家は可能かどうかについて、富士通とともに検討。実現すれば、例えば、家庭ごとの熱中症予報が確認でき、罹患予防に役立てることが可能になるとしている。

 実証期間は2014年9月26日~2016年3月31日を予定。2014年度はシステム環境の構築、モニター宅の選定、機器設置などを進め、2015年度にフィールド実証を開始する。対象は同市内の高齢者約100世帯。

川島 弘之