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エン・ジャパンがモバイル活用とBYODに踏み切ったワケとは?

Office 365とHDE Oneで便利にクラウドを活用、Yammerもトライアル利用中

エン・ジャパン 管理本部 情報システム部 インフラグループの鈴木雄也氏

 株式会社HDEは18日、求人求職情報サービスのエン・ジャパン株式会社による、タブレットとスマートフォンの導入やBYOD、クラウドサービス活用についてのセミナー「BYODでワークスタイル変革」を開催した。

 エン・ジャパンでは、社内のメールやコラボレーションの基盤としてクラウドサービスの「Office 365」を採用。そのためのセキュリティソリューションとして、HDEのクラウドセキュリティ「HDE One」を導入していることから、今回のセミナーが開かれた。

 セミナーには、エン・ジャパンの情報システム部門である管理本部 情報システム部 インフラグループの鈴木雄也氏と佐藤一志氏が登場。事例制作事業を手がける株式会社カスタマワイズの今野靖雅氏が聞き手となって、パネルディスカッションの形式で、エン・ジャパンの取り組みが話された。

モバイルを導入して提案力向上と時短を実現

 鈴木氏によると、“女性社員の勤務”というテーマが、モバイルデバイスやBYODに取り組むきっかけだったという。

 育児などで自宅勤務をするにしても、オフィスと同じように業務ができないというの、が課題のひとつとなっていた。

 同社では個人の情報を扱うため、PCやUSBメモリの紛失によりデータが流出することは、絶対に許されない。そのため、原則としてノートPCなどは持ち出し禁止とし、申請して許可を得たときのみ、暗号化処置をして持ち出せるということになっていた。

 しかし現場からは、外出先でメールや社内システムを利用したいという要望は多かった。情報システム部門としても、メールの携帯への転送や、個人によるクラウドサービスの利用などの「シャドーIT」がはびこるほうが危ないのではないか、むしろルールを整備していく必要があるのではないか?という議論がなされたという。

 そこで2011年に、iPadを300〜400台ほど(現在は500台)用意し、必要な社員全員にiPadを配布。さらに、希望者を対象に個人のiPhoneによるBYODも開始した。

 情報漏えい対策の仕組みとしては、MDMによるアプリの監視やリモートワイプ、会社とのVPN接続を導入した。それと同時に、利用する社員から誓約書を取り、社内セミナーを開くなど啓発活動にも務めている。

 iPad導入による効果を、鈴木氏は3つ挙げた。1つ目は、商談中にWebサイトを実際に見せられるので、提案力が向上したことだ。

 2つ目は、移動中にメールで連絡をとったり、帰社しないでも日報を書いたりできることによる時間短縮。平均して、1人1日あたり31分の時短がなされたという。

 3つ目は、営業資料を電子化して持ち歩けるようになったこと。同社ではモバイル/BYOD導入と同じ2011年に、サイト別に担当が分かれた形から、1人がすべてのサイトを扱う形へと営業体制を変更した。そこで、サイト別に存在していた営業資料を電子化することで、すべての資料が持ち歩けるようになったという。

 一方で、今後の課題として検討していることに、Windowsタブレットへの対応がある。タブレットでOfficeをマクロまで使いたいとなると、Web版の「Office Web Apps」ではなく、WindowsタブレットとPC版のOfficeが必要になる。

 そのため2013年にWindowsタブレットを検討したが、「問題がいくつかあって見送られた」と佐藤氏は説明した。具体的に語られた問題は、キッティングのためのクローンツールや情報の不足、HDDの暗号化機能と自社ポリシーの不整合、SIMでの通信の不具合、紛失時のための位置情報取得機能の不足、当時の機種のスペック不足などだ。

 ただし、Officeの問題は変わっておらず、タブレット側の機種も新しくなってきていることから、「あらためて検討はしたい」と佐藤氏は語った。

Office 365とHDE Oneでセキュアにメールを利用

エン・ジャパン株式会社 管理本部 情報システム部 インフラグループ 佐藤一志氏

 前述したように、エン・ジャパンでは現在、メールやコラボレーションに「Office 365 Enterprise E1」を採用している。

 同社では以前、Google Appsを採用していた。しかし、メールアーカイブのPostiniサービスが終了したことと、価格体系が変更になったことをきっかけに移行を検討したと、佐藤氏は説明した。

 この移行に際して、HDEのクラウドセキュリティサービス「HDE One」を導入した。導入の最大の目的は、Office 365にもGoogle Appsにも対応したメールアーカイブ機能だ。エン・ジャパンでは現在、監査のためメールアーカイブの期間を、契約できる最大の10年で契約しているという。

 また情報漏えい防止のため、メールの添付ファイルの自動暗号化機能も利用。さらに、Office 365にアクセスできるIPアドレスを会社からのものだけに制限して、iPadやiPhoneからアクセスするときは、必ず会社へVPNで接続してから使うようにした。

 Office 365に移行してよかった点として、佐藤氏は、Active Directoryフェデレーションサービス(AD FS)により、社内とクラウドとでアカウント管理が一元化され、登録などの作業が軽減されたことを挙げた。

 そのほかクラウドサービス利用としては現在、企業社内向けSNSのYammerを約150人でトライアル導入し、グループ機能やチャットなどを利用しているという。また、情報システム部門が把握できないDropboxを仕事に使っている社員もいるため、これをOneDriveに移行していきたいとも語られた。

導入にあたって情報システム部門が気をつけるべき4つのこと

 鈴木氏は最後に、モバイルデバイスとBYODを本格的に活用している企業の情報システム部門の視点から、4つのアドバイスを語った。

 1つ目は「目的を明確にすること」。「情報システム部門が導入するものは、あくまでビジネスの手段。入れたらどうにかなるだろう、ということで失敗する例がよくある」(鈴木氏)。

 2つ目は、「効果の見える化」。鈴木氏たち情報システム部門では、成果をできるだけ定量化して経営層に報告し、納得してもらうことを重視しているという。

 3つ目は「活用の支援」。導入はスタートであってゴールではなく、社員が活用していくのを支援していく必要がある。エン・ジャパンでは、活用促進のために、社内のナレッジサイトを構築した。「若手社員には、情報システム部門よりモバイルデバイスに詳しい人もいるので、そうした人に口頭やナレッジサイトでまわりに教えてもらうように働きかけた」(鈴木氏)。

 4つ目がセキュリティ。最初にきちんと議論してツールを整えると同時に、社員のリテラシーなどの教育と、両方を整えるのが重要だと鈴木氏は説明した。

 そのほか。会場の参加者からも、時短や内部統制、対応端末、勤務時間に関する人事規定など、実務に即した質問が飛び交うなど、活発なセミナーとなった。

 なお、HDEでは、私物端末をビジネスで安心・安全に使わせるためのノウハウなどを説明した書籍「社員のスマホ・タブレットを安全に会社で使わせる本」(インプレスジャパン)を抽選で30名にプレゼントする「BYOD導入支援本〜特別プレゼントキャンペーン」を、8月31日まで実施している。この機会に、応募してみてはいかがだろうか。

(高橋 正和)