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日本HPと日本マイクロソフト、Hadoopとのリアルタイム連携に対応したMPP型DWHアプライアンス新モデル

HP AppSystem for SQL Server 2012 PDW

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は23日、DWH(データウェアハウス)アプライアンスの新モデル、「HP AppSystem for SQL Server 2012 Parallel Data Warehouse(PDW)」を販売開始すると発表した。日本マイクロソフトのMPP型データベースである「SQL Server 2012 PDW」を搭載しており、1/4ラック構成からのスモールスタートに対応しながらも、最大56ノードまで拡張できるという。出荷開始は6月上旬の予定。

 HP AppSystem for SQL Server 2012 PDWは、DWHの超高速処理が可能なアプライアンスサーバー製品。日本HPのx86サーバー「HP ProLiant DL360p Gen8」とストレージ「HP D6000」、日本マイクロソフトのSQL Server 2012 PDWを組み合わせ、両社の連携のもとでパッケージングして提供する。

 その最大の特徴は、Hadoopとの直接連携が可能な点だ。「これまでのMPP型DWHでは、Hadoopのデータを直接触ることができないため、一度DWHへロードせざるを得ず、データ移行がボトルネックになってしまっていた。しかしHP AppSystem for SQL Server 2012 PDWを介すとHadoopとのリアルタイム連携ができるため、今後、Hadoopのデータを有効活用するのに効いてくる」(日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部長の橘一徳氏)のだという。

 もちろん、Hadoop上のデータとRDBなどに格納された構造化データを横断した分析も可能。またこうした分析を、オフィスワーカーが使い慣れているExcelを用いて行える点も、大きな特徴である。橘氏は、「データを活用するスキルを持った人を育てていくのが、今後の経営課題になると言われているが、このソリューションでは、非常にユーザーが多いExcelをUIにしてデータにアクセスし、加工・可視化できるのが大きな価値だ」と述べ、活用の幅を広げていくという意味からも、競合製品と比べて優位性があるとした。

日本HP エンタープライズ・インフラストラクチャー事業統括 サーバー&ネットワーク製品統括本部長の橘一徳氏
Hadoopとのリアルタイム連携によりボトルネックを排除

 製品構成としては、計算ノード×2の1/4ラック構成を最小とし、225TB(5倍データ圧縮時)までのデータを格納可能。1ラックあたりでは最大8計算ノード、900TB(同)までの構成へ拡大できる。さらにはこのラックを最大7つまでつなげるので、最大56ノード、6.3PB(同)までの超大規模構成に対応するとのこと。

 参考価格は、最小構成時でハードウェアが2325万円(税別)、ソフトウェアが2740万4000円(税別)。

HP AppSystem for SQL Server 2012 PDWのコンポーネント。標準製品を使うことで、価格面での優位性を提供できるとした
1/4ラックの場合のハードウェア構成
最大8ラックまでの大規模拡張に対応する

 なお日本HPと日本マイクロソフトでは、データベース分野において、SMP(対称型マルチプロセッシング)型の最適構成「SQL Server Fast Track Data Warehouse」や、OLTPにも対応可能なアプライアンス「SQL Server SSL Appliance」などを共同で提供し、実績を積み重ねてきている。今回はさらにこれを拡大し、日本HP本社内に「HP AppSystem LAb.」を新設するとともに、日本マイクロソフトのエンジニアが日本HPへ常駐し、動作検証のサポートやセールスツールの開発を行うとした。

 あわせて、日本マイクロソフトがHP AppSystem for SQL Server 2012 PDWの一次保守窓口となり、障害時のハードウェア、ソフトウェアの切り分けなどを行う体制を作っている。

両社の協業を強化する

(石井 一志)