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EMCジャパン、ビッグデータの人材育成やチーム立ち上げを支援
(2013/4/22 06:00)
EMCジャパン株式会社は4月19日、データ・サイエンティスト育成支援およびビッグデータ事業におけるコンサルティングサービスに関する取り組みについて、記者説明会を開催した。
説明会に先立ち、EMCジャパン マーケティング本部 本部長の上原宏氏は、「当社では2013年度の方針として、『第3のプラットフォーム』の構築を支えるプラットフォーム・プロバイダーを目指すこと掲げており、『クラウド』、『ビッグデータ』、『トラスト』に関するイノベーションの推進、およびエコシステムの構築に取り組んでいる。その中で、顧客やパートナーから、とくに関心が高まっているのがビッグデータだ。多くの企業において、ビッグデータの活用は、今後のビジネスを左右する重大な課題として認識されつつある」と、ビッグデータに対する市場からのニーズが急速に拡大していると話す。
「これまではITのコスト削減ばかりが議論されてきたが、これからはITがビジネスをリードしていく環境を整える必要がある。そのためにも、ビッグデータ活用への取り組みは不可欠になってくる。しかし、日本はビッグデータ後進国になりつつあるのが実状だ。当社では、ビッグデータを活用した先進事例が、日本から世界に向けて発信されるよう、今後もデータ・サイエンティストの育成やビッグデータ関連事業を積極展開していく」(上原氏)との考えを示した。
EMCジャパンでは、データ・サイエンティストの育成支援として、データ・サイエンティストトレーニングコース「Data Science and Big Data Analytics」を提供しているという。EMCジャパン エデュケーションサービス部 ソリューション・コンサルタントの浜野崇氏は、データ・サイエンティストの定義について、「データ・サイエンティストは、経営において正確な判断を行うために、データをもとに様々な予測分析を行う人材で、データ・サイエンスチームを編成し、そのリーダー役を担う。従来のシステムエンジニアやプログラマの延長にはない職種であり、経営層の考えをもち、ITインフラの環境を理解できるスキルが求められる」としている。
「当社では、企業のビッグデータ対応を推進するソリューションとして、ビッグデータに適したスケールアウト型NAS製品『EMC Isilon』やビッグデータ分析製品『EMC Greenplum』などを展開しているが、その一方で、これらの製品を使いこなせるデータ・サイエンティストの人材が不足しているという現状がある。そこで、データ・サイエンティスト育成トレーニングを開発し、ビッグデータ分野においてデータ・サイエンティスト人材のすそ野拡大を図っていく」と、浜野氏はデータ・サイエンティスト育成支援に取り組む狙いを述べた。
トレーニングコース「Data Science and Big Data Analytics」は、全5日間の日程で行われ、基本的、応用的な分析方法の知識や、分析に関する技術とツール、分析結果の表現方法など、データ・サイエンティストとしての実務内容を網羅したコースとなっている。具体的には、フェーズ1「発見:分析シナリオの設定」から、フェーズ2「データの準備:データの取り込みやクレンジング」、フェーズ3・4「Model Planning/構築:統計手法の学習」、フェーズ5・6「結果の伝達/運用」まで、データ分析のライフサイクルに沿って体系的に学習する。
「日本では、2012年5月からコース提供を開始。同年12月からは日本語テキストで、日本語インストラクターによる提供を開始した。そして、2013年度からは毎月開催している。開始から現在までの受講者は100人以上に達し、受講者が主導となって立ち上げたチームが当社コンサルティングサービスとともに、顧客の引き留め策に成果を出したケースも出ている」(浜野氏)という。
なお、このトレーニングに則した認定試験に合格すると、「EMC Data Science Associate」として認定され、認定合格者のみアクセスできるオンラインコミュニティを利用し、技術情報の閲覧や意見交換を行うことが可能となる。
次に、ビッグデータ事業におけるコンサルティングサービスとして、「データ・サイエンスチーム立ち上げサービス」の概要について、EMCジャパン コンサルティング部 EIM&Aチーム マネージャーの内田信也氏が説明した。
「日本でも、本格的にビッグデータ活用に取り組もうという機運が高まってきているが、実際に始めるにあたっては、社内の意識統一や組織・体制の整備、情報インフラの整備など、様々な課題を解決する必要がある。これらの課題に対して当社では、データ・サイエンティンストの交流促進、スモールスタート&人材育成、必要に応じて拡張可能な分析基盤の構築という3つのアプローチで、ビッグデータ活用を支援している。この3つのアプローチのうち、スモールスタート&人材育成をカバーするのが『データ・サイエンスチーム立ち上げサービス』である」という。
「ビッグデータの活用において、ビジネスとITのブリッジ役を担うのがデータ・サイエンティストの役割。そして、ビッグデータ活用を推進していくためには、複数部門にまたがるデータ・サイエンスチームの存在が成功のカギを握っている」と、内田氏はデータ・サイエンスチームの重要性を指摘する。
「データ・サイエンスチーム立ち上げサービス」では、ビジネス部門を巻き込んだ、実データの分析を通じて、顧客メンバーにスキルトランスファーを実施する。立ち上げ期間は、3~4カ月を想定しており、「テーマ選定と分析計画」から「データと分析環境準備」、「分析・検証」、「ビッグデータ構想策定」まで、分析業務の経験がほとんどない顧客でも、データ・サイエンスチームの実動開始までを支援していく。
内田氏は、「このサービスによって、社内にデータ・サイエンスチームを立ち上げることで、企業におけるビッグデータ活用のビジネス貢献度をワンランク向上させることを目指す」としている。