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NEC、大規模プラント向け故障予兆監視システムを開発

島根原発で実証実験「良好な結果」

 NECは8日、大規模プラント向け故障予兆監視システムを開発した。ビッグデータ解析技術を応用する。

 NECは、センサ情報などビッグデータを分析する独自技術として、専門知識や複雑な設定なしで“いつもと違う”挙動を自動発見できる、インバリアント分析技術を開発し、システムへの適用を進めてきた。

 今回開発したシステムは、工場や発電所など大規模プラントの設備に設置されている各種センサ情報を収集し、インバリアント分析技術を用いて解析を行う。同技術により、膨大なセンサ情報から設備の健全な運用状態を自動的に定義し、常時収集するセンサデータと比較・分析を行うことで、設備が故障に至る前に不健全な状況を把握できるという。

 システムの特長として、「膨大なデータを短時間で解析」「さまざまな計測情報を結びつけ、精度の高い予兆検知を実現」「既存センサ情報を利用しさらなる故障検知能力向上が可能」といった3点を挙げる。

 2番目の「さまざまな計測情報を結びつけ」については、異なるセンサ種別同士の関連性を自動的に発見できるため、振動計測、圧力計測、温度計測、加速度計測などの情報を結びつけ、精度の高い検知を実現。また、計測できるセンサ種別を限定しないため、設備ごとに切り分けた複雑で多種にわたるシステム運用は必要なく、設備ごとに利用されているセンサ情報から、複数の異なる設備の予兆を統合監視することが可能という。

 同システムの有効性を確認するため、NECは中国電力の協力の下、同社の島根原子力発電所において、実証実験を行ってきた。まず、2011年8月から2012年11月まで設備状態監視用センサ情報を解析し、過去の不具合事例などについて予兆を検出した。さらに2012年10月からは島根原子力発電所の技術訓練用施設に同システムを試験導入し、擬似的にさまざまな設備故障を発生させ、故障予兆検出を行った。その結果、検出が可能となる良好な結果が得られたとする。島根原発での正式導入は未定。

 NECは発電所、化学プラント、一般的な工場などに対して提案していく方針。また海外への展開も視野に今後も開発を進めるとしている。

(川島 弘之)