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Red Hatがビッグデータ戦略を説明、標準サーバーを利用できるRed Hat Storageの強みを生かす
(2013/3/29 06:00)
レッドハット株式会社は28日、同社のビッグデータ戦略に関する記者説明会を開催した。2月に、米Red Hatがビッグデータに関する方針を発表したのを受けてのもの。スケールアウト型ストレージ製品「Red Hat Storage」を中心に、主にビッグデータの格納とそのアクセスに関するソリューションが語られた。
同社常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈昌嗣氏は、ビッグデータはオープンソースのソフトウェアがけん引していることを指摘。そして、今後センサーネットワークなどによりデータが爆発的に増えていくことを挙げ、「非構造化データ(データベースに向かないデータ)の格納と活用にフォーカスする」とRed Hatのビッグデータへの取り組みを語った。そのための製品としては、Red Hat Storageが中心となる。
事例として、米国の風力電力会社であるPattern Energyのケースが紹介された。Pattern EnergyではセンサーデータをもとにHPCシステムで天候予測をしており、そのためのデータストレージとしてRed Hat Storageを導入したという。
Red Hat Storageは、オープンソースとして提供されているのGlusterFSの商用版。汎用のx86サーバーを組み合わせ、台数を増やした分だけ容量を増やせるのが特徴だ。アクセス手段として、NFSやCIFSのほか、OpenStackのオブジェクトストレージSwift互換のAPIなどにも対応している。
さらにRed Hat Storageの新しいアクセス手段としては、HadoopからストレージとしてRed Hat Storageを使うプラグインが登場している。これについては、ApacheのHadoop開発コミュニティに提供したことが、2月の米国での発表の1つとなった。マーケティング本部 部長の中井雅也氏は、「Hadoopコミュニティに提供したことで、Red Hatだけでなくコミュニティのエコシステムで修正されていく。これがOpen Source Wayで、Red Hatらしいやりかただ」と説明した。
スケールアウト型ストレージ製品には、EMCジャパンのIsilonなどもあり、同様にHadoopにも対応している。それらの製品との違いとして纐纈氏は、Red Hat Storageは専用ハードウェアではなく、標準のサーバーで動く点を強調。それにより、サーバーベンダーなどレッドハットのハードウェアパートナーとのエコシステムが生かせる点も主張した。
また、中井氏は、SNSでの写真のようにアクセス数が限られるデータが膨大に集まるケースを例に、「高価な専用ストレージでなく標準サーバーで」という声が増えてきていると説明した。なお、大容量データが使われる分野として、音楽系や動画系での引き合いも多いという。
こうしたソリューションを、「ビッグデータ格納」と「ビッグデータ活用」に分けて整理。ビッグデータ格納として「Red Hat Storage」とNoSQL製品「JBOSS DataGrid」を挙げ、ビッグデータ活用として、Hadoopと、複数のデータベースをアプリケーションから見て1つに統合する「JBoss Enterprise Data Services(EDS)」を挙げた。そのうえで、EDSからHadoopにクエリを送ったり、HadoopからRed Hat Storageをストレージとして使ったりという、相互の関連を説明した。
Red Hat Storageの販売においては、現在、SCSKとCTC、日本HPがパートナーとなっている。これについては、「お客さまの使い方がRed Hat Storageの特性に合っているかどうか理解して提案できる必要があるため、いまは3社に限られているが、今年中に10社に増やしたい」(纐纈氏)という。
今回紹介されたRed Hat製品は、ビッグデータ格納とそれに近いレイヤーのものが中心で、データ分析などのアプリケーションは、いまのところパートナーなどに委ねられている。纐纈氏は「Hadoopでいくつものベンダーがディストリビューションを出しているように、ビッグデータは1社ですべてやるものではない」としてエコシステムの重要性を語った。