米Red Hat、分散ストレージ技術のGlusterを買収
クラウドソリューションへの取り込みを図る、GlusterFSの販売やサポートは継続
米Red Hatは4日(米国時間)、分散ストレージ技術「GlusterFS」を開発するGlusterを買収することで正式契約を結んだことを発表した。Glusterは非公開企業で、買収金額は約1億3600万ドル。買収は10月中に完了する見込み。
GlusterFSは、分散ストレージを構築するオープンソースの技術。複数のサーバーでそれぞれファイルシステムの一部をエクスポートし、それをGlusterFSサーバーで束ねることで、大規模なストレージを構成する。後からサーバーを加えることで容量を拡大できるスケーラビリティや、1つのデータを複数ノードに保存する冗長化などを特徴とする。
Glusterは2005年に創立され、米国カリフォルニアとインドのバンガロールのオフィスに約60人の社員がいる。GlusterFSは150社以上の顧客の実績があるという。
Red Hatは発表で、今回の買収によりGlusterFSを同社のクラウドソリューションに取り込むと同時に、GlusterFSとしての販売やサポートも継続すると説明している。
■汎用サーバーを使ってスケールアウト
米Red Hat社 プロダクトマネージメント&マーケティング シニアディレクター ブライアン・チェ氏 |
10月5日、日本のレッドハット株式会社において、来日中の米Red Hat社 プロダクトマネージメント&マーケティング シニアディレクターのブライアン・チェ氏による説明が行われた。
買収の背景としてチェ氏は、現在ストレージに求められる要件が変わってきていることや、RDBMSだけでなく非構造データが急増していることを指摘。具体的な要件としては、“クラウドコンピューテイング”によりデータをどう置くかのアプローチが変わってきていること、“ビッグデータ”によりスケールアウトしないとデータ量に対応できなくなっていること、“仮想化”により仮想マシンイメージを管理するメカニズムが必要とされていることの3つを挙げ、「新しいアーキテクチャには新しいアプローチが必要」と語った。
また、利用者にとってのGlusterFSの利点として、専用のシステムではなく汎用ハードウェアとオープンソースのソフトウェアで構成されることによりコストを削減できること、標準的なインターフェイスを採用していることによりアプリケーションの変更が不要なこと、サーバーを追加すれば容量が増えるリニアなスケーラビリティ、単一障害点(SPOF)がないことやレプリケーション機能による高可用性を挙げた。
Red Hat社は2003年にクラスターストレージ技術「Global File System」(GFS)のSistinaを買収しているが、GFSはローカルネットワーク上でストレージを共有するのに最適化しているのに対しGlusterFSはスケーラブルな分散を目的としており、「役割が違い、補完的」とチェ氏は説明した。また、EMC社が2010年にスケールアウトNAS製品のIsilon社を買収しているが、「GlusterFSはコモデティサーバーを使ったスケーラブルなストレージで、新しい市場を持つユニークなポジションにいる」とチェ氏は語った。
ストレージに求められてきている“クラウドコンピューテイング”“ビッグデータ”“仮想化”の説明 | GlusterFSを採用する企業の例 |
GlusterFSによる分散ストレージのクラスタリング | GlusterFSとクラウドインフラ、Red Hat Enterprise Linuxの組み合わせ |