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SDNベンダーの米Big Switchが日本市場へ参入、CTCとネットワンが販売代理店に
(2013/3/6 06:00)
米Big Switch Networks(以下、Big Switch)は5日、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)ならびにネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)と販売代理店契約を締結し、自社のSDNソリューションを日本国内で提供すると発表した。
Big Switchは、OpenFlowベースのSDNソリューションを提供する企業で、OpenFlowコントローラ「Big Network Controller」、ネットワーク仮想化ソフト「Big Virtual Switch」、ネットワーク監視アプリケーション「Big Tap」の3製品を提供している。
OpenFlowでは大きくわけて、OpenFlow対応ネットワーク機器を利用する「ホップ・バイ・ホップ方式」と、既存ネットワーク環境上でOpenFlowネットワークを実現する「オーバーレイ方式」の2つがあり、また両者を組み合わせたハイブリッド型のアプローチも用いられている。
このうち、オーバーレイ方式(あるいは、ハイブリッド型)を実現するためのツールがBig Virtual Switchで、最大3万2000の仮想ネットワークセグメントをサポート。「レガシーのセグメント化されたネットワークでは、リソースを十分に活用できなかったが、Big Virtual Switchではリソースを平たんにできるので、ラック/ポッドあたりの仮想マシン数を20~50%拡大可能。これによって、運用コストが大きく下がる」(Big Switchの共同創設者兼CEO、グイド・アッペンツェラー氏)のだという。
一方、OpenFlowコントローラであるBig Network Controllerは、同社がオープンソースとしてとして公開したFloodlightを中核にしているが、オープンなNorthbound APIを介してさまざまなサードパーティのネットワークアプリケーションとの連携に対応。「オープンで、ベンダーロックインを排除している」(アッペンツェラーCEO)点が特徴とした。スケーラビリティについても、1000台以上のスイッチと、1秒あたり25万件の新規ホスト接続を処理できるだけの能力を持つ。
また“オープン”なのは、同社のソリューションと連携できるスイッチについて同じだとのこと。物理/仮想を問わずさまざまなOpenFlow対応製品を制御可能としたアッペンツェラーCEOは、「どんなスイッチであっても対応可能。オープンなので、お客さまが好きなものを選んで組み合わせて使っていただける」と述べた。
3つ目のBig Tapは、エンタープライズレベルでネットワークを一元的に可視化できるツールである。
CTCとネットワンが販売、SDDCの実現を目指す上でのキーコンポーネントに位置付け
こうした特徴を持つBig Switchの製品を国内で提供するのが、CTCとネットワンだ。両社とも、Big Switch製品だけを販売するのではなく、いわゆるSDDC(Software Defined DataCenter、ソフトウェアで制御されたデータセンター)の実現を目指すための重要な要素としてこの製品を位置付け、オープン性を生かしてほかの製品と連携させていく考えを示す。
CTCでは、「例えば、クラウド環境にまたがったスイッチとしてBig Switch製品が入ってくるイメージ」(CTC エンタープライズ技術推進部の溝井英一部長)としており、CloudStack、OpenStackといったクラウドオーケストレータや、ロードバランサー/ファイアウォールなどのネットワーク機器、物理スイッチと組み合わせて、SDNならびにSDDCの実現を目指してソリューションを強化していくとした。
なおCTCでは、データセンター事業者や通信キャリア、プライベートクラウドを保有する企業、柔軟なITインフラを求める大規模企業などに販売を進め、初年度10億円の売り上げを目指すとのこと。
またネットワンでも、「コアにBig Switchの製品を置きながら、さまざまなベンダーの製品を組み合わせてエコシステムを構築することで、SDNの連携範囲をクラウド基盤全体へ拡大する」(ネットワン ビジネス推進グループの篠浦文彦執行役員)と話し、Big Switch製品と連携したハード、ソフト、サービス全体で、3年間に70億円を目標にするとした。また、「2016年には、SDNの3割のシェアを取りたい」(篠浦執行役員)との意気込みを述べている。