オラクル、企業のカスタマー・エクスペリエンス向上を支援する製品群「Oracle CX」


日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏

 日本オラクル株式会社は7月26日、企業のカスタマー・エクスペリエンスの向上を支援するオラクルの製品群「Oracle Customer Experience(以下、Oracle CX)」を発表した。

 「Oracle CX」は、オラクルのもつ各種製品群を組み合わせることで、企業におけるカスタマー・エクスペリエンス向上を支援する統合ソリューションを展開するもの。すべての顧客との接点で必要なITの仕組みを網羅的に提供するという。

 「Oracle CX」の発表にあたり、日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏は、「今年度、当社が最も力を入れている分野の一つがカスタマー・エクスペリエンスの領域だ。カスタマー・エクスペリエンスは、ライフサイクル全体を通して、最高の満足度を顧客に提供するソリューション。調査によると、製品・サービスを他人に薦める一番の理由は『素晴らしい対応を受けた時』が55%でトップとなり、『商品の良さ』や『価格の安さ』を上回った。一方で、ひどいカスタマー・エクスペリエンスを感じた場合、89%が競合他社から購入すると回答。また、それに対する苦情をオンライン上でシェアするという人も78%を占めた」と、カスタマー・エクスペリエンスの重要性を指摘。

 「こうした結果から、カスタマー・エクスペリエンスがビジネスに直接的な影響を与えることは間違いない。今回の『Oracle CX』では、顧客の期待値を超えるエクスペリエンスを提供することで、感動体験を与え、他社との差別化、さらには収益拡大につなげることができる。今後、カスタマー・エクスペリエンスの領域でナンバーワン企業を目指す」と意欲を見せた。

 「Oracle CX」の構成製品としては、利便性の高い検索の仕組みは「Oracle Endeca」、ユーザーの好みに合ったWebサイト構築の仕組みは「Oracle WebCenter Sites」、ECサイトにおける電子決済の仕組みは「Oracle ATG Web Commerce」、カスタマー・サービスの仕組みは「Oracle RightNow CX Cloud Service」と「Oracle Knowledge Management」、マーケティング・キャンペーンの実施や顧客情報の統合は「Oracle CRM」で実現する。さらに、ソーシャル・ネットワーク上の情報や製品の販売実績などを収集して分析するための仕組みとして、非構造化データと構造化データの収集と分析を行う「Oracle Endeca Information Discovery」とデータベース・マシン「Oracle Exadata Database Machine」を活用する。

日本オラクル 製品事業統括 アプリケーション事業統括本部 CRM/HCM事業本部長の道下和良氏「Oracle CX」によるソリューション

 日本オラクル 製品事業統括 アプリケーション事業統括本部 CRM/HCM事業本部長の道下和良氏は、「『Oracle CX』では、これらの製品群を組み合わせることで、『クロスチャネル型EC・セールス&マーケティング・ソリューション』、『クロスチャネル型カスタマー・サービス・ソリューション』、『顧客動向分析&最適化ソリューション』という3つの統合されたソリューションを展開していく。これにより、商品の調査から選定、購入、受領、利用、保有、推奨まで顧客ライフサイクルの各プロセスにおいて、最良のカスタマー・エクスペリエンスを提供することが可能となる」と、「Oracle CX」のソリューション概要を説明した。

 具体的には、「クロスチャネル型EC・セールス&マーケティング・ソリューション」では、Webサイト、店舗や電話など顧客との接点となるさまざまなチャネルを横断し、製品やサービスの販売やマーケティング活動を支援する。「Oracle CX」の持つリコメンド機能により、購買者に最も関連性の高い製品やサービスを複数のチャネルを通じて提案する。また、個々の顧客の特性を把握したマーケティング活動を実行することも可能となる。これにより、Webサイトへの継続的な訪問を促し、製品やサービスの購買と利用に結びつける一連のプロセスにおけるカスタマー・エクスペリエンスを向上できる。

 「クロスチャネル型カスタマー・サービス・ソリューション」では、Webサイト、コンタクトセンター、ソーシャル・ネットワークを通じたカスタマー・サービス機能を提供。これにより、あらゆるチャネルで消費者をはじめとする企業の顧客の要望を捕捉、追跡し、適切に対応することができる。また、過去の問い合わせ履歴をもとにナレッジを蓄積・管理する機能とWebによるセルフサービス機能を組み合わせることで、企業の顧客自身が迅速かつ容易に疑問を解決することを可能する。

 「顧客動向分析&最適化ソリューション」では、ソーシャル・ネットワークにおける話題、販売や問い合わせ実績をもとに顧客動向に関する合理的な情報をリアルタイムかつ統合的に可視化し、分析できる仕組みを提供する。

 この3つの統合ソリューションの中で、とくに「クロスチャネル型カスタマー・サービス・ソリューション」において、重要な役割を果たすサービス製品が「Oracle RightNow CX Cloud Service」だという。「Oracle RightNow CX Cloud Service」は、米国オラクルによる米国RightNow Technologiesを買収を受け、6月1日から日本オラクルとして提供を開始したもの。

日本オラクル RightNow事業本部 本部長の桑野順一郎氏「Oracle RightNow CX Cloud Service」のソリューション・フレームワーク

 日本オラクル RightNow事業本部 本部長の桑野順一郎氏は、「『Oracle RightNow CX Cloud Service』は、自己学習機能の『Knowledge Base』をコアテクノロジーとして、Web上でのカスタマー・エクスペリエンスを向上する仕組みを提供するクラウドサービス。Webサイトやコンタクトセンターからの顧客対応に加え、チャット、モバイル、ソーシャルメディアを利用した新しいサポートチャネルにも対応している。これにより、問い合わせにおける顧客満足度向上を実現するとともに、顧客対応コストの削減を図ることができる」と、「Oracle RightNow CX Cloud Service」のメリットを訴えた。


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(唐沢 正和)
2012/7/27 06:00