レッドハット、GlusterFSベースのストレージソフトを国内で提供~「ベンダーのロックインから解放する」
スケーラブルなクラスタNASを容易に構築可能
レッドハット株式会社は25日、同社としては初のストレージ製品である「Red Hat Storage Server 2.0」の国内提供開始を発表した。昨年米Red Hatが買収した米Glusterのストレージソフト「GlusterFS」をベースに管理機能とエンタープライズサポートを付加したもので、拡張性のあるクラスタNASを容易に構築できるという。サブスクリプション価格は、最小構成(サーバー2台分のライセンス)で130万円(税別)から。
Red Hat Storage Serverは、x86ベースのハードウェアをストレージサーバー化するソフト。コモディティ化した安価なx86サーバー(2ソケット製品を推奨)を利用して、スケールアウトストレージ環境を構築できるのが最大の特徴で、容量だけでなく性能もリニアにスケールしていくため、ノードを追加するだけで全体のパフォーマンスを向上させられるという。スケーラビリティについても、すでに本番環境で80ノード程度を利用している顧客企業もいるとのことで、大きな拡張性を持つ。
さらに、「データの場所に関係なくストレージプールを構築可能で、ハイブリッドクラウド環境でもシングルネームスペースでクライアントからアクセスできる」(マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャの石井明氏)ことから、パブリッククラウド環境を含めた広範なストレージの統合環境を構築できるとのこと。
ハードウェアは、さまざまなベンダーの2ソケットサーバーに対応しており、デル、HP、富士通、IBM、シスコ、日立、NECなど75種類以上のハードウェアをサポート。こうした拡張性によって、他社と比べて1/3程度の低コストを実現した。
Red Hat Storage Serverの特徴 | 複数のノードで1つのストレージプールを構成する |
廣川裕司社長 |
廣川裕司社長は、「データ量では構造化データを上回った非構造型データは、今後も爆発的に増えることが予想されており、従来型のSAN/NASでは単価が高すぎる。すでに存在するサーバーという財産のうち、ストレージは3割も使われていない。そこにソフトウェアの追加投資をするだけで、ギガバイトあたり6~7円と、単価が一けた安いストレージを提供できる」と述べ、その魅力をアピールする。
またRed Hat Storage Serverは、レッドハットのビジネス上も大きな意味を持つ。「ワールドワイドで2兆円規模といわれているストレージ市場は、ITの中でも最大の市場でアリ、ここに当社が参入できるということ。日本に限っても1500億円、ファイルストレージだけで700~800億円の規模があるが、当社の基幹事業であるOSの市場が700億円。それと同じ規模の市場へ参入できるということだ」とした廣川社長は、これに対応するために社内の体制を整備することを表明した。
具体的には、クラウド・仮想化事業本部をクラウド・仮想化・ストレージ事業本部に改組し、業種別、パートナー担当など営業組織を横断してRed Hat Storage Serverを提供できる体制を整えるとのこと。また、国内のサポート部隊でも全員がストレージにも対応できるようトレーニングを進めていく。
こうした営業体制について、執行役員 クラウド・仮想化・ストレージ事業本部長の西村哲也氏は、「従来からOSSの価値を理解いただいているお客さまへ紹介するとともに、ストレージを使って新しいサービスを提供している事業者に対しても積極的に働きかける」と説明。また、オープンなハードウェアを利用できることから、「ストレージベンダーによるロックインを排除できるのが最大のメリット。ストレージの世界でも選択の自由を提供して、新たな旋風を起こしていく。今後3年以内にリーダーのポジションを獲得したい」と話した。
なお、当初はソフトとして直販を中心に販売するが、国内のパートナーともアプライアンス化を含めてビジネス展開を予定しているとのこと。