富士通、食・農クラウド「Akisai」を10月より提供
富士通株式会社は、過去3年間の農業現場でのICT利活用実証実験の成果を踏まえ、ICTで農業経営を効率化させる食・農クラウド「Akisai(日本語通称:秋彩)」を10月より順次提供する。
現在の農業生産現場は、就業者の60%以上が65歳以上という状況にあり、多くは「できたものを売る」という考えの下で、全生産物の収益と生産費用のみを把握する経営が行われている。今後は、今まで把握できていなかった各作物ごとの費用構造や収益率を見える化することで、「利益の出るものを作る」という方針の下、現場での作業実績や生育情報などに関するデータを利活用する必要があるとする。
一方、食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業では、競合他社との差別化、コストの改善、品質マネジメントの強化が求められている。各調達先で品質管理や生育方法などが個々に異なり、それぞれに生産調整の必要があるため、調達先が増えるほど調整コスト増や連絡漏れによる生産物の供給過不足などが発生。定時・定量・定品質・定価格を実現するためにも、調達先のマネジメント機能を強化する必要があるという。
同社はこれらの課題を解決すべく、過去3年間の農業現場でのICT利活用実証実験利活用実証実験の成果を踏まえ、農業経営全般を包括的に支援するクラウドサービスとして体系化し、順次提供する予定。
Akisaiのコンセプト |
その第1弾として「農業生産管理SaaS」と「イノベーション支援サービス」を10月より提供する。
農業生産管理SaaSでは、「農業生産者向け生産マネジメント」と「食関連企業向け集約マネジメント」の2種類のサービスを提供する。
農業生産者向け生産マネジメントでは、農業生産におけるプロセスを見える化し、改善や効率化を支援する。具体的に、日々の生産現場の作業実績や生育情報といったデータを、モバイル端末やセンサーを使ってクラウド上に収集・蓄積・分析することで、圃場ごとの品質やコストを見える化。これらのデータを生かし、計画に対する実績の振り返りや、次の営農計画へ反映させることで、収益や効率性を高める企業的農業経営を可能にするという。
価格は月額4万円(税別)から。
生産マネジメントのイメージ |
食関連企業向け集約マネジメントでは、食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業向けに、全国数百~数千の仕入れ先契約生産者の生産計画・生産履歴・収穫量・生育情報などのデータを一元管理機能を提供。生産段階から状況を把握することで、契約生産者への生産マネジメントが可能となり、定時・定量・定品質・定価格での調達を支援するという。
価格は月額10万円(同)から。
集約マネジメントのイメージ |
一方、イノベーション支援サービスでは、農業生産者といっしょに目標を設定した上で、現場でのさまざまな課題を直接ヒアリングし、ICTを利用したPDCAサイクルの提案と実践を行いながら、現場で収集したデータを生かした農業経営管理を支援する。
価格は個別見積もり。