日立、ビッグデータから新たなビジネス価値を創出する新サービス


 株式会社日立製作所(日立)は6月6日、各分野の専門家(ドメイン・エキスパート)である顧客・パートナー企業の知見と、日立の技術・製品・ノウハウを活用して、企業や社会にあふれるビッグデータからの新たなビジネス価値創出を支援する「データ・アナリティクス・マイスターサービス」を、6月7日より提供開始すると発表した。

 このサービスは、今年4月にビッグデータ利活用に関する専門家「データ・アナリティクス・マイスター」を結集して設立した専任組織「スマート・ビジネス・イノベーション・ラボ」が中心となり、顧客・パートナー企業と協創しながら、日立がもつ豊富なデータ分析ノウハウや人財、「Field to Future Technology」をはじめとするビッグデータ利活用を支えるITプラットフォーム技術・製品(ビッグデータ利活用プラットフォーム)を駆使して、ビッグデータから新たなビジネス価値を創出する取り組み「イノベイティブ・アナリティクス」を実践、提供するもの。

執行役常務 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 CSOの渡部眞也氏日立のビッグデータ利活用事業

 同社 執行役常務 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 CSOの渡部眞也氏は、新サービスの提供にあたり、「当社では、ビッグデータ利活用事業を今後の注力分野の一つとして位置づけて、積極的に取り組んでいる。ビッグデータ利活用事業における当社の強みは、企業の基幹システムから社会インフラシステムまでの幅広い技術を保有している点、研究所との先行開発やグループ内のモノ作りを通じてデータ分析技術・ノウハウを蓄積してきた点、そして、世界トップクラスのストレージシステムなどビッグデータ利活用を支える多様なプラットフォーム技術・製品を保有している点の大きく3つ。今回、これらの強みをベースとして、新たに『データ・アナリティクス・マイスターサービス』を提供することで事業展開を強化し、2015年度にはビッグデータ利活用事業全体で1500億円規模の売上高を目指す」と、さらなる事業拡大に意欲を見せている。

データ・アナリティクス・マイスターによる「イノベイティブ・アナリティクス」の実践「データ・アナリティクス・マイスターサービス」におけるデータ・アナリティクス・マイスターの活動

 「データ・アナリティクス・マイスターサービス」では、顧客・パートナー企業との協創により、ビッグデータから新たなビジネス価値を創出する「イノベイティブ・アナリティクス」を実践していく。具体的には、(1)ビッグデータ利活用のための「ビジョン構築」、(2)ビジョンを実現するためのシナリオを描き、その価値を定量評価する「活用シナリオ策定」、(3)実際にデータ分析手法を確立するとともに、システム化した際の性能と、策定したシナリオの有効性を検証する「実用化検証」、(4)有効性を検証した上での最終的な「システム導入」――までの4フェーズのプロセスをトータルサービスとして提供する。

情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 副統括本部長 兼 ビジネスイノベーション本部長の安田誠氏

 実際のサービス提供においては、データ・アナリティクス・マイスターが、「ビジョン構築」から「実用化検証」までのフェーズを主に担当し、「実用化検証」のフェーズからは、SEが参画して最終的な「システム導入」を担当するという。同社 情報・通信システムグループ 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 副統括本部長 兼 ビジネスイノベーション本部長の安田誠氏は、「データ・アナリスト・マイスターは、ビッグデータからの新たなビジネス価値の創出を実現するため、日立独自の『Exアプローチ』や『ビジネスダイナミクス』、『数理分析』、そして『ITプラットフォーム』の4つの手法を用いることで、顧客のビジネスの構造を抽出し、ビッグデータの分析から得られる新たな気づきがビジネスに与える効果やその評価尺度を明確化する」と、同サービスにおけるデータ・アナリスト・マイスターの役割について説明している。

 今回、同社では、「データ・アナリティクス・マイスターサービス」の提供に向けて、データ・アナリティクス・マイスターを結集した専任組織「スマート・ビジネス・イノベーション・ラボ」を中心に、データ分析に関する技術者・研究者、BI(Business Intelligence)や大量データ処理などのシステムの構築・運営に携わるコンサルタントおよびSEなどを含め、日立グループ全体で200人超の体制を整備したという。

 このほか、多様なデータ分析ニーズに対応するため、研究所と先行的に開発に取り組んできたデータ分析技術や、モノづくりで蓄積した分析ノウハウ、ビッグデータを利活用するシステムの構築・運用実績を体系化した分析テンプレートを新たに整備している。

 今後の展開について安田氏は、「『データ・アナリティクス・マイスターサービス』の事業拡大のためには、当社だけの力では難しい。今後、各分野における高度な技術・知見をもったサービスパートナーやテクノロジーパートナーと協力し、より深いビジネス価値を生み出すための協業モデルを構築していく」と、パートナープログラムによる協業スキームを積極的に企画し、顧客・パートナー企業やグループ企業との協創を推進していく考えを示した。


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