CTC、津波の被害評価シミュレーションサービスを開始


 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)は20日、津波シミュレーション技術、流体解析技術、構造解析技術を組み合わせた、津波による被害評価シミュレーションサービスの提供を開始した。石油プラント、化学薬品施設、港湾施設などを中心に営業展開し、3年間で5億円の売上を目指す。

 津波被害を評価する津波シミュレーションは、従来津波の高さから波力を計算し、沿岸地域における浸水域を評価する、2次元平面の津波解析モデル(非線形長波モデル)が一般的だった。しかし、この解析モデルは垂直方向の流速を平均化しているため、構造物への影響を評価するには適さなかった。

 そこで今回、2次元平面の津波解析シミュレーションと数値流体力学に基づく3次元流体解析ソフト「FINA/CFD」を開発、従来の手法と組み合わせることで、構造物への津波被害の評価手法を実現。2次元平面の津波解析シミュレーションを1m以下のメッシュまで細分化し、3次元での流体解析を行うことで、構造物にかかる圧力がどのように変化するかを求める手法で、構成材料や構造を加味した解析により、変化する圧力からの構造物への被害を評価できるとする。

 また、財団法人計算科学振興財団のスーパーコンピュータで並列計算することで、数百万から数千万に細分化された広域な流体解析も可能にしている。

浸水前の相馬港周辺浸水深最大時のシミュレーションイメージ

 CTCでは、東日本大震災後に、津波解析、流体解析、構造解析の専門家からなる横断チームを編成し、東北地方沿岸の港湾・構造物を対象に、今回の津波3次元シミュレーションを実施し、手法の妥当性を確認しているという。この結果を基に、今後起こりうるサイダ規模の津波を想定した防災・減災対策に貢献するべく、津波に対する被害評価シミュレーションを提供していく。

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