NEC、“ビッグデータ”のリアルタイム分析を行える処理基盤技術~消費電力も低減


 日本電気株式会社(NEC)は8日、“ビッグデータ”のリアルタイム分析を低消費電力で行える処理基盤技術を開発したと発表した。NECは今後、この技術をM2M導入支援ソリューション「CONNEXIVE」で実証し、2012年度の商用化を目指す。

 この技術は、センサーなどから収集されたビッグデータをリアルタイムで分析し、ユーザーに情報提供するとともに、分析システムで利用する分散ストレージの消費電力を従来比で2/3に低減するもの。収集したデータを、分析するアプリケーションに適した形式へ従来比10倍の速度で変換するアーキテクチャと、処理するデータ量に応じて一部の計算リソースを停止し、省電力化を実現する分散ストレージの、2つの技術から構成されている。

 前者の技術では、変換に伴う再構築が不要で、データの蓄積と分析が同時に行えるので、約5分前など直前のデータを分析でき、ユーザーへよりリアルタイムな分析情報を提供可能とのこと。また、ほかの分析処理の追加拡張にも対応し、安価で小規模な基盤システムから構築を行えるとした。

 一方、後者の分散ストレージ技術は、ストレージノードを停止する前に、必要なデータを稼働中のノードに移行するデータ配置制御と、停止したノードへの書き込み・読み込み要求を、ほかの稼働中ノードに転送するリクエスト転送制御から構成され、一定時間アクセスのないストレージを、処理性能を低下せずに稼働停止できるようになる。

 なおNECではこの技術の有効性を実証するため、自動車分野に応用したデモシステムを構築した。同システムは、約2万台の自動車から10秒ごとに送られてくる位置情報、搭乗者のつぶやきに応じて、音声広告や周辺情報を提供し、広告利用情報などのデータを収集・蓄積しながら広告効果を分析しているが、分析結果をもとに、より効果の高い広告に変更して配布したり、車載センサーからのデータ量が減ると、利用する計算リソースを停止して消費電力を削減したり、といった取り組みを行っているとのこと。さらに、処理速度を維持しながらシステム規模の拡張を行えるほか、管理する自動車や広告配布数の増加、別の情報配信サービスの追加などにも対応するとしている。

 またNECは、11月10日から11日まで、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催されるプライベートイベント「C&Cユーザフォーラム&iEXPO2011」で、この技術を展示する予定だ。

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(石井 一志)
2011/11/8 17:16