シュナイダーエレクトリック、データセンター向けの統合マネジメントソフト

データセンターのITインフラとファシリティを統合管理


米Schneider Electric Japan Country PresidentのSerge Goldenberg氏

 シュナイダーエレクトリック株式会社(旧APCジャパン)は10月11日、データセンター向けの様々なソフトウェアを統合した、物理インフラ統合ソリューションのマネジメントソフトウェア「StruxureWare for Data Centers」を発表した。

 新製品の発表に先立ち、米Schneider Electric Japan Country PresidentのSerge Goldenberg氏が、同社の事業概要を説明した。「当社は、エネルギーマネジメントのスペシャリストとして、世界をリードしてきた。2010年の売上高は約2.1兆円で、その37%が新興諸国で占められている。また、100カ国以上に11万人以上の従業員を配置し、低電圧、中電圧、産業オートメーション、電源冷却、ビルディングオートメーションセキュリティの5つの事業にフォーカスして取り組んでいる。そして、これらの製品群を統合し、エネルギーを有効活用するソリューションを提供している」という。

 「日本市場では、1962年に日本駐在事務所を開設して以来、さまざまな企業とのパートナーシップによってグループ会社や支社を設立してきた。現在は、100%出資会社のシュナイダーエレクトリックとデジタル、そして合弁会社の東芝シュネデールインバータと富士電機機器制御の4つのグループ企業が約2700人の従業員を擁し、R&D、製造、マーケティング&セールスなど幅広い活動を全国で展開している」と、日本市場において着実に事業を拡大していると述べた。

 今回発表した新製品「StruxureWare for Data Centers」は、同社が提唱するエネルギーマネジメントの統合ソリューションアーキテクチャ「EcoStruxure」のコンセプトに基づいた、データセンター向けソリューション。データセンターインフラとデータセンターファシリティを統合管理するソフトウェアで、データ収集、監視、自動化、プランニングおよび運用の機能によって、データセンターに不可欠なすべての物理インフラシステムを、あらゆる角度から統合的に管理することができるという。

米Schneider Electric Vice President, Enterprise Management and SoftwareのSoeren Brogaard Jensen氏

 米Schneider Electric Vice President, Enterprise Management and SoftwareのSoeren Brogaard Jensen氏は、エネルギー管理の市場動向について、「2000年から2007年までの7年間で、電力/冷却コストは倍増している。そして、今後5年を見ても、電力/冷却コストの伸びは、サーバーコストの8倍にもなると予測されている」と指摘。「企業にとっては、より少ない予算で、既存のデータセンターのエネルギー効率を高めていくことが重要な課題になっている。この課題を解決するポイントとなるのが、データセンターのITインフラとファシリティを統合管理することだ」とし、今回の統合管理ソリューション「StruxureWare for Data Centers」によってデータセンターのエネルギー管理の効率化が実現できると強調した。

包括的なデータセンター管理ソフトウェアの「StruxureWare for Data Centers」3Dシミュレーション機能

 具体的に「StruxureWare for Data Centers」の構成製品としては、運用管理コンポーネント「StruxureWare for Data Centers:Operation Suite7.0」と、監視コンポーネント「StruxureWare for Data Centers:Monitoring Suite7.0」の製品群で構成されている。

 「StruxureWare for Data Centers:Operation Suite7.0」は、あらゆる規模のデータセンターのニーズに応えられる柔軟性とスケーラビリティを持ち合わせたエンタープライズソフトウェア。物理サーバーと仮想サーバーの両方に導入することができる。また、クラスタアーキテクチャの追加によって、エンドユーザーが求めている最高レベルの可用性と冗長性を実現する。このほか、世界中の任意のデータセンター拠点に「ドリルダウン」してリアルタイムのキャパシティを確認する機能や、データセンターの特定の拠点での警報概要を取得する機能などが含まれている。さらに、3Dシミュレーション機能も備えており、あらゆるデータセンターのエアフローや温度分布のシミュレーションを3Dですぐに表示・確認することが可能となっている。

 一方、「StruxureWare for Data Centers:Monitoring Suite7.0」は、「StruxureWare for Data Centers:Central」、「StruxureWare for Data Centers:Power」、「StruxureWare for Data Centers:Cooling」の3製品で構成される。

 「StruxureWare for Data Centers:Central」では、データセンターにおける物理インフラ機器を統合し、電力、冷却、温湿度などの環境、監視カメラなどを一元管理することができる。また、新たにウェブブラウザベースの参照用クライアントインターフェイスを提供することで、専用クライアントをインストールすることなく、ある程度の監視情報を参照可能となる。このほか、バーチャルセンサー機能により、複数の温度センサーや電流/電力情報をまとめて1つのセンサーとして扱うことができ、しきい値を設定して監視することもできる。

 なお、既存のアプライアンスの形態での提供に加え、今回からはソフトウェアとしても提供し、仮想マシンノードとして、VM環境やエンドユーザーのサーバーハードウェア環境への導入が可能になった。11月より展開開始する予定。

 「StruxureWare for Data Centers:Power」は、電源に関するモニタリングを管理するソフトウェア。「PowerLogic ION Enterprise」の刷新バージョンを2012年より展開する予定。「StruxureWare for Data Centers:Cooling」は、冷却に関するモニタリングを管理するソフトウェア。「Andover Continuum / Cyberstation」の刷新バージョンとして、2012年から展開予定となっている。


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