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LPI-Japan、「オープンソースデータベース標準教科書 -PostgreSQL- 」を無償公開
2011年10月5日 13:15
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)は10月5日、PostgreSQLを体系的に学習するための教材「オープンソースデータベース標準教科書 -PostgreSQL-」を無償公開した。オープンソースデータベース技術者認定試験のホームページおよびLPI-Japanのホームページからダウンロードできる。
LPI-Japanが無償提供するオープンソースの教科書としては、第4弾となる。第1弾として2008年6月に提供を開始した「Linux標準教科書」は、すでに多くの教育機関等によって利用され、ダウンロード数は18万件に上る。
はじめてデータベースを学習する初心者向け
「オープンソースデータベース標準教科書 -PostgreSQL-」は、データベースをこれから学び始める初心者向けの教科書。「SQL言語を使ったデータベースの操作」、「データベースの作成や管理」といった基礎を学習する内容となっており、データベース初心者の方でも迷わないためのガイドとなるよう、できるだけ簡潔で分かりやすく、実際に動かしてみて理解できるよう配慮して執筆したという。
多様化する学習端末に対応するため、PDFとEPUBの2つの形式で提供する。教科書の解説範囲は、「OSS-DB技術者認定試験Silver」の受験対策にも活用できるものとなっている。
ただし、今回の教科書は一からデータベースを学習できるよう、SQLなどデータベースの基礎部分に注力しており、運用管理などについては実習は含まず解説にとどめた。一方、「OSS-DB技術者認定試験Silver」の出題は、運用管理が50%、SQLが30%となっており、SQLについてもやや高度な内容となっている。LPI-Japanのテクノロジーマネージャー 松田神一氏はこの点について、「今回の教科書はあくまで基礎の部分を学習するものと考えていただきたい」とコメントした。
LPI Japan理事長の成井 弦氏は、「データベースを初めて勉強する人も理解できる教科書となっており、PostgreSQLをダウンロードして、実際に使いながら勉強できる点は、オープンソースならではの特長と言える。商用SQLでは、個人がダウンロードして、あるいは学校で必要なだけダウンロードおよびインストールして勉強することは難しい」と、個人でも手持ちのPCにインストールして動かしてみながら学習できるオープンソースならではのメリットを述べた。
「初心者にデータベースの面白さをわかってもらえる教科書に」びぎねっとの宮原社長
今回の教科書の開発にあたっては株式会社びぎねっとの宮原 徹社長が監修にあたり、株式会社達人出版会の高橋 征義氏がEPUB版制作を担当したほか、多くのデータベースエンジニアがボランティアとして企画構成、査読などに参画。これにより、無償提供を実現した。
宮原社長は、「今回の教科書は専門学校、大学を中心に、“自習形式で勉強するときのテキストがない”という教育現場の声にこたえて制作した。OSSDBの試験が来年7月にスタートするが、既存の書籍は内容的に高度なものが多く、未経験の人がデータベースの基本的な、SQLの使い方といったところから覚えていけるテキストがなかった。このため、完全に初心者対応という形で勉強できるものにした」と一から初心者向けに制作した背景を説明。
また、「データベースでは、正規化という話がひとつの壁になる。実際に正規化について書いてみると、ものすごく難しくなってしまった。データベースは面白いものだし、これから勉強する方に面白いと思ってもらえるよう、説明については足りない部分はあるかもしれないが、“とにかく動く”というものにした」とコメント。初心者向けのため、学習のモチベーションが維持できるような教科書作りを目指したと述べた。