シームレスなタスク管理機能を搭載した「サイボウズ Office 9」

MDMを実装した「KUNAI」新版も提供


 サイボウズ株式会社は3日、SMB向けグループウェア新版「サイボウズ Office 9」を発売した。併せて、スマートフォン向けアプリ「サイボウズKUNAI for iPhone」「同 for Android」も無償提供を開始した。


データベース機能を統合した「サイボウズ Office 9」

代表取締役社長の青野慶久氏

 サイボウズ Office 9では、グループウェアの基本機能に加え、業務に合わせたツールを作成する簡易的なデータベース機能である「カスタムアプリ」を搭載した。代表取締役社長の青野慶久氏によれば「ほぼサイボウズデヂエを同等のもの」という。

 カスタムアプリを使うことで、Excelファイルで管理しているような売り上げや備品などの情報をサイボウズ Office 9に集約できる。カスタムアプリ上のデータは複数のメンバーで同時に閲覧・更新できるので、常にリアルタイムの情報を利用可能。カスタマイズでさまざまな用途に使えるのも特長だ。

 青野氏はカスタムアプリ搭載の狙いを“情報系と基幹系の融合”と語る。「仕事の多くは、タスクを依頼するコミュニケーション(情報系)から始まり、それをメモやデータベースに登録してタスク管理すること(基幹系)で回っていくが、この情報系と基幹系が分断しているため、誰がどんな仕事を抱えているのか、他の人から分かりにくい状況となっている。そこで今後グループウェアに必要とされる進化は、基幹系をも内包してしまうことだと考えた」。

 カスタムアプリは、データベース機能を軸とした共有タスク管理ツールとして利用できる。誰かに仕事を割り当て、メンバー間で共有し、タスクの締め切りはスケジュールにも表示されるので見逃す心配も少ない。また、タスクを他のユーザーへ受け渡し、「作業中」「保留」「作業完了」など、ワークフローのように運用することも可能となる。

サイボウズ Office 9トップ画面タスク管理画面。タスクを作成し担当者を割り当てられる

スケジュール画面スケジュール画面から締め切り日を決めてタスクを登録することも可能

 ラインアップは「スタンダード」と「プレミアム」の2種類。スタンダードは、スケジュール・施設予約・メッセージなどのグループウェア基本機能に加え、追加オプションで提供してきたワークフロー、プロジェクト、報告書、ケータイライセンスを包括した。プレミアムではこれに加え、カスタムアプリが利用できる。スタンダードで利用できる機能が拡張されているのがポイントだ。

 併せて、価格も改定した。例としては、10ユーザー版のスタンダードが6万3800円、プレミアムが8万2800円。50ユーザー版が18万9000円と24万8000円。100ユーザー版が37万8000円と49万8000円。150ユーザー版(新設)が52万8000円と68万円。200ユーザー版が68万4000円と88万円。250ユーザー版(新設)が84万円と108万円。


MDM機能など搭載した無償スマホ向けアプリ

「サイボウズKUNAI for iPhone」トップ画面の説明

 今回は併せて、スマートフォン向けアプリ「サイボウズKUNAI for iPhone」「同 for Android」の正式版も提供する。グループウェアで管理されている情報に場所を問わずアクセスできるツールで、従来はスケジュール機能中心の「KUNAI Lite」と、メッセージやワークフローも利用できる「KUNAI」の2種類が用意されていたが、今回のリリースで「KUNAI」に一本化し、無料で提供する。

 主な機能は「スケジュール」「ワークフロー」「メッセージ」「お気に入り」「通知一覧」「アドレス帳」「Cybozu.net」「個人設定」「ダウンロード一覧」。リリース時はiPhone版のみとなるが、追ってAndroid版も提供する。

トップ画面カレンダー画面。日付を複数選択するとその期間のスケジュールが一覧できる

受け取ったメッセージの受信箱スケジュール、メッセージ、ワークフローの通知を一覧することも可能

 このほか新機能として、「社外からのセキュアなアクセス経路」「リモートワイプ(初期化)」「端末管理」「ユーザー管理」をセットにした「KUNAI MDM(モバイルデバイス管理)」パックもオプションで提供する。

 「社外からのセキュアなアクセス経路」は「サイボウズリモートサービス」のことで、従来は社内のサイボウズ製品限定のみがアクセス対象だったが、社内Webサイトや他社製SFAにもアクセス可能にするなど強化を図った。

リモートサービスの設定画面。他社製品を含めアクセス対象とするアプリを登録できるクライアント証明書の発行画面

 また、クライアント証明書を使ったリモートアクセス制御機能も搭載。「営業部にはグループウェア+SFA」「人事部にはグループウェアのみ」「インターンなどには3カ月のみ」など、アクセス対象やアクセス可能期間を限定してサービスを提供できるようになった。

端末一覧画面端末を初期化することが可能

 MDM機能としては、各端末を集中管理するポータルから端末の初期化やクライアント証明書の無効が可能となっており、これにより端末紛失時の情報漏えいを防止できる。ただし、現状では端末の機能やインストールアプリの制御などには対応していない。

 KUNAIは無料。リモートサービスとMDM機能はいずれも有料で、前者の価格は従来と同じ10ユーザー版で10万8000円/年から、後者の価格は5ユーザーで4万8000円/年。

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