日本オラクル、ビジネス主導型IT管理を実現する「Enterprise Manager 11g」

Ops Centerもラインアップに追加、旧サン製品も統合管理可能に


ビジネス主導型のIT管理を実現
米Oracleのシステムズ・マネジメント担当副社長、スティーブ・ウィルソン氏
Ops Centerもラインアップに追加された

 日本オラクル株式会社は27日、統合IT管理ソフトウェア群の新版「Oracle Enterprise Manager 11g」を発表した。各レイヤを統合した管理や、ビジネスアプリケーションのユーザーエクスペリエンスおよびトランザクションにフォーカスした監視など、ビジネス主導型のIT管理を実現しているという。提供は同日より開始される。

 Enterprise Managerは、日本オラクルが提供するシステムの全レイヤを、一括して管理・運用できる統合運用管理ソフトウェア群。単なるデータベースの管理にとどまらず、上位のアプリケーション、ミドルウェアから、ハードウェアを含めた下位のインフラレイヤまでを、一気通貫で管理運用できる。

 新版では、まず、各管理対象製品の最新バージョンをサポート。ミドルウェア製品群のOracle Fusion Middleware 11gやOracle Database 11g R2に対応したほか、Oracle Exadataアプライアンスに対するSQL監視、Oracle Exadata Version 2向けのI/Oリソース管理機能が提供される。

 旧版「Enterprise Manager 10g R5」では、米Oracleによる米BEA買収を受け、WebLogicやCoherenceなどの旧BEA製品についても管理を行えるようになっているが、新版では、米Sunの統合を受けて、「Enterprise Manager Ops Center」をラインアップに追加。SunのハードウェアやSolarisを含む、Sunの物理環境および仮想化環境のライフサイクル全域に対応した。

 米Oracleのシステムズ・マネジメント担当副社長、スティーブ・ウィルソン氏は、「アプリケーションから、サーバー、ストレージまで、シングルスタックで提供できる点が強みだが、Sunの買収によって、OSやハードウェアまでをさらに一緒に管理可能になった。管理のサイロ化を排除可能だ」としたほか、「特定のレイヤだけで使いたいという場合でも、最高の製品を提供できる」とし、個々の管理機能についても見劣りがしないとアピールしている。

 さらにEnterprise Manager 11gでは、「ビジネス主導型アプリケーション管理」を提供可能な点も強みだと、ウィルソン氏は説明する。一貫した管理をシステム全体で行えることから、ユーザー視点でのビジネスアプリケーションの可視化を実現できるのみならず、各階層をふかんして問題やボトルネックを特定し、迅速な問題解決が図れるようになった。

ビジネス主導型アプリケーション管理統合されたシステム管理とサポート

 このほか、サポート・ポータル「My Oracle Support」との連携により、システム管理とサポートとの統合も可能になったとのこと。ウィルソン氏は、「Enterprise ManagerからMy Oracle Supportへのリンクが提供されたことで、My Oracle SupportがWebサービスとなった。例えば、Oracle Databaseで問題が発見され、バグ改善のサービスリクエストをOracleに送る場合、ログファイルの提供をEnterprise Managerが自動でやってくれるようになる」と、例を挙げてこのメリットを説明。

 また、「インターネットを通じてOracleに接続することで、ベストプラクティスを入手し、お客さまの知識と組み合わせ、プロアクティブな対策を提供できるだろう」とも話した。

日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏

 一方、国内については、まず、データベース製品の旧バージョンのユーザーに対して、大きく働きかけていく姿勢を示す。日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、「多くのお客さまは、Oracle Database 8/9を使っているケースが多く、システム管理は、まだ旧版のレベルで運用されている。そうした場合、企業のシステム部門では、一般的なシステムマネジメントツールを使って、データベースの生き死にのみを管理していることが多いが、これでは、効率的な管理はできない」と、問題点を指摘。

 その上で、バッチ処理の進行状況を監視してボトルネックを発見するリアルタイムのSQLモニタリング機能を例として紹介し、「地味な点だが、Enterprise Managerではこういった機能を1つ1つ積み上げてきた。このような機能による深い監視を、アプリケーション、データベース、ミドルウェアなどのレベルで提供し、日本のITを進化させていきたい」と述べた。

Real Time SQL Monitoring次世代のデータベース管理を実現するという
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(石井 一志)
2010/7/27 16:47