米SymantecセーラムCEO、仮想化・クラウドなど5つのメガトレンドへの対応は準備万端とアピール


 株式会社シマンテックは27日、米本社のエンリケ・セーラム社長兼CEOが来日したことを受け、記者会見を開催。同社が目指す方向性と、そこに対応するSymantecの体制について日本の報道陣向けにアピールした。

ITを取り巻く5つのメガトレンド

米Symantec エンリケ・セーラム社長兼CEO

 最初に、セーラムCEOは現在のIT業界を取り巻くメガトレンドとして、次の5つを挙げた。

(1)ITデータの急速な拡大
(2)セキュリティ脅威の変化
(3)モバイル活用の進展
(4)仮想化
(5)クラウド

 1番目にあげたデータの急増については、「昨年のデータ増加率は40%と予測していたが、IDCの発表では昨年のデータ増加率は62%。急増しているデータは、ビデオ、プレゼンテーションなど非構造データの割合が大きい。これらのリッチなデータをどのようにストアし、バックアップし、どこにどんなデータがあるのかを発見し、レポートして管理する要求が出ている。Symantecはこうしたニーズすべてに答えるソリューションがある」と説明した。

 2点目のセキュリティ脅威の変化については、「かつてのスパイ活動から、破壊活動へと質が変化している。実際に有名な企業がターゲットとなった深刻な事件が起こっている」と指摘。さらに、「企業、官公庁、国とあらゆるところが攻撃対象となり、誰も逃れることができない状況となっている」と攻撃の深刻さを訴えた。

 3点目のモバイルについては、「スマートフォンの活用が急増している。世界中に14億台ものPCが存在するが、それを上回る数のスマートフォンが販売されるようになった。この傾向は、日本では新しい傾向ではない。世界で最初に日本がスマートフォンを取り入れ、今、ようやくほかの国がそこに追いついたところだ」とスマートフォンの増加を挙げた。

 また、「iPad2は発売後、最初の週末で100万台が販売され、そこから企業データにアクセスしたいという要求が生まれている。携帯端末で顕著なのは、伝統的な携帯電話に比べ、データ通信が増加していることで、4000%成長となっている」とモバイルからのデータ通信利用が増加していることも付け加えている。

 

仮想化への対応は?

 4点目の仮想化については、「コスト削減というニーズにこたえることができるのが仮想化。上昇するITコストを抑えるために、より効率よいIT活用が必要となり、そのニーズが仮想化普及の由縁でもある」と述べ、ITコスト抑制が増加の要因であるとした。

 70%のサーバーが仮想化される見込みで、「ストレージをどう仮想化し、バックアップし、プロビジョニングしていくのか。その際の管理の方法や可用性、リカバリーといった点に考慮する必要がある。こうした問題をクリアすることで、2014年ごろにはテスト環境だけでなく、ビジネスクリティカルサーバーの本番稼働においても仮装化が進展すると見られる。さらに高セキュリティ性も要求されるようになるだろう」と仮想化もミッションクリティカル分野へと普及していくだろうとの見通しを示した。

 ミッションクリティカルアプリケーションの仮想化は、Symantecにとってビジネスチャンスが大きいとして、「お客さまが妥協なく、仮想化に移行できるよう、VMwareと一緒にアプリケーションハイアベイラビリティ(HA)技術を開発した。Backup Exec 2010に搭載されるV-Rayテクノロジーは、単一のバックアップソリューションによって物理環境と仮想環境に高い可視性を提供し、時間の節約と全般的な複雑性の軽減を実現する。これはできるだけ細かいコントロールがしたいという要望にこたえて作ったものだ」と製品強化を進めていると話した。

 

懸念が解消されてきたクラウドは今後の重要な要素に

 5点目のクラウドについては、「クラウドに対してはセキュリティの面で懸念の声があった。レイテンシ(遅延)という点でも懸念材料があった。しかし、クラウドはバズワードではなく、今後主流となる活用方法だと考える。生産性をあげ、ビジネスのあり方をかえ、ITの複雑さを軽減していく、重要な要素になっていくだろう」と一過性のものではないとした。

 提供方法としては、「クラウドは、ボックスですぐに届くというものではない。主要なクラウドベンダーと組むことが重要。Amazon、eBayとの連携は重要なものだし、ローカルな提携例としては日本では富士通と提携した。Symantecが提供するのは、人々がクラウドを作る手伝いだけでなく、セキュリティから管理、HAの実現まで提供することができる。これだけレンジの広いソリューションを提供できるのは、当社だけだ」とパートナーを通して、レンジの広いソリューションを提供する。

 日本での富士通との提携については、9月27日付けで「Symantec System Recovery 2011」が富士通の提供するクラウドサービス「FGCP/S5」に採用されたことを発表した。

シマンテック日本法人の 河村浩明 代表取締役社長

 これについて日本法人では、「当社と富士通との提携は、2010年2月に発表したグローバルなパートナーシップに基づくもの。富士通からは、Symantecのソリューションを高く評価してもらっている。今後、さらに富士通のクラウドサービスに当社製品が活用されることを期待している」(シマンテック 代表取締役社長 河村浩明氏)としている。

 こうしたトレンドを具現化していくことで、「人々はシンプルでセキュリティがしっかりしたつながりを求めている、どこにいても、同じようにアクセスすることが可能で、よりスケーラブルで、低コストでなければならない。企業側も必要なサービスをコストあげずに提供できるようになることを企業は求めている。企業の中でも個人としての情報にアクセスし、家庭でも企業の情報にアクセスすることが必要で、それを安全に実現するために、当社の製品を提供していく。今後は、誰が、どこから、どんな作業をしているのか識別し、認証し、安全にそれを管理する必要があるが、われわれはVeriSignを買収したことでそれを実現した」とインターネット活用で、個人生活とビジネスの境界があいまいとなる中で、それをきちんと管理することができると強調した。

 それを実現できる具体例としては、NTTドコモとSymantecが、FOMAネットワークを通じ
た情報漏えい対策ソリューションを共同開発すると2月に発表したことを挙げた。このソリューションを利用すると、遠隔でノートPCの起動をロックしたり、HDD内のデータを無効化したり、といったことが可能になるもので、「こうした包括的な提携関係が、情報漏えいを防ぐために必要になる」とした。

 また、企業内のミッションクリティカルなデータを保護するために、社内にあるデータの中で正しいデータがどれなのか、文脈から見極める必要があるとも話す。

 「企業内のデータのすべてが同じセキュリティレベルにあるわけではない。コンフィデンシャルなものは20%程度、残りは外部との共有が可能なものだ。データの中身によってセキュリティレベルを買える必要があり、重複を排除するインテリジェントなアーカイブも必要だ。企業内を見回すと90%のデータが重複している。この無駄は是正すべき」。

 こうした実績を挙げセーラムCEOは、「Symantecは5つのメガトレンドに対し、ユニークなポジションを持っている。セキュリティ分野でナンバー1であり、環境変化の中でもリーダーとして活躍し、4連続四半期で業績を伸ばし、大きなチャンスを迎えている」と締めくくった。

 

世界でもさまざまな政府と協力しセキュリティ対策を提供

 質疑応答では、日本で三菱重工のサーバーに不正侵入が見つかり、国防上、重要なデータが漏えいした可能性があることが明らかになった直後だけに、「国を脅かす脅威にSymantecはどう対処していくのか?」という質問が出た。

 セーラムCEOは、「当社は全世界のいろいろな政府と協力している」として、(1)グローバルインテリジェンスネットワークという技術を使い、世界で何が起こっているのかを監視し、早期の警告を行う、(2)適切な保護技術の提供、(3)攻撃の撃退、(4)どのように迎え撃つのか、攻撃の源泉の理解、といった4つのプランがあると説明した。

 「日本においても、国会議員や防衛関係の方とセーラムCEOが面会し、当社ができることについて、より具体的な話をする予定となっている」(河村社長)。

 国への攻撃をしかける相手としては、国から国への攻撃、組織化した犯罪集団、Anonymousのような行動的なハッカー集団、の3つが考えられるとした。

 組織犯罪集団は、各国の国内に加え、東欧、ラテンアメリカなどの地域からの攻撃も増えているという。

 また、近年では企業がソーシャル活動によってビジネスを進めるため、個人と企業の境界があいまいになってきているが、セーラムCEOは「すべてのIT管理をしたい企業側と、プライバシーを守りたい個人とで相反する課題があるが、当社のソリューションを利用すれば、管理を徹底しながら、個人の情報も保護できる。ここにもビジネスチャンスがある」と前向きにとらえていると説明した。

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