情報系SaaSは有望市場、2015年に1000億円規模を突破~ミック経済


 株式会社ミック経済研究所(以下、ミック経済)は12日、「情報系SaaS市場の現状と展望 2011年度版」(調査期間2011年2月~7月)を発表した。国内の主要情報系SaaSベンダー企業80社を対象に、各社の情報系SaaS売上高推移、事業戦略について調査している。


情報系SaaS市場は二ケタ成長が続く有望市場

 2010年度の情報系SaaS市場は前年度比21.3%増の513億円。2011年度も同程度の伸びが期待され、622億円まで拡大する見通し。ユーザー企業においてITシステムの「所有から利用へ」というトレンドが色濃いためで、2015年度には1081億円に達すると予想する。また、2010年~2015年までCAGR(年平均成長率)は16.9%と、二ケタ成長が続く有望市場だと見ている。


CMS、Web会議が今後高い伸び

 情報系SaaS市場を20カテゴリに分類した場合、最も市場規模の大きいカテゴリはSFA市場であった。2010年度の同市場の規模は102億円で、前年度比15.8%増の成長となった。SFA市場の7割以上を占めるセールスフォース・ドットコムの売上高は前年度比20.6%増で市場のけん引役となっている。

 また、2011年度に高い成長率が期待されるのは、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)市場とWeb会議システム市場と予測。CMSは2011年度は18億6000万円とまだ小さいものの前年度比64.6%増の大幅増となる見通し。その背景にはスマートフォンの普及がある。エンドユーザーごとに異なるコンテンツや、スマートフォンの小さな画面でより豊富で複雑な情報を含んだWebサイトを、手軽に構築したいというニーズが拡大しているという。

 一方、Web会議システム市場は2011年度に70億4000万円で、前年度比38%増となる見通し。出張費削減というニーズが寄与する。なお、震災後に在宅勤務ツールとして知名度がアップしたWeb会議システムだが、これが直接的に売上増につながったベンダーはごくわずかだったという。


情報系SaaS市場におけるシェアトップ5社

 2010年度の情報系SaaS市場全体におけるシェアでは、セールスフォース・ドットコムが1位(14.8%)、統合セキュリティをSaaSで提供するマカフィーが2位(3.7%)、Web会議システムなどを提供するシスコが3位(3.2%)、Web会議システムやシンクライアント、IVRをSaaSで提供するNTTアイティが4位(2.7%)、統合CRMをSaaSで提供するシナジーマーケティングが5位(2.6%)と続いた。

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