日本オラクル、大量データ処理のニーズに応える独自のストレージ製品戦略を展開


 日本オラクル株式会社は29日、ストレージ製品に関する戦略説明会を開催した。今回の説明会では、ストレージ製品ポートフォリオの中でも、爆発的に増加している非構造化データに最適なNASストレージ「Sun ZFS Storage Appliance」、およびテープストレージ「Oracle StorageTek」にフォーカスを当て、各製品の特徴や機能などが紹介された。

 執行役員 システム事業統括の野々上仁氏は、ストレージ製品を取り巻く市場環境の変化について、「スマートフォンやSNSメディアの急速な普及にともない、新規に発生するデジタルデータは、10年後には現在の約30倍にまで拡大すると予測されている。そして、その80%のデータに企業が関与し、50%はセキュリティ対策が必須になると見られている。そのため、これからのストレージ製品には今まで以上に大量のデータを効率よく処理していくことが求められる」と説明する。


執行役員 システム事業統括の野々上仁氏オラクルのストレージ製品の価値

 これに対して同社では、オープンでベストな組み合わせを実現するコンポーネントへの投資を強化するとともに、ソフトとハードを密に結合させて一体開発した超高性能マシン「Engineered Systems」、およびアプリケーションに最適化された検証済み構成の「Optimized Solutions」を展開。「日本オラクルは、ストレージ製品のハードウェアだけでなく、アプリケーションやミドルウェア、データベース、OS、仮想マシン、サーバーまで、フルスタックの製品ラインアップをそろえているのが強みだ。そして、アプリケーションの視点からストレージをどこまで最適化して使えるか、また、データベースがストレージのパフォーマンスをいかに引き出せるかといった観点で統合を行い、性能・可用性・セキュリティ・管理性に優れたストレージ製品を提供している」(野々上氏)と、独自のストレージ戦略を推進していることを強調した。

 同社のストレージ製品がユーザーにもたらす価値としては、(1)日本オラクルのソフトウェアとの組み合わせによりシームレスな統合管理を実現、(2)Oracle Databaseとの組み合わせで最高のパフォーマンスを提供、(3)無駄なディスク容量を作らない効果的なストレージ利用を実現、(4)一貫したセキュリティを提供--の4つを挙げ、「今後も一般的なストレージベンダーとは異なる差別化戦略を展開していく」(野々上氏)考えを示した。


システム事業統括 ビジネス推進本部 プリンシパル・セールス・コンサルタントの寺島義人氏オラクルのストレージ製品ポートフォリオ

 具体的なストレージ製品のポートフォリオは、データベースプラットフォーム「Oracle Exadata/Exalogic」、NASストレージ「Sun ZFS Storage Appliance」、6月に買収したPillar Data SystemsのSANストレージ「Axiom」、テープ/仮想テープ製品、そしてフラッシュストレージ、各種ストレージソフトウェアで構成される。このうち、今回の説明会では、爆発的に増加している非構造化データを効率的に扱うための製品として、NASストレージ「Sun ZFS Storage Appliance」とテープストレージ「Oracle StorageTek」をピックアップ。システム事業統括 ビジネス推進本部 プリンシパル・セールス・コンサルタントの寺島義人氏から、各製品の特徴や機能などについて説明があった。


「Sun ZFS Storage Appliance」の特徴「Sun ZFS Storage Appliance」による省電力の実現

 まず、「Sun ZFS Storage Appliance」の特徴について寺島氏は、(1)直感的な操作性で容易な管理を実現、(2)フラッシュメディアを効果的に用いた省電力設計、(3)ビッグデータに余裕で対応できる拡張性--の3点を挙げ、「使いやすい管理ツールとリアルタイム・パフォーマンス・モニターによって管理が容易になり、他社製品と比較して、構成の設定や変更作業時間を45%削減、システムの監視時間を44%削減、ストレージ割当時間を34%削減できる。また、HDDとDRAM、SSDの3種類のメディアを自動的に最適利用するハイブリッドストレージプールにより、従来型ストレージに比べてコストを1/3、消費電力も1/4まで低減することが可能。さらに、理論上では、最大プールサイズが2億5600万ペタバイト、最大プール数が1600京個と、巨大なデータにも余裕で対応できる高い拡張性を備えている」としている。


階層型データ管理による高コスト効率・大容量化テープライブラリのハイエンドモデル「SL8500」

 テープストレージ「Oracle StorageTek」では、オートローダーから大規模ライブラリまで幅広いラインアップをそろえている同社だが、「古い技術であるテープストレージを今の時代に積極的に活用し、ディスクストレージやフラッシュメディアと組み合わせた階層型ストレージを新たに提案している」(寺島氏)という。「階層型ストレージでは、アクセス頻度を考慮し、適材適所で各種ストレージを構成する。例えば、データ生成にはフラッシュメディア、データの利用やバックアップにはディスクストレージ、そしてアーカイビングにはテープストレージを活用。これによって、高コスト効率および大容量化を実現できる」(寺島氏)と、そのメリットを訴えている。あわせて、同社では、階層型ストレージを1つのファイルシステムで自動管理する「Storage Archiving Manager」を提供。これにより、異なるストレージ間でも、通常のファイルシステムとしてアプリケーションに認識させることが可能となる。

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(唐沢 正和)
2011/8/30 06:00