日本HP、「Cloud検証センター」を開設~3PARストレージとVMwareによる検証を支援


日本HP 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は4日、企業での仮想化/クラウド環境の早期実現を支援する「Cloud検証センター」を、東京・江東区の同社本社内にオープンすると発表した。ヴイエムウェア株式会社の協力を強化し、その支援のもとで開設されるという。

 現状のITシステムで仮想化の導入が著しく進んでいるのは、いまさら言及するまでもないことだが、どこが仮想化されているかといえば、サーバーの仮想化が圧倒的で、ほかの部分はそのままであることは多い。日本HP 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏は、この点について、「サーバーの性能が劇的に向上し、仮想化による統合が進む一方で、仮想マシンの数ばかり増えた結果、ディスクの使用率は30~40%にとどまっているし、ストレージのサイロ化によってコストも増大してしまっている。運用の手間、物理的な設置場所や使用電力でも問題が出てしまう」と述べ、ストレージの利用についてはまだまだ改善の余地があると指摘する。

 そこで日本HPでは、ハイエンドストレージ「HP 3PAR」とブレードサーバー「HP BladeSystem c-Class」、ヴイエムウェアの仮想化ソフト「VMware vSphere 5」を組み合わせ、仮想化/クラウドの事前検証済み推奨環境「HP 3cV」として提供していくという。


Cloud検証センターの中核となる「HP 3cV」本社内にある、HP ソリューションセンター内に設置される

 なぜ、こうしたハードウェアやVMware製品を利用するのかという点については、杉原氏は「クラウドサービスベンダー大手10社のうち、8社が3PARを採用しているほか、3PAR導入実績の8割でVMwareが利用されており、その実績のあるベストプラクティスを素早く提供することがベストであると考えた」と説明。その価値としては、「ストレージ管理の工数を最大90%削減できる。新規のストレージプロビジョニングにかかる時間が、数日から数分、数時間レベルへ劇的に短縮可能だ」とした。

 今回のCloud検証センターは、この「HP 3cV」を顧客やパートナーが実際に検証できるようにする施設。HP 3cVの各構成要素間ではすでに検証が完了しているが、ここに顧客企業が自社で利用するアプリケーションなどを持ち込み、個々の企業のビジネス環境に最適化された仮想化/クラウド環境として検証できるため、導入までの期間短縮を図れるという。

 具体的な設備としては、「HP 3PAR F400 Storage System」「HP BladeSystem c7000」「HP ProLiant BL460c G7」などのハードウェアのみならず、VMware vSphere、VMware vCenter、HP Insight Controlなどのソフトウェア、iSCSI/FC SANなどのネットワーク環境も用意されており、さまざまな構成での検証が可能とのこと。また同時に4件の検証を行えるだけの設備が用意されており、日本HPでは年間100件の検証での利用を見込む。


VMware+3PARによる導入効果vStorage APIに対応した3PARの導入メリット

 なおヴイエムウェア側でも、仮想環境におけるストレージ管理の問題は非常に重要視しており、最新版のVMware vSphere 5でも、ストレージのプランニングと構成にかかる時間を短縮する「Profile-Driven Storage」や、ストレージに格納される仮想マシンの配置を最適化する「Storage DRS」といった機能を追加するなど、ストレージとの連携を進めてきた。

 こうした流れを受け、ヴイエムウェアの代表取締役社長、三木泰雄氏は、今回の日本HPとの取り組みには継続した支援を行っていくことを表明。「あらかじめ検証の行われた、実績のある組み合わせの環境を用意いただくことで、すぐに検証ができるのはお客さまにとって大きなメリット。例えば、ディザスタリカバリをするにしてもいろんな機能を使い分ける必要があり、検証環境が用意されている価値は大きい」として、継続したサポートを提供するとしている。


ヴイエムウェアの代表取締役社長、三木泰雄氏日本HPとの連携で、顧客の仮想化、クラウドの導入を支援するとした
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