ソリューション企業へ変革したDell、買収によるポートフォリオの拡大を強調


米Dell エンタープライズソリューションズ ストラテジー&テクノロジー担当副社長のプラビーン・アシュタナ氏
バーチャル時代に向けたDellのソリューション

 デル株式会社は7月29日、エンタープライズ戦略に関する説明会を開催。米Dell エンタープライズソリューションズ ストラテジー&テクノロジー担当副社長のプラビーン・アシュタナ氏らが、自社の戦略を解説した。

 もともとDellのビジネスとしては機器の「箱売り」が主だったが、ソリューション企業へと大きな変革を遂げてきている。「従来のDellは製品カットで話していた、今ではソリューションとしての話ができるようになった。当社のアプローチとしては、素晴らしい機器を提供するとともに、ソリューションとしてまとめ、お客さまに使いやすい形で提供することだ」と述べたアシュタナ氏は、仮想化や特定業界向けなど、多くのソリューションを提供していると説明する。

 その中でも、Dellがもっとも力を入れているのが、データセンターにおける仮想化への対応だ。その柱は、「インテリジェントデータマネジメント」「ネットワーク」「インテリジェントコンピューティングアーキテクチャ」の大きく3つとのことで、アシュタナ氏は買収製品による補強の意義を示し、Dellの強みをアピールした。

 最初の「インテリジェントデータマネジメント」では、ストレージによる“Fluid”(流れるような)データ管理が求められているとする。ストレージにはプライマリからアーカイブ、バックアップなどさまざまなデータ階層が存在するが、アシュタナ氏は「当社が買収したiSCSIストレージのEquallogicや、FC SANのCompellentといった使いやすいストレージにより、サーバーのプラットフォームを越えて、シームレスにデータが移行可能。これらの、仮想化に最適化され、とても使いやすいストレージプラットフォームを提供できる」点をDellの強みとした。

 2つ目の「ネットワーク」は、仮想化が進展し、仮想マシンやデータの移動がひんぱんに行われるようになったデータセンターでは、非常に重要度が増している要素だ。Dellではつい最近、Force10 Networksの買収意向を表明していているが、同社の買収が実現すれば、これまでパートナーに頼ってきた部分を、自前で賄えるようになる。この意義をアシュタナ氏は「ネットワークを含めて、一貫性を持って提供できるようになる、ということ。従来はどうしても分かれてしまった部分を融合して提供でき、ソリューション全体をコントロール可能になる点が、大きなメリットだ」と説明した。

 3つ目の「インテリジェントコンピューティングアーキテクチャ」は、コンピューティングシステム全体の面で、アシュタナ氏は「ボックスとしてのサーバーにとどまらず、コンピューティング環境全体に力を入れていく」とこれを表現。「その上で問題になるのがシステム管理とリソース管理」と述べ、それを解決するための1例としてScalentの買収を挙げた。Scalentの製品では、ネットワーク、ストレージ、コンピューティングを1つのプールとし、そこから自由にリソースを切り出して提供することができ、こうした管理面でもDellは強みを持つとする。

 そして、これらを積み重ねることにより、Dellならではのソリューションを顧客に提供できるようになった、とアピールする。その一例としては、近ごろ関心が高まりつつあるデスクトップ仮想化やさまざまなクラウドを挙げ、充実したソリューションを提供できると強調していた。

 なお、Dell 公共・ラージエンタープライズ事業 エンタープライズ・ソリューション部門 副社長兼ジェネラル・マネージャーのドナ・トロイ氏によれば、「x86による標準化や自動化の導入、クラウドの採用などにより当社のITを見直した結果、IT予算のうち80%が保守に割かれており、20%にすぎなかった戦略的投資の割合を、52%にまで拡大できた」とのこと。今後は、こうした知見を含めて、顧客企業へメリットを届けていきたいとしている。


ITの見直しにより、戦略的投資の割合を20%から52%へ増加させたという
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(石井 一志)
2011/8/1 12:31