アシスト、エンタープライズ向け「Ubuntu Advantage」サポートサービスの詳細を発表
株式会社アシストは20日、英Canonical Limitedとの国内総代理店契約に基づき、Ubuntu Advantageサービスを国内で提供開始することを発表した。
Ubuntu Advantageサービスの概要 |
アシストの代表取締役 ビル・トッテン氏 |
Ubuntu Advantageは、アシストとCanonicalが提供するエンタープライズ向けのサポートサービス。LinuxディストリビューションであるUbuntuはデスクトップ版/サーバ版ともに無償で利用可能だが、企業ユーザーなどのサポート需要に対応するための有償サービスとしてUbuntu Advantageが用意される。
メニューは、デスクトップ版が「Standard」(一般業務利用向け)と「Advanced」(開発者/管理者向け)の2種、サーバー版が「Essential」(一般業務利用向け)、「Standard」(既存のWindowsネットワークへの統合)、「Advanced」(高可用性、クラスタリングなど高度な構成)の3種が用意されるほか、オプションとして「Cloud」(Standard/Advanced)、「Landscape」(Client Agent/Dedicated Server)、「Premium Services Engineer」の3種も提供される。
アシストでは約5年前からOpenOffice.orgに対するサポート・サービスの提供を開始しており、今回のUbuntu Advantageの提供はその延長上にあると位置づけている。同社の代表取締役 ビル・トッテン氏はオープンソースソフトウェアと有償ソフトウェアを比較して「無償か有償か、制約の厳しいライセンスか無条件か、(実装の内部が)透明か不透明か」という3つの視点での比較で、いずれもオープンソースソフトウェアが有利だと判断するユーザー企業からのニーズが増加していることを、今回の取り組みの背景として指摘した。
同社では「ITコスト抑制要求やセキュリティに対する懸念の増大などを受け、ユーザー企業でデスクトップ/サーバの両方で完全なオープン化を目指す動きが加速している」とし、従来から手がけてきたMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへのマイグレーションを実現しやすいOSとして、Ubuntuの提供も開始するとしている。
会場に飾られていたパートナー契約の証 |
アシストの公開ソフトウェア推進室 室長、神谷昌直氏 |
また、アシストの公開ソフトウェア推進室 室長、神谷昌直氏は、同社がUbuntuを選択した理由として、「計画的なリリースとLTS(Long Term Support)の存在」「先進技術を積極的に採用」「活発なコミュニティ」などの理由を挙げている。
加えてアシストでは、「顧客に推奨するためにはまず自分たちで使ってみないと」という理由から、Windows向けのサポートサービスに必要なシステムを除き、同社内のシステムを基本的に全てUbuntuベースに移行し、自社での運用経験によって得られたノウハウをサポートサービスに反映させていく方針であることも明らかにしている。
同席したCanonicalのCEO、Jane Silber氏は、アシストと組むことにした理由として、「人に重きを置く企業文化が両社に共通しており、さらにこれはオープンソース・プロジェクトにおいても重要なことだ」とコメントしている。
なお、サポート価格は物理サーバー/クライアントPCの台数ベースでカウントされ、Ubuntu Advantage DesktopのStandardが年額1万3650円、Advancedが同2万1450円、Ubuntu Advantage ServerのEssentialが年額4万1600円、Standardが同9万1000円、Advantageが同15万6000円となる。なお、社内で何台のシステムでUbuntuを稼働させているかにかかわらず、サポートが必要なシステムに対してのみ、サポート契約を締結するという考え方でよいとのこと。
事業目標に関して神谷氏からは「初年度1億円、5年後に5億円」という「保守的な見積もり」が提示されたが、これに対してビル・トッテン氏からはすかさず「少なすぎる」とのコメントが発せられ、より大きな成長を期待していることを伺わせた。
CanonicalのCEO、Jane Silber氏 | 記念撮影も行われた |