コア製品の推進、パートナーシップ、地域化が2011年の戦略~SAS Japan
【左】SAS Japanの吉田仁志氏、【右】富士通の大島昭氏 |
SAS製品の機能・品質に関して“不満足”であるという回答は10%未満 |
SAS Institute Japan(SAS Japan)は12日、2011年ビジネス戦略説明会を開催。代表取締役社長の吉田仁志氏が現況とともに紹介したほか、6月16日に協業を発表した富士通 マーケティング本部 ソリューション推進統括本部 統括部長の大島昭氏が協業方針などを説明した。
SASグローバルの業績としては、過去最高の売上高24.3億ドルを記録し、特にBA(Business Analitics)プラットフォーム関連の売上高が26%と高い成長を遂げた。数字については非公開だが、日本法人も前年を上回る成長になったという。
2010年にも、KDDIの顧客分析ソリューションで採用されたほか、大分銀行におけるイベント・ベースド・マーケティング製品「SAS Marketing Automation」の採用、りそなグループにおけるマネーロンダリング対策製品「SAS Anti-Money Laundering」の採用など、多くの事例が生まれた。
加えて、SAS製品の機能・品質に関して“不満足”であるという回答は10%未満だった。吉田社長は「これは外資のソフト会社では珍しい顧客満足度。理由はサポートに注力しているから。SASのライセンスはサポートも自動的にパッケージされる。製品とサポートの一体販売が、顧客満足を支えていると考えている」と話す。
これらを踏まえつつ、2011年は「コアソリューションの推進」「地域化」「パートナーシップの強化」の3点に取り組むという。
コアソリューションについては、12日(米国時間)に発表されるBAプラットフォームの新版「SAS 9.3」をメインに推進する。新版では、大容量データ分析への最適化、洗練された新GUIの採用、iPhone/Android端末対応が図られた。時流ともいえる「ビッグデータ」や「ソーシャルメディア」への対応を強化した形だ。日本市場への正式投入は、第3四半期中を予定している。
地域化については、米SAS Instituteが6月1日に、アジアパシフィック地域を北アジア(日本、韓国、中国、香港、台湾)と南アジア(オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国)に分割すると発表した。これに伴い、SAS Japanの吉田社長が北アジア地域統括責任者に就任。本社機能を日本に置き、北アジア本社所属のソリューション推進部門を設立するとともに、各国におけるベストプラクティスの共有を進めていく。
パートナーシップについては、日立ソリューションズ、アクセンチュアなどに続き、2011年6月16日に富士通との協業が発表された。従来、直販を行ってきたSASだが、積極的に間接販売を採り入れる方針転換だ。「直販ではリーチし切れない。それぞれの業種に強みを持つパートナーとの協力が今後は重要」と吉田社長。
富士通は、トータルソリューションを提供できる戦略パートナーとしてSAS製品の拡販に努める。大島氏によると協業により「予兆・予測の経営を実現する大規模基幹データ活用」「大量化した基幹データ、外部データを活用できる先端ICT技術処理基盤」など、業種業態ノウハウと分析ノウハウの融合による新たなオファリング提案が促進されるだろうとのこと。
「実はSASさんとは顧客がだいぶかぶっている。これまで分析についてはSASさんが直販してきたが、そこを当社がお手伝いする。“ビッグデータ”でインフラ領域も大きくなると考えている。データベースの再構築なども含めてSASさんと連携することで、さまざまなソリューションが提供できるはず」(大島氏)。
具体的には、SAS製品と富士通のハードウェア・ミドルウェアを組み合わせて、クラウドも含めた提案を行うほか、コンサルや構築支援などのサービスデリバリーや導入後のシステム改善まで含めて、継続的なPDCAを支援するという。
「SAS製品への不満が10%未満なのは、SASさんのこれまでのサポートを重視する姿勢によるもの。その姿勢も含めて、当社がSAS製品の普及に貢献したいと考えている」(大島氏)。
富士通では、10名弱のSAS認定エンジニアをすでに整えたほか、富士通総研のBI部隊とも連携し、専門チームの増強を図っていく方針だ。
協業の狙い | 両社製品を融合 |