サーバールームの室温を2度上げると20%の節電効果、日本マイクロソフトが検証


日本マイクロソフト コマーシャルWindows本部業務執行役員本部長の中川哲氏

 日本マイクロソフト株式会社は23日、PCとサーバー製品の節電に関する取り組みについての説明会を開催した。一般コンシューマー向けの取り組みとしては、Windows 7/Vista用の「東京電力管内 電力需給情報ガジェット」を公開。法人向けには、Windowsサーバーの節電対策についてまとめたレポートを公開した。

 日本マイクロソフトでは、一般コンシューマー向けのPCの節電対策として、「1時間45分以内の離席であれば、シャットダウンよりもスリープの方が節電効果が高い」「ディスプレイ輝度を100%から40%に変更すると約23%の節電になる」といった節電策と、PCの節電設定を自動的に行う「自動節電プログラム」を5月10日に公開している。

 日本マイクロソフトの中川哲氏は、節電策のウェブページは公開から約3カ月で87万6000ページビュー、自動節電プログラムは公開後40日で12万5000ダウンロードとなり、ユーザーからもTwitterなどで高評価をいただいたと説明。こうした対策の認知状況を調べたアンケートでは、PCの消費電力を下げるために初期設定を変更できることを、一般ユーザーの51%が「知っている」と回答、そのうち66%(全体の約33%)が実際にコントロールパネルなどから変更を行っていると回答したという。

 日本マイクロソフトでは、PCの節電方法をまとめた冊子(5万冊)を店頭などで販売しており、引き続き節電対策を広く訴えていくと説明。23日には、東京電力管内の電力需給状況を表示するWindows 7/Vista用のガジェットを公開した。また、週末の6月25日・26日には、東京・新宿駅東口駅前で開催する「シェア スマイル キャンペーン」のイベントでも、節電対策のコーナーを設ける。

 中川氏は、5月10日に公開した節電対策は主に一般コンシューマーを意識したものだが、法人ユーザーからも多くの反響があったとして、大阪府箕面市やコマツ(株式会社小松製作所)の事例を紹介。箕面市では庁内778台のPCに節電対策ソフトを適用、コマツでは6月末からActive Directoryグループポリシーにより本社や各事業所に節電設定を展開予定だという。

5月10日に発表した節電策への反響PCの節電設定が可能なことを51%が「知っている」と回答
配布している節電対策の冊子東京電力管内の電力需給状況を表示するガジェットを公開
箕面市の事例コマツの事例

法人向けには「サーバーの節電対策」を公開

サーバー関連消費電力の52%は空調が占める

 一方、法人ユーザーからは、「節電効果を見えるようにしてほしい」「サーバーの節電対策についても情報がほしい」といった反響があったことを紹介。法人向けの節電の見える化支援施策としては、電力管理レポート機能などを備える「System Center Configuration Manager 2007 R3」の180日試用版の無償提供を開始した。

 サーバー製品の節電対策については、サーバーに関する全消費電力の52%は空調が占めており、サーバールームの室温を上げることができれば節電効果が大きいとして、財団法人電力中央研究所の協力による検証結果を公表した。

 一般的なサーバーでは、室温が22~24度程度、サーバー吸気口の温度は26~28度程度に設定されている。一方、ほとんどのサーバーでは35度までが動作保証条件とされていることから、検証では室温を上げることでファンの回転が上がって逆にサーバー機の消費電力が増大するといった影響が無いかや、温度とベンチマークスコアの関係を計測。検証に用いたマシンでは、サーバー吸気口の温度を30度、室温を26度に設定しても、サーバーの消費電力が増大することはなく、パフォーマンスにも影響が無いことが確認された。

 この結果から、サーバーが設置されている部屋の室温設定を2度上げると、空調の消費電力が抑えられることなどで20%の節電効果があると説明。東京電力管内にある約160万台のサーバーのうち、企業のサーバールームやデータセンター外にある約66%のサーバーがすべて実施することで、3万8933キロワットの節電効果があり、これは小型の水力発電所4機分の発電量に相当するとの試算を示している。

 ただし、この検証結果はすべてのサーバーに対して室温設定を上げることを推奨するものではなく、あくまでも検討の際の参考にしてほしいとしている。

 マイクロソフトでは、今回の検証結果レポートを含むサーバー向け節電対策のサイトを公開。確実にサーバーの消費電力を抑えるには、仮想化技術を用いて複数のサーバーを統合することも有効だとして、Hyper-Vを使ったサーバー台数削減による節電効果検証レポートや、導入を検討している企業向けに株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJ GIO Windows Server 3カ月無料キャンペーン」などを紹介している。

室温26度、サーバー吸気口温度30度までは消費電力に影響なし温度変化によるパフォーマンスへの影響は見られなかった
検証概要検証環境
サーバールームの室温を2度上げることで20%の節電が可能サーバー向けの節電対策をサイトで公開
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