節電設定でPCの消費電力は平均30%削減、日本マイクロソフトが検証結果を公表

節電設定を一括で行える「Fix it」の配布も開始


「スリープの積極活用」「ディスプレイの輝度調整」を節電対策として推奨

 日本マイクロソフト株式会社は10日、PCの節電に関する情報提供として、財団法人電力中央研究所の協力によるWindows PCの消費電力の検証結果を公表した。消費電力の測定結果に基づくWindows PCの節電対策としては、「PCを使っていない時にはスリープ(Windows XPの場合はスタンバイ)を積極的に利用すること」と、「PCを使っている時にはディスプレイの明るさを抑えること」が節電効果が高いと結論付けている。

 日本マイクロソフトでは、東日本大震災の影響による電力不足への対応として、3月16日にWindows PCの節電に関する情報サイトを立ち上げたところ、これまでに30万件以上のアクセスがあったという。こうしたことから、より効果的な節電対策を検証するため、財団法人電力中央研究所の協力を得てPCの詳細な消費電力を測定した。

 消費電力の測定には、Windows 7/Vista/XPの3種類のOSと、デスクトップ型およびノート型の2種類のモデルの組み合わせにより、計6台のPCを使用。1秒間隔で0.01W単位の消費電力を測定できる機器を利用し、通常使用時の消費電力や待機電力を測定した。それぞれのPCは、各年の販売実績に基づいてより多くのユーザーが使用しているモデルを想定して、Windows 7は2010年モデル、Windows Vistaは2008年モデル、Windows XPは2006年モデルを使用している。

検証概要検証に利用したPCの仕様
各PCのアイドル時の消費電力計測に使用した測定器

 PCをシャットダウンした場合と、スリープした場合の消費電力の比較では、PCの起動時にはスリープからの復帰に比べて3倍以上電力を消費するのに対して、スリープ時の消費電力はシャットダウン時の待機電力と比べても平均約0.5Wしか差が無かった。このため、検証に利用したWindows XPのデスクトップPCでは、1時間45分以内に再度PCを利用する場合には、シャットダウンよりもスリープを行った方がトータルで消費電力が少ないという結果となった。

 こうしたことから、PCを使わない時の節電対策としては、積極的にスリープを活用することが重要だとして、ユーザーが席を離れる際などには手動でスリープを実施するとともに、一定時間の無操作で自動的にスリープになるようにコントロールパネルの「電源オプション」を設定することを推奨している。

起動時はスリープ復帰の3倍以上電力を消費スリープ時と電源オフ時の待機電力の差は0.5W程度
XPの場合1時間45分以内であればスリープの方が省電力積算電力量のグラフ
電源オプションでスリープの設定が変更可能スリープの積極利用と自動設定が節電に有効

 また、PCを使っている時の節電対策としては、ディスプレイの明るさを抑えることが最も節電効果が高く、画面の輝度を100%から40%に変更することで、平均23%の電力削減が可能だと説明。これらの結果から、ユーザーに対してはスリープの積極的な利用と、ディスプレイの輝度調整を節電対策として推奨している。

PC使用時はディスプレイの明るさ調整が節電対策として有効輝度を40%にすることで平均約38%節電
OSまたはディスプレイ側でディスプレイの明るさを調整90分間の利用シナリオでは平均約30%の節電効果
日本マイクロソフトの中川哲氏

 日本マイクロソフトでは、節電対策の専用サイト「Windows PC節電策」を開設し、今回の検証結果の詳細データをウェブページとExcelファイルで提供するとともに、Windowsの節電設定が一括で行える「Windows PC自動節電プログラム」のダウンロード提供を開始した。

 Windows PC自動節電プログラムは、Windows 7/Vista/XPの各OSや、デスクトップ型とノート型のそれぞれの環境に対して、推奨する節電設定を一括で適用できるプログラムで、Windowsの設定変更を行う「Fix it」プログラムの形で提供。企業向けには、グループポリシーなどで電力設定の変更を展開する方法をまとめたドキュメントを公開している。

 また、節電設定に関する一般ユーザー向けの無償電話サポート窓口(フリーダイヤル)を開設。自動節電プログラムのインストール方法や、設定復元方法、電力設定に関する一般的な質問に対応する。サポート窓口の開設期間は5月10日~8月10日。

 日本マイクロソフト コマーシャルWindows本部業務執行役本部長の中川哲氏は、「Windows PCの『省電力プラン』はバッテリー駆動時にバッテリーをより有効に利用することを目的として設計されているため、AC電源接続時にはさらに多くの節電対策に対する余地が残されている」として、今回の検証を行ったと説明。今回推奨している節電対策では平均30%の節電効果が期待でき、東京電力管区内のPCすべて(約2455万台)がこの対策を行ったと仮定すれば、節電可能電力は35万キロワットに達するとして、「PC1台あたりの消費電力はそれほど多くないが、多くの個人や企業が節電を心がけることで大きな節電量の積み上げとなる」と、節電への協力を呼びかけた。

専用サイト「Windows PC節電策」節電設定を一括で行えるFix itを配布
節電設定サポート窓口を開設最大35万キロワットの節電が可能と試算
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