日本HPがストレージブランドを刷新、新ミッドレンジSANストレージ「P6000 EVA」も発表


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は9日、ストレージ製品のブランドを「HP Storage」へ刷新すると発表した。また同ブランドの第1弾製品として、「HP P6000 Enterprise Virtual Array(EVA)ファミリ」を提供する。

 従来の日本HPでは、ストレージブランド「StorageWorks」のもとで各種ストレージ製品を提供してきた。しかし、3PAR、LeftHand、IBLIXなど複数のストレージベンダーを、ポートフォリオの拡大のために買収した結果、ラインアップが複雑になってきたこともあって、ストレージブランドを「HP Storage」へ刷新した。

エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 飯尾光國事業本部長

 この理由を、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 飯尾光國事業本部長は、「当社が提唱するコンバージド・インフラ戦略を提供するためには、製品の補完が必要ということで、開発の推進と戦略的な企業買収を行い、製品ポートフォリオがそろった。今後、ストレージだけでなく、サーバー、ネットワークとの相乗効果を高めることによって、ITインフラ全体を連携し、統合・最適化を推進するという考え方のもとで、ブランドをあらためた」と説明する。

 またこのブランド刷新に伴い、ポートフォリオも整理を図る。従来の、アプリケーション指向の考え方でストレージの活用を目指す顧客に対しては、新製品を含めた「EVAファミリ」などで対応。また、スケールアウト型NAS「HP X9000 Network Storage Systems」や、スケールアウト型iSCSI SANストレージ「HP P4000 G2 SAN Solutions」、ハイエンドストレージ「HP 3PAR Storage System」など、主にここ数年の間で買収したストレージについては、サービス指向、スケールアウトといった方向性のもとで、顧客に訴えかけていくとのこと。

 なお、この日は概略しか説明されなかったが、サービス指向型ストレージについては、共通プラットフォーム化を進め、ソフトウェアベースの「Store360」ストレージとして提供することも明らかにされた。

新しいHP Storageのポートフォリオ「Store360」ストレージ

 

エントリー/ミッドレンジ向けのSANストレージ「P6000 EVA」

 新製品のP6000 EVAは、エントリー/ミッドレンジ層を対象としたSANストレージ。「抜群のコストパフォーマンスを提供でき、従来のミッドレンジから、ローエンドまでをカバー可能。また、ストレージ専任の管理者がいない層を対象にしているので、業界ナンバーワンの使いやすさはそのままに、機能面も強化している」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 ストレージ製品本部 製品マーケティング部の宮坂美樹部長)という。


P6000 EVAP6000 EVAの強化ポイント

 具体的には、ハードウェアを一新し、2.5型SAS HDDを採用したことにより、最大480TBのストレージ容量を確保しながらも、電力の約40%削減、設置面積の約50%縮小を達成。また、6Gbps SASのバックエンドを採用し、パフォーマンスも約2倍に拡張したという。

 コストについては、「昨今のIT予算削減の流れの中で、抜群のコストパフォーマンスを提供する。部材のコストダウンに加えて、ワールドワイドでは10万台規模で売れており、規模の経済が活用できた。当社の企業努力によってコストをぐっと下げた」(宮坂部長)とのことで、最小構成時で従来モデル「EVA 4400」と比べた場合、30%のコストダウンを果たした。

 管理面では、従来の「HP StorageWorks EVA」から継承した管理ソフト「P6000 Command View」を搭載し、高い運用管理性を提供。「第三者機関の調査によって、他社より20%少ない時間、30%少ないステップでの運用・管理を可能なことが証明されている。一度使ったら手放せない使い勝手を持ち、SMBに訴求できる」として、継続的にアピールを行って行く考えを示した。


大幅なコストダウンを実現使いやすさはそのまま継承した
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 ストレージ製品本部 製品マーケティング部の宮坂美樹部長

 またストレージの機能面では、最大32TBのLarge LUNとスナップショットをサポートしたほか、サーバー仮想化環境では必須の機能になりつつある、シンプロビジョニング機能を搭載。加えて、ダイナミックLUN/RAIDマイグレーション機能によって、LUNやRAID、ディスクタイプ(SAS/SATAなど)の設定変更をオンラインで、しかもサーバー側での再マウントなどの作業なしに行えるようにした。この機能を利用すれば、性能や可用性の異なるLUNへのデータ移動が可能なため、簡易な階層化ストレージを実現できる。

 さらに、ソリューション展開についても、VMwareやHyper-Vといったサーバー仮想化をはじめ、豊富なアプリケーションとの連携を提供可能で、この面でも多くのメリットを提供できるとのこと。

 なお日本HPでは、従来のターゲットよりも広い範囲へアプローチするため、価格を下げただけでなく、パートナーの開拓にも引き続き努力する考え。トレーニングプログラム拡大など、すでに取り組みは開始されており、まずは10社の新規パートナー獲得を目標に展開する意向だが、「ゆくゆくは、現在の倍くらいまで拡大したい」(宮坂部長)と、さらに上を目指してリクルートを進めるとしている。

 製品は、下位モデルの「HP P6300 EVA」が325万5000円から、上位モデルの「HP P6500 EVA」が703万5000円から。

 

HP X9000を機能強化、性能が50%向上

 また今回は、スケールアウト型NASのX9000ファミリについても、機能強化が発表された。

 ハードウェアプラットフォームの刷新によって、性能を50%向上したほか、CIFS/NFS クロスプロトコルのサポートを強化したことで、ユーザー認証が容易になり、Windows/Linux/UNIXとの親和性が向上したという。加えて、ストレージの利用状況を確認するモニタリング機能を搭載し、管理性が向上した。

 一方ラインアップについては、ストレージ容量を48TB、24TB、14.4TBから選択できるようにして、スモールスタートに対応している。

 価格は、NASゲートウェイ「HP X9300 Network Storage Gateway」と管理サーバーパッケージで630万円から、「HP X9320 Network Storage System」と管理サーバーパッケージで1207万5000円から、「HP X9720 Network Storage System」一式で2194万5000円から。

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