エンバカデロ、2011年夏にもアプリケーションストリーミング市場に参入へ
ToolCloudの後継「AppWave」で、他社アプリにも管理・配信の仕組みを提供
AppWaveでは、アプリケーションストリーミングの仕組みによって、アプリケーションの配布・管理が可能になる |
エンバカデロテクノロジーズ(エンバカデロ)は25日、開発ツールを集中管理したり配信したりする同社の「ToolCloud」プラットフォームの拡張構想を明らかにした。ToolCloudの次期版にあたる「AppWave」では、サードパーティアプリケーションなど、エンバカデロ製品以外のアプリケーション配信についても、ToolCloudの仕組みを活用できるようになるという。
2010年より提供されているToolCloudは、エンバカデロ製品のライセンス管理機能を提供するほか、アプリケーションストリーミング技術を用いた「InstantOn」機能によって、エンバカデロのアプリケーションをオンデマンドでユーザーに配信している。
このInstantOnによってアプリケーションの配信を受けた場合、アプリケーションはあたかもクライアントPCにインストールされたかのように、クライアントPCのCPUやメモリといったリソースを利用して動作する。しかし仮想化技術を利用することで、OSのレジストリに情報を書き込んだり、システム領域にDLL/INIファイルを加えたりする作業は発生せずにすむため、既存の環境に影響を与えないほか、複数のバージョンのMicrosoft Officeを共存させるといった、通常のデスクトップ環境ではサポートされない利用を行うこともできるのだという。
また、ストリーミング技術により、すべての実行モジュールがクライアント環境に配信される前からアプリケーションを起動でき、また一度ストリーミングされたアプリケーションはクライアント側にキャッシュされることから、何度も同じモジュールをダウンロードする必要もない。
AppWaveの配信ポータルとなる「AppWaveブラウザ」の画面イメージ | AppWaveブラウザからアプリケーションを検索して実行すると、AppWaveサーバーから配信され、起動できるだけのモジュールがダウンロードされた際にアプリケーションが立ち上がってくる |
日本法人代表の藤井等氏 |
ただし、このような機能を持つアプリケーションストリーミング自体は、すでに日本マイクロソフトやシマンテック、シトリックスなど多くのベンダーから提供されているので、それ自体が目新しいわけではない。
そうした中で、アプリケーションストリーミングの市場に参入することについて、日本法人代表の藤井等氏は、「複雑なサーバー構成をしなくても配信が可能になるなど、ToolCloudにおけるInstantOnの評判が良く、お客さまから、当社製品以外にもこの仕組みを適用できるようにしてほしいとの要望が強かった」と述べ、顧客側からの要望によるものだという点を強調する。
エンバカデロでは2011年の夏をめどに、アプリケーションをパッケージ化し、配信するための「AppWave Studio」などのソフトウェア製品を提供し、Microsoft Officeなどのパッケージアプリケーションや、ユーザー自社開発のアプリケーションなどを、ストリーミングできるようにする計画。
藤井代表は、そのビジネスについて「当社は開発ツールやデータベースのベンダーとして認識されているので、開発系から確実にビジネスを取り込み、その中で同時に、ほかのアプリケーション配信についても取り組んでいければと考えている」と説明。
また、エンバカデロならではの強みとして、「開発者の立場を熟知しているので、エンドユーザーはもちろんのこと、管理者や、アプリケーション開発者などにとっても使いやすい環境をうまく提供できる。こうしたところにビジネスチャンスがあるのではないか」と述べている。
AppWaveの一般的な導入イメージ | 開発チームにおける導入例とメリット | 一般的なアプリケーション利用とAppWaveの比較 |