エンバカデロ、クラウドをサポートした統合開発環境スイート新版

新たにビジュアルPHP開発ツールも搭載


日本法人代表の藤井等氏

 エンバカデロ・テクノロジーズ(以下、エンバカデロ)は9月2日、Windows、.Net、PHP、Web開発に対応した統合開発環境の新バージョン「Embarcadero RAD Studio XE(以下、RAD Studio XE)」を出荷開始した。

 同製品は、Windows向けビジュアル開発ツール「Delphi XE」、C++向けビジュアル開発ツール「C++Builder XE」、.Net/Monoクロスプラットフォーム開発ツール「Delphi Prism XE」を含み、新たにビジュアルPHP開発ツール「RadPHP XE」を搭載したスイート製品で、各製品単体でも出荷される。

 同社では、今年3月に新ブランド「XEシリーズ」を発表し、マルチデータベース対応管理ツール「DBArtisan XE」を皮切りに主要データベースツール製品において、新ブランドを展開してきた。今回、「Embarcadero RAD Studio XE」をリリースすることで、新ブランドのラインアップが開発ツール製品にも拡張されることになる。

 同社日本法人代表の藤井等氏は、「XEシリーズの特徴は大きく3つある。まず、9つの主要なデータベースプラットフォームをネイティブサポートしている。次に、旧バージョンへのアクセスを可能にするEmbarcadero ToolCloudテクノロジーに対応している。そして、当社のすべての開発ツール/データベースツールにアクセスできるEmbarcadero All-Access XEへのアップグレードが可能となっている」と、「XEシリーズ」が提供するメリットを説明。

 「こうしたXEシリーズの特徴をベースに、今回発表する『RAD Studio XE』では、チーム開発のサポートや多層アプリケーション構築機能の強化を図るとともに、コンポーネント技術によってクラウド開発をサポート。さらに、ビジュアルPHP開発環境として『RadPHP』を新たに搭載した」としている。

クラウド、多層開発をサポート開発生産性、品質向上を支援

 具体的に、「RAD Studio XE」で提供される新機能を各製品ごとに紹介する。「Delphi XE」および「C++Builder XE」では、クラウドコンピューティングを新たにサポート。Microsoft Windows Azureプラットフォームストレージサービス(ブロブ、キュー、テーブル)にアクセスするアプリケーションを作成できるとともに、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)環境にサーバーアプリケーションをワンクリックでデプロイ可能となった。

 また、DataSnap多層フレームワークを拡張し、従来のDelphiに加え、C++Builderによるサーバー開発をサポートしている。さらに、テスト、プロファイル、自動ビルド、QAツールを新たに統合したほか、バージョン管理ツール「Subversion」をDelphi、C++BuilderのIDEに統合することで、チームでの開発効率化を促進する。

DataSnap on Amazon EC2DataSnap多層アプリケーション

 「Delphi Prism XE」は、6月にリリースした「Delphi Prism 2011」のアップデートバージョン。Windows/Linux/Mac OS X向けのクロスプラットフォーム開発機能、Novell MonoTouchを使用したiPhone/iPod Touch/iPadアプリケーション開発をサポートする機能に加え、今回新たにバージョン管理ツール「Subversion」を統合。加えて、「MonoDevelop 2.4」を搭載することで、WindowsおよびMac OS X向けIDEの新バージョンが利用可能となった。

 今回の「RAD Studio XE」から新搭載される「RadPHP XE」は、従来「Delphi for PHP」として提供してきたビジュアルPHP開発ツールの新バージョン。ドラッグ&ドロップによるビジュアルPHP開発機能に加え、IDEインサイトなど、Delphi、C++Builderに搭載してきた支援機能を新たに搭載。これにより、Delphi、C++Builderと変わらないIDEの操作感を実現する。

 また、FacebookコンポーネントおよびGoogle Mapコンポーネントを搭載し、最新のWeb機能をドラッグ&ドロップで簡単に利用可能となった。このほか、Delphi、C++Builderで作成されたネイティブWindows DataSnapサーバーへのアクセスをサポートしている。

PHPによるビジュアル開発を実現するRadPHPFacebookアプリケーションの開発

 「RAD Studio XE」の今後の展開について藤井氏は、「64ビットのネイティブサポートに向けて、2011年前半にコンパイラプレビューを提供する予定。単にアプリケーションが64ビットで動くというだけでなく、64ビット環境に適合したソースコードをしっかり準備することが重要だと考えている。また、クロスプラットフォームコンパイラとして、Mac OS、Linuxのサポートを進めている。クロスプラットフォームVCLコンポーネントやクロスプラットフォームDataSnapサーバーなどを、段階的にリリースしていく」と、RADテクノロジーを幅広いプラットフォームで利用可能にしていく方針を示した。

 「RAD Studio XE」の価格は、Professionalエディションが17万2200円から、Enterpriseエディションが33万1800円から、Architectエディションが52万800円から。各製品単体では、「Delphi XE」「C++Builder XE」ともにProfessionalエディションが9万8700円から、Enterpriseエディションが24万7800円から、Architectエディションが43万6800円から。「Delphi Prism XE」は、Professionalエディションが6万3000円、Enterpriseエディションが16万8000円。「RadPHP XE」は3万3600円。

 なお、Delphi/C++Builder/RAD Studio 2006以降の登録ユーザーを対象に9月30日までの期間限定で、「Delphi/C++Builder/RAD Studio XEシリーズ早期バージョンアップ申込キャンペーン」を実施する。このキャンペーンでは、バージョンアップ版の対象ユーザーに、ESD(ダウンロード版)限定で、早期購入特別割引を行う。また、Delphi、C++Builderのバージョン1から2005までのユーザーを対象に、12月25日までの期間限定で、特別価格でDelphi/C++Builder/RAD Studio XE Professional版を提供する「XE Professional特別アップグレードキャンペーン」も実施する。

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