富士通、PCサーバーの累計出荷が100万台に~福島県の富士通アイソテックで記念式典を開催


 富士通株式会社は1日、福島県伊達市保原町の富士通アイソテックで、PCサーバー100万台出荷達成記念式典を行った。

 同社では、1992年度からPCサーバー「FMサーバー」として国内販売を開始。1997年度から「GRANPOWER 5000シリーズ」、2000年度から「PRIMERGYシリーズ」をそれぞれ商品化したほか、2009年4月からは、富士通と、ドイツの富士通テクノロジーソリューションズの共同開発サーバーとして、「PRIMERGY」を世界統一ブランドで展開している。

 100万台の内訳は、FMサーバーの出荷実績が2万4800台、GRANPOWERの出荷実績が10万5500台、PRIMERGYの出荷実績が86万9700台となっている。

くす玉を割る(左から)富士通アイソテックの増田実夫社長、富士通の佐相秀幸執行役員副社長、福島県の松本友作副知事、伊達市の仁志田昇司市長100万台出荷記念号機を紹介する富士通アイソテックの増田社長
PCサーバー100万台出荷達成記念式典に参加する関係者会場入り口の様子

 

累計200万台、300万台へと歩んでいく

 3月1日午後4時から、富士通アイソテックで行われた、PCサーバー100万台出荷達成記念式典では、富士通の佐相秀幸執行役員副社長、富士通アイソテックの増田実夫社長、富士通のIAサーバー事業本部長 河部本章執行役員といった同社関係者のほか、福島県の松本友作副知事、伊達市の仁志田昇司市長が参加した。

富士通の佐相秀幸執行役員副社長
PCサーバー出荷実績

 佐相副社長は、「富士通は、スパコン、メインフレーム、PCサーバー、PC、携帯電話、ソリューションなど、ICTのすべてを垂直統合で提供できる日本で唯一の企業。そのなかでPCサーバーをきちっと出荷し続けることが当社の使命といえる。当社は、サーバートータルではナンバーワンシェアだが、PCサーバーに限ると、国内では、首位ではない。だが、本年度は四半期集計(2010年7~9月)で2位となり、トップの背中が見えてきた。今回の累計出荷100万台は、協力会社や地元の協力があってのもの。日本のものづくりは厳しいが、技術力、開発力を強みとして、累計200万台、300万台へと歩んでいきたい」とした。

 富士通アイソテックの増田社長は、「富士通アイソテックは高い品質にこだわり続けて生産を行ってきた。私自身、富士通アイソテックがPCサーバーの生産を開始した2001年から、富士通でサーバーの開発を担当しており、それがようやく100万台に達したと、誰よりも感激している。これからも終わりなき変革に挑戦し続ける」とあいさつした。

 来賓で登壇した福島県の松本副知事は、「富士通アイソテックは、福島県経済の発展に多大な貢献をもたらしている。優れた性能、高い信頼性を持った業界随一の製品をここで生産しているほか、新規雇用や環境への取り組みという観点での貢献も大きい。まさに本県の宝であり、本県製造業をリードする企業としての役割をこれからも担っていだたきたい」とあいさつ。

 また、伊達市・仁志田市長は、「PCサーバーの100万台の出荷は市民にとっても大きな喜びである。PRIMERGYは、伊達市の頭脳となるサーバーとして、行政サービスを担うサーバーとして活躍している。また、富士通アイソテックで生産されるPCは、伊達市の小学校、中学校でも利用されており、地域にも大きく貢献している。地元のマラソン大会でも優勝賞品としてPCをご提供いただき、6500人が参加する東北随一の参加者数を誇るものになっている。富士通アイソテックのさらなる飛躍とともに、地域のリーダーとしての役割にも期待したい」と祝辞を述べた。

福島県の松本友作副知事伊達市の仁志田昇司市長

 

累計77万台のPCサーバーを生産する一大拠点

 富士通アイソテックは、PCサーバーおよびデスクトップPCの生産拠点だ。

富士通アイソテックの増田実夫社長
年間20万台に向けた生産台数拡充の取り組み

 PCサーバーの生産は、2001年から開始し、PCサーバーでは、累計77万台を生産。現在、年間12万台の生産規模を誇っている。また、ドイツ・アウグスブルグの富士通テクノロジーソリューションズでも欧州市場向けにPCサーバーを生産している。これまでアジア・パシフィック向けへの出荷はドイツで生産していたが、2010年度から一部出荷を富士通アイソテックに移管。2010年10月からは、年間5000台規模の出荷を計画。2011年度には、これを倍増させ、アジア・パシフィック向けのPCサーバーはすべて富士通アイソテックから出荷することになる。

 富士通アイソテックの増田社長は、「2001年に石川県笠島のPFUからサーバー生産を移管した。最初は、セル方式を採用し、16人体制で6グループ用意することで、製造能力は1日420台規模としていたが、2001年12月3日の最初の出荷時には定時操業では半分しか生産できず、その後、納期を守るため、正月は元日だけ休み、連日の残業が3カ月にもわたった」と、当時のエピソードを披露。

 その後、トヨタ生産方式を導入し、複数人によるライン化の工程へと転換。製造能力は1日380台としながらも、総人員は51人へと削減。工程の無駄取りを行い効率的なラインを実現した。

 さらに、2009年度からは、自動送りコンベアや検査工程の改善などにより、生産ラインの大幅な効率化を図るとともに、ライン数を減らしながら、それまでの年間8万台の体制を、年間15万台へと拡大することに成功。「富士通では、国内市場で年間20万台、海外で年間50万台の出荷を目指している。今後は、ライン数を、現在の5ラインから6ラインへと増加させることで、すでに年間20万台に向けた生産体制の準備が整っている」(富士通アイソテックの増田社長)としている。

 また、増田社長は、「累計出荷100万台はあくまでも通過点である。福島でのものづくりに徹底的にこだわり、次のステップアップにつなげていきたい」とした。

 さらに、富士通アイソテックの工場内では、従来は導入先で行っていたサーバーのラック搭載やケーブル接続、ソフトウェアのインストールなどの作業を事前に行う「インフラサービス工業化」を2007年度から開始。顧客の作業を軽減し、高品質なシステムを短期で納品できるサービスも提供している。

 

日本のお客さま起点での取り組みにこだわる

 なお富士通では、「Made in Japan」+「Made for Japan」を掲げ、「ただ日本で組み立てるだけではなく、日本のビジネス、オフィス環境を知り尽くした富士通が、日本のビジネス、オフィスに向けて提案するソリューションを実現する、日本のお客さま起点での取り組みにこだわっているのが特徴」(富士通・福田事業部長)としている。

 現在、同社では、PCサーバー分野における国内トップシェア獲得と、世界4位入りを目指している。

 同社では、「富士通のPCサーバーであるPRIMERGYは、世界統一ブランド、スピーディー&タイムリーな新製品の早期市場投入、開発体制、製品共通化による価格競争力の向上が特徴」(富士通 IAサーバー事業本部 IAサーバー事業部 福田真事業部長)と強調する。

 また、富士通のIAサーバー事業本部長 河部本執行役員は、「PCサーバーは、今後も当社のコア事業であり続ける製品。そして、顧客起点、グローバル起点、グリーンエコという富士通が目指す行動規範Kすべてに関連する製品である。PRIMERGYをグローバルプロダクトの柱にしていくと同時に、サーバー事業をきっかけに、ストレージ、サービスといったバリューチェーンが生まれる事業としてとらえ、今後も大きく出荷台数を伸ばしていく計画である」とした。

富士通のIAサーバー事業本部長 河部本章執行役員富士通のIAサーバー事業本部 福田真事業部長
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