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富士通、東日本リサイクルセンターを公開-環境への取り組み姿勢をアピール


富士通グループの環境への取り組み
 富士通株式会社は9月5日、デスクトップPCの生産と、リサイクル事業を手がける富士通アイソテック株式会社が運営する富士通東日本リサイクルセンターを報道関係者向けに公開した。

 富士通では環境活動を強化しており、「富士通グループの環境方針、『FujitsuWay』を発表し、グループ挙げて環境問題に取り組んでいる。リサイクルは環境活動の重要な取り組みのひとつで、まじめに環境問題に取り組んでいるわれわれのスタンスを実感してもらいたい」(富士通 常務理事 環境本部 本部長の高橋淳久氏)と環境問題の一環として、今回の工場見学を実施したことを強調した。

 リサイクルを行う富士通アイソテックは、リサイクル事業のほかに、デスクトップPC、PCサーバー、プリンタの生産、家庭向けPCの修理などを事業としている。リサイクル事業については、別会社「エフアイティフロンティア」が担当しているが、ひとつの工場で生産からリサイクルまで担当していることが大きな特徴となっている。


PCの生産工場である富士通アイソテックと、リサイクル施設であるエフアイティフロンティアが同じ敷地にあることが最大の特徴となっている この工場でリサイクル事業を開始した経緯 家庭向けPCのリサイクルスキーム

リサイクル工場の隣にあるPC生産工場。企業向けPCはBTO生産されているため、グリーンの指示票に記載されたバーコードを読み込むと、必要な部品を置いた棚の前にある電球にグリーンの灯りがつく 担当者がそれをピックアップし、必要な部材をカゴに入れ、組み立てラインに持ち込む 組み立てラインは一人あたり60秒という短時間に進行する

赤いテープが貼られたラインがランプのところに届くのが1サイクルで、作業の遅れなど工程に異常があった場合は、黄色いボタンを押して周囲に異常を知らせる。新人など通常サイクルどおりに工程が進まないことが予測される場合は、人員を増員するなどカバーする 完成品は男性二人のスタッフが試験する

梱包作業の際には、添付品もセッティングするため漏れがないよう細かいチェックが行われる 梱包された製品は、配送地域別に集められる。配送の効率化も環境を配慮する上で重要な要素となる 梱包された製品は、抜き取りチェックが日々行われ、仕様が顧客の注文どおりとなっているのか、性能、機能面は問題がないか、添付品に誤りがないのかなどがチェックされる

VPSを活用することで解体マニュアルが3D画像を使った電子化されたものとなり、解体効率向上を実現している
 「生産とリサイクルを同時に取り組むことで、将来はどういった製品が廃棄されるのか事前に予測し、対策をとれることが大きな強み」(富士通アイソテック 代表取締役社長の増田実夫氏)

 この説明からもわかるようにメーカー自身がリサイクル事業に取り組むことで、設計段階からリサイクルに配慮。3次元設計シミュレータ「VPS」を活用し、省サイズ化による資源を少なくする工夫や解体しやすい設計を実現。さらに設計データをベースに解体シミュレーション、有害物質の含有率の表示などを伴う素材別のリサイクル率を色分け表示するなどの工夫を行い、手作業による解体作業の効率化をはかっている。

 「VPSをベースにした解体マニュアルは、現在500製品をカバーしている。リサイクルにまわされるのは新しい製品ばかりでなく、古い製品も対象となるため、古いものも含めてカバーしているのが特徴。電子管理システムの導入によって、どこにネジがあるのかなどを把握することで解体手順を標準化し、東日本リサイクルセンター以外のリサイクルセンターでも活用することを進めている」(富士通 環境本部 環境技術統括部長の藤井正隆氏)


富士通 常務理事 環境本部 本部長の高橋淳久氏 富士通アイソテック 代表取締役社長の増田実夫氏 富士通 環境本部 環境技術統括部長の藤井正隆氏

 一口にリサイクルといっても、事業系IT製品、家庭向けPCではそれぞれスキームが異なる。

 事業系IT製品のリサイクルは、富士通が契約した運送会社を通じて回収を行い、自身の全国6カ所のリサイクル施設と、札幌、金沢、沖縄の3社と契約を結び実施している。2001年からは法制化されているが、富士通はそれに先駆け1995年に運用を開始した。対象となる製品は、PC以外にもサーバー、ワークステーション、ストレージ、スキャナ、プリンタ、ネットワーク機器などが対象となる。

 家庭向けPCリサイクルは、郵便事業との提携により個人が郵便局を利用して回収を申し込んだ製品を、エフアイティフロンティアに集めてリサイクルしている。


富士通のリサイクルスキーム 同じPCリサイクルでも、事業系製品、家庭向け製品の二つに大別され、回収の仕組みも異なる 富士通のリサイクル事業は、事業系製品は今回公開された富士通東日本リサイクルセンターをはじめ全国6カ所のセンターで処理され、家庭向け製品は今回公開されたエフアイティフロンティアで処理される

 集められた製品のリサイクル処理は、手作業で鉄、銅、アルミ、貴金属、ガラス、プラスチックなど約60種類に大別。それをさらに細かい分類を行い、廃棄しなければならないものを最小化し、できるだけ資源として再活用できるようにする。

 リサイクル意識を徹底したことにより、2007年度の事業系IT製品の資源再利用率は前年比0.3%工場の91.8%。製品回収率は前年に比べ20%減少しているが、これは製品の省サイズ化が進んだことが影響している。

 事業系IT製品のリサイクルを実施するにあたっては、顧客情報の漏えい防止、廃棄した製品が正規な処理を行われているのかを確認するトレーサビリティの確保といったリスク管理が必要となる。


製品を回収したトラックが横付けされ、すぐに内部にリサイクル製品を運び込めるようになっているエフアイティフロンティアのリサイクル施設 集められた製品は手作業で分解される 分解後は鉄、プラスチック、基板、コネクタなど素材別に分類される

有害物質を含むブラウン管は、ほかのものとは別に解体作業が進められる プラスチックを細かく素材別に分類するために、材料判別機が導入されている

顧客の要望に応じさまざまなデータ媒体破壊サービスを提供
 データ消去サービスは、リース切れのPC、使用済みPCやサーバー、社内の移動により利用者が変わるPCなど、顧客からの要望に応じデータ消去を行う。

 廃棄されたPCなどについても「リサイクル統合情報管理システム」によってトレーサビリティを実現。預かった製品にバーコードを貼り付け、受け入れ、解体など段階ごとに行方を管理することで、廃棄後の製品であっても盗難、不法投棄などのトラブルが起こることを未然に防ぐ。

 「リサイクルプロセスをモニタリングし、見える化することによって、われわれが法を順守してリサイクル処理を行っていることをお客さまが認識できるようにする」(藤井統括部長)

 実際にリサイクル事業に取り組むエフアイティフロンティアは、PC生産に伴い、部品やベアボーンの梱包材処理に困り、これをリサイクルしていく仕組みを作ったことから、これを独立させた。リサイクルを事業化するためには認可取得が必要となることから、別会社化して正式に産業廃棄物処理業、環境省広域処理認定業者の認可を受け、2003年から本格的に事業を開始した。


データ消去のために設けられた媒体処理室は、クローズな環境で情報漏えいを防ぐ工夫がなされている 顧客の要望に応じて、データ消去だけでなくHDDに穴を開けて再利用ができなくなる処理も行う

エフアイティフロンティア取締役の高橋淳彦氏
 「もともとは別な事業も行っていたが、現在は廃棄物処理とリサイクル事業、それから派遣・請負事業に絞って事業を行っている。すべて許認可が必要な事業となっている」(エフアイティフロンティア取締役の高橋淳彦氏)

 同社が行うリサイクル事業は、家庭向けPCについては富士通が環境大臣から認可を受け、運営しているものの再資源プラント化をエフアイティフロンティアが担当。事業系IT製品については、対象を富士通製品に絞り込んだ富士通が運営するルートと、富士通以外の製品も取り扱う、富士通が指導、管理という立場でかかわるものと二つのルートがある。

 さらに、エフアイティフロンティア自身が近隣企業や自治体を対象に営業をかけてリサイクル事業を進めることも行っている。

 「リサイクル事業の収益は、資源の価格によって大きく左右される。現在は資源価格が高めの時期だが、今後はどうなっていくのかわからない。環境が悪化してもリサイクル事業を健全に運営していくためには、事業者としての規模を追求することがひとつの手段ではないかと考える」(高橋取締役)


事業系製品のリサイクルは富士通製品のみを対象としたもの、富士通以外の製品も含むものの二通りがある 自主事業として近隣企業、自治体などを対象に営業を行い、リサイクル事業拡大を進めている

集めた製品を資源として有効活用するために最も有効とされるのが手分解による分別

PC生産の際に集まる梱包材は、まとめて粉砕され、再資源化される
 工場では、回収したPCを手作業で分類する。手作業は非効率的に思えるものの、できるだけ細かく分類していく手段としては最も有効な方法だという。再資源化するためにプラスチックだけでも約20種類に分類し、分類できないものについてはセメント材料などに回し、できるだけ廃棄物を出さない工夫をしている。

 「プラスチックの再資源化は、同じパソコン筐体に再生するクローズドリサイクルも試したものの、強度などの問題から100%クローズドリサイクルは難しいことがわかった。そこでうちわの骨やボールペンなど別な製品に生まれ変わるオープンリサイクルを進めている」(高橋取締役)

 金など貴金属も使われているPCやサーバーの基板については、約6種類に分別。身体に有害な鉛が使われているCRTは、配慮した処理が行われている。

 また、リサイクル事業開始のきっかけになったパソコンの部材などが輸送されてくる際に使われている梱包材、緩衝材は、月間7、8トンと意外なほど大量になる。しかし、海外からの輸送にかかる梱包は、「どこまでが過剰包装なのかその判断は難しい」こともあって、梱包の簡易化はなかなか進まない側面を持っている。そこで素材別に分類して破砕し、再資源化することでゴミを出さないよう工夫されている。

 リサイクル工場の一角に設けられたメディアのデータ消去要の媒体処理室は、不特定多数の入室を厳禁とするなど情報漏えいに配慮した作りとなっている。データ消去方法としても、磁気データの消去に加えて、HDDなどのメディア自身に穴を開け破壊することで完全にデータが読み込めないようにすることも、顧客からの要望で行う。

 また、破壊した磁気メディアは、埼玉のアルミ業者に持ち込んで溶融するといったプロセスも取り入れている。データを完全に消去すると共に、その廃材も資源として有効活用し、廃棄物を減らす工夫が行われている。


回収した部材のクローズドリサイクル例。デスクトップPCのカバーのようなプラスチック素材の一部は、粉砕して素材化した後に、同じデスクトップPCのカバーによみがえる 強度などの問題でクローズドリサイクルが難しいプラスチック素材は、粉砕後、うちわの骨やボールペンなど新たな用途の部材として利用する セキュリティ確保のために、顧客から預かったHDDやメディアは、磁気によるデータ消去や穴を開けるなどの処理によって完全にデータ読み込みが不可能な状態とする


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  富士通アイソテック株式会社
  http://jp.fujitsu.com/group/fit/


( 三浦 優子 )
2008/09/08 13:44

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