フォーティネット、海外および日本市場の事業戦略を説明

UTMの実績をベースに包括的なセキュリティベンダーへ


米フォーティネット インターナショナルセールス&サポート統括バイスプレジデントのパトリス・ペルシュ氏

 フォーティネットジャパン株式会社は1月27日、米本社インターナショナルセールス&サポート統括バイスプレジデントのパトリス・ペルシュ氏の来日にあわせ、「2010を振り返って、そして2011年の事業戦略」をテーマに、プレスブリーフィングを開催した。

 ペルシュ氏は、同社の描くUTMビジョンについて、「セキュリティ市場に向けて、シンプルなソリューション製品を提供することで、イノベーションを推進していくことが当社の事業ビジョン。他社の多くは、1つのセキュリティ機能に対して単体のソリューションを展開しているが、当社の場合は、様々なセキュリティ機能を1つのボックスに集約した統合ソリューションにフォーカスし、高いパフォーマンスを実現している」と述べた。

 また、これまでの事業展開を振り返って、「当社は、2000年の設立当初から海外市場を視野にビジネス展開を進めており、2003年の製品投入以来、統合脅威管理(UTM)市場のリーディングベンダーとして成長を続けている。2005年に出荷台数が10万台に達し、2010年には60万台を突破するまでビジネスが拡大している。また、2009年11月には、NASDAQへの上場を果たし、現在も株価は好調に推移している」と説明した。


フォーティネットのUTMビジョンUTMの市場規模推移

 2010年のグローバル市場での売上高は、対前年同期比33%増の3億7600万ドルに達しており、「昨年は記録的な売上実績をあげることができた。とくに、サービスを除いたハードウェアの売上成長率は21.5%増で、これは市場全体の成長率4.7%を大きく上回るものとなった。また、キャッシュバランスも非常によく、現在約8億ドル規模になっている。このように、財務体質はとても良好な状態であり、引き続き将来への投資を積極的に行っていく」と意欲を見せている。

 UTMを取り巻く市場トレンドについてペルシュ氏は、「ITシステムの様々な領域で集約が進んでいるが、この流れはUTM市場にとって追い風になると見ている。なぜならば、統合ソリューションのUTMを導入することで、エンタープライズ企業はセキュリティに関する複雑さを排除することができるからだ。市場予測でも、ファイアウォール&VPNとUTMの2014年までの年成長率を比べると、UTMの方が高い成長率を示し、市場規模もファイアウォール&VPNを上回ることが期待されている」と指摘する。

 こうした市場環境を受け、2011年の事業戦略としては、「UTMソリューションのイノベーションを続けていくことはもちろんだが、今後は、UTM以外の領域においてもイノベーションを加速していく。すでに、ネットワークセキュリティを始め、Emailセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、データセキュリティ、Webセキュリティ、そしてワイヤレスセキュリティまで幅広い製品ラインアップを揃えているが、これらにマネジメントツールやセキュリティサービスも含めて、エンドユーザーに対して包括的なセキュリティソリューションを提供していく」との考えを示した。

フォーティネットジャパン 代表取締役社長の新免泰幸氏

 続いて、フォーティネットジャパン 代表取締役社長の新免泰幸氏が、日本市場における事業戦略を説明した。

 「日本市場では、2010年の重点施策として、従来から実績をもっているローエンド、ミッドレンジ分野に加えて、ハイエンド分野のソリューションを拡充し、エンドtoエンドのセキュリティを提供できるメーカーに成長していくことを掲げていた。実際に2010年は、ミッドレンジからハイエンドまで、多数の新製品を投入しており、とくに6月にリリースしたハイエンド製品FG-3950シリーズは、Interop Tokyo 2010で審査員特別賞を受賞している。また、エンドtoエンドセキュリティの観点では、アプリケーションセキュリティ製品のFortiWebが7月にICSA Labs認定を取得。さらに、9月には、国内初の認定トレーニングセンター(ATC)を開設した」と、2010年は日本市場でも積極的に事業拡大を進めたという。


日本市場におけるフォーティネットの成長トレンドFortiGateモデルの販売トレンド

 「その結果、厳しい経済環境が続く中で、2010年は、対前年同期比30%増という好調な売上成長を達成することができた。とくに、ハイエンド・ミドルレンジの売上高が大きく成長し、2009年は50%未満だった売上構成比率が、2010年には過半数を占めるようになった」と、UTMソリューションのニーズが中・小企業だけでなくエンタープライズ企業にも確実に広がっていることを強調した。

 日本市場における2011年の重点施策としては、(1)UTMの裾野拡大を図り、すべてのCPEのUTM化を目指す、(2)テレコム、ISP、SNS、iDCなどクラウド時代のサービスプロバイダ開拓、(3)文教・自治体・医療など公共市場カバレージの強化、(4)公益・金融・産業・流通などエンタープライズユーザーアプローチの強化、(5)地域営業増員によるエリアカバレージの強化--の5つを掲げる。

 さらに、ソリューション展開については、(1)既設ファイアウォール/VPNの刷新、(2)新マーケットの開拓、(3)ユニークなソリューション--の3点にフォーカスし、「ソーシャル、モバイル、クラウドという3つの視点から積極的に事業拡大を目指す」という。具体的な取り組みとしては、既設のファイアウォール/VPNから同社UTMへの刷新を推進するとともに、将来的な処理増大への対策に取り組んでいく。新マーケットについては、SNS向け高速・低遅延ファイアウォールやスマートフォン向けVPN、産業設備向けネットワーク仮想化など開拓を目指す。そして、ユニークなソリューションとして、UTM多層防御と設備の集約、クラウドセキュリティ、コンプライアンス関連製品などを積極展開していく考え。


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