NEC、2画面タイプのandroid端末「Cloud Communicator LT-W」をCESでデモ

モバイルギアを意識したキーボードタイプ「Mobile Notebook」も展示、国内で発売へ


Cloud Communicator LT-WとCloud Communicator LT-S

 日本電気株式会社(NEC)は、6日(現地時間)から米ラスベガスで開催された「CES 2011(2011 コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」の同社ブースにおいて、Androidを搭載した2画面タイプの「Cloud Communicator LT-W」(以下、LT-W)を参考展示した。

 NECでは、日本国内向けに、Androidを搭載した1画面タイプのLife Touchを開発。BIGLOBEを通じて「Smartia」として販売しているが、北米市場向けには、これを「Cloud Communicator LT-S」(以下、LT-S)としてリブランドした。

 同社によると、LT-Wは、まず日本での市場投入を予定。米国では、今後、1画面タイプのAndroid端末と、今回参考展示した2画面タイプのAndroid端末の両製品の市場投入を検討している。なお、型番のLTには、Life Touchの意味を込めている。

 さらに、同社ではキーボードが付属したAndroid端末を、型番などを明確にせずに「Mobile Notebook」として参考展示した。

 

書籍タイプの2画面モデル「LT-W」

ブースに展示されたLT-W
NEC パーソナルソリューション事業開発本部統括マネージャーの中野徹氏

 2画面のLT-Wは、135×208×23mmという書籍タイプの筐体に、タッチパネルタイプの7型TFT液晶を2つ搭載。重量も530gとしており、書籍を読むように、片手で持つことができるようになっている。

 CPUには、ARM Cortex A8/Mobile(DDR384MB/ROM1024MB)を採用。無線LAN接続のほか、Bluetoothの利用も可能になっている。インターフェイスはUSB 2.0(Micro B)を1基、USB 2.0(Standard A)を1基、それぞれ搭載。背面に300万画素のオートフォーカスカメラを搭載するとともに、SDHCカードスロットも搭載している。連続駆動時間は約5時間となっている。

 OSにはAndroid 2.1を採用。2画面表示の部分については、NECが独自に開発した「2画面フレームワーク」をアドオンすることで2画面利用を可能とした。今後、OHA(Open Handset Alliance)に提案することで、デファクト化を進めていきたいとしている。

 1画面のLT-Sでは、操作ボタン部分をユーザー企業の要求にあわせてカスタマイズすることが可能だが、LT-Wでは固定としている。

 左右の画面をひとつの大きな画面として使用したり、左側の画面にコンテンツを表示しながら、右側画面で手書きメモを取る、といった使い方も可能とした。

 また、英国で開発中の教育分野向けアプリケーションでは、複数のLT-Wと同期させ、先生側のPCと連携。生徒が持ったLT-Wに書き込んだ内容をリアルタイムで、先生や、すべての生徒の端末に反映するといった使い方提案も行っている。

 「塾との共同開発も進めており、参考書などのデータをLT-Wのなかに格納し、さらに必要に応じてメモを取ったり、参考書データに書き込みをしたり、情報を切り取って張り付けたりといった使い方もできるようになる」(NEC パーソナルソリューション事業開発本部統括マネージャーの中野徹氏)としている。

 LT-Sでは800×480のWVGAであった7型液晶パネルを、LT-Wでは、参考書などの電子書籍データを閲覧しやすいように、2画面ともに800×600のSVGAと高解像度化している。


手書きメモとしても利用できるLT-Wは電子書籍としての利用を想定し、解像度を高めた

【動画】LT-Wの動作の様子(別ウィンドウが開きます)

 

参考展示の目的は「2画面のAndroid端末に対する需要調査」

 CES 2011で参考展示を行った狙いについては、「すぐに北米市場で販売するということではなく、グローバル市場において、2画面のAndroid端末に対する需要がどの程度あるのかいった感触を得ること、さらに北米をはじめとする全世界の開発者にアプリケーションを開発してもらうための足がかりにしたいと考えた」と語る。

 ビジネスモデルは、日本でのLifeTouch同様に、プロバイダーなどに供給し、そこから販売するB2B2C方式を採用。CES 2011への参考出品では、これを採用するプロバイダーのリクルーティングも視野に入れていたといえる。

 なお、日本、グローバルともに、販売店店頭を通じたコンシューマ向けの単体販売は考えていない。

 価格については、プロバイダーなどを通じた販売になるため明らかにしなかったが、「コスト構成比が大きいパネル部分を2枚に倍増したこと、さらに解像度を高めたことから、LT-Sに比べて、全体のコストは1.5倍以上になっている」という。ちなみにLT-Sをベースとした「Smartia」の端末価格は、4万円強となっている。


同じくNECブースに展示されていたLT-SLT-Sは、日本ではLifeTouchとしてすでに商品化されている

 

電子書籍を読むだけでなく、探し出した情報を活用できるツールへ

マンガコンテンツを閲覧し、そこに自由にメモを書き込むこともできる
さまざまなアプリケーションを動作させることもできる

 LT-Wの開発が始まったのは2007年にまでさかのぼる。

 当時、NECではPC事業部門と携帯電話部門との混成ワーキンググループが社内に設置され、世界で通用する製品の開発が進められていた。そのなかで、より小型の端末や、WiFiルーターといった製品とともに、今回の2画面端末の開発が検討されてきた。

 同製品では、携帯電話部門が持つ折りたたみ技術を生かすとともに、PCと携帯電話の中間となる7型というディスプレイサイズで新たな提案を模索した。

 「電子書籍や電子マンガといったコンテンツなどを、アクティブシニアから若者に至るまでの幅広い層で使用してもらえる端末の開発を目指した。リアルの文庫本や新書を読む感覚で利用できる端末の開発が当初の狙いだった」という。

 さらに、「単に電子書籍コンテンツを読むだけでなく、探し出した情報を利用して、自らの思考を支援できるようなツールへの進化を目指した」という。そうした発想が、教育分野での利用提案などにつながっている。

 「より多くの開発者やプロバイダが参加できる環境を整えることで、幅広い領域での活用を期待したい」と中野氏は語る。

 同社では、今回のCESにおける参考展示の反応などをとらえながら、2011年上期には、日本国内での市場投入を予定しているという。

 

モバイルギアを意識した「Mobile Notebook」、近々、日本での出荷を予定

 一方、キーボードタイプの「Mobile Notebook」は、NVIDIAのTegra Mobile Processorを搭載した小型軽量のAndroid端末で、タッチパネル対応の7型WVGA LCDを搭載。OSには、Android 2.2を搭載している。

 キーボードのキートップには、日本語表示がしてあることから、今後、日本での市場投入が見込まれる端末だ。

 NECパーソナルプロダクツ・高塚栄執行役員常務は、「近々、日本での出荷を予定している」とし、まず日本国内市場へ投入する姿勢を明らかにした。

 価格や販売方法、細かなスペックについては明らかにしなかったが、短時間での起動やタッチパネルによる操作など、同社がかつて発売していたモバイル端末「モバイルギア」を意識したものになっているともいえよう。

日本での発売が予定されているキーボードを搭載したAndroid端末「Mobile Notebook」NECパーソナルプロダクツ・高塚栄執行役員常務と「Mobile Notebook」
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