BPOSを進化させた「Office 365」で企業のクラウドニーズに対応~マイクロソフト

包括的なセキュリティ管理を提供する「Windows Intune」も


 マイクロソフト株式会社は25日、クラウドサービスに関する報道向けの説明会を開催。同社が提供を予定する「Microsoft Office 365」、「Windows Intune」といったサービスの概要を説明した。

 

現行オンラインサービス「BPOS」を進化させた「Office 365」

Office 365の位置付け
インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループの磯貝直之部長

 Office 365は、従来の企業向けオンラインサービス「Microsoft Business Productivity Online Services(BPOS)」で提供してきた内容を、さらに進化させたものだ。それがなぜOfficeの名前を冠するに至ったのかについて、インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループの磯貝直之部長は、「クラウドをもっと活用してもらう中では、やはり、当社が長年提供してきたOfficeがITのコアになるのではないか。そのOfficeを中核にしつつ、もっと包括的なバリューを提供できないかと考えた」とする。

 また“365”についても、「いつでも最新のものが使える、インターネットがつながっていればどこからでもアクセスできるといった、クラウドサービスの良さを紹介する上で、最良の言葉として選択した」とネーミングの由来を紹介。この2つの考え方のもとで、“Office 365”のサービスブランドが誕生したと説明した。

 Office 365に含まれるものは、メールやスケジュールの機能を提供する「Exchange Online」、コラボレーション基盤の「SharePoint Online」、IMやWeb会議などの機能を持つ「Lync Online」、OfficeのWeb版である「Office Web Apps」など。BPOSの進化形に位置付けられるため、サービスは企業向けに展開されるが、従来のBPOSでは、社内にきちんとITの仕組みが設けられていて、認証連携などの機能を必要とするような、「いわゆるエンタープライズのITの使い方をしている企業を対象としていた」(磯貝氏)。しかしOffice 365では、小規模企業でのニーズにも応えられるようなラインアップも提供し、クラウド利用のすそ野拡大も目指すのだという。

 そのために用意されるのが、最大50ユーザーまでの規模で利用できる「Office 365 for small Business(プランP)」で、基本的な機能に加えて、25GBのメールボックス、モバイル向けのActiveSync、オンラインのAccessデータベース機能、情報発信などに利用できる外部向けWebサイトといった機能が提供され、従来の「Office Live Small Business」のラインを引き継ぐことになる。また、中小規模向けということで、Active Directory管理には対応していないほか、部門ごとの管理機能といった、大規模向けの機能は省略された。

プランPの概要。「P」は「Professional」の頭文字だという

 一方、既存のBPOSを継承するのは「Office 365 for Enterprise」。フル機能のサービスが「プランE」に、Webアクセスのみに限定した従来の「Deskless Worker」がプランKに引き継がれる。さらにプランEについても、「現在は各製品のStandard Edition相当の機能のみを提供しているが、クラウドでもEnterprise Edition相当の機能を利用したいというお客さまの声に応える」(磯貝氏)目的のもと、ラインアップを4つに拡大した。

 具体的には、現在のBPOSの提供範囲に相当するのが「E1」で、これにOffice Web Appsを加えたものが「E2」。さらに、SharePointのAccess/Excel/Visioサービスや、Exchangeのボイスメール/アーカイブといったEnterprise Editionの機能をカバーし、Office Professional Plusの利用ライセンスもセットにした「E3」、公衆回線との連携機能もカバーする最上位の「E4」が用意される。

 メールボックス容量は、プランKが500MB、プランEが25GB。プランEはさらに、250MBのSharePointストレージも提供される。

 1ユーザーあたりの月額料金は、プランPが626円、プランKが209円。プランEのうち、E1が1044円、E2が1670円、E3が2506円、E4が2819円。

 提供開始はすべて2011年中を予定しており、ベータプログラムの申し込み受付がすでに開始されているが、このベータプログラムのフィードバックを受け、サービス内容は柔軟に変更される可能性もあるとのこと。そのため、価格はすべて暫定的なものになっている。

プランK、プランEの概要。前者は「Kiosk」、後者は「Enterprise」の頭文字から取ったプランEの提供機能と予定価格

 また磯貝氏は、「BPOSはワールドワイドで成長しているが、ビジネス開始当初に想定していたのと比べても3倍の伸びを記録するなど、日本では特に好調。こうしたことを受けて、米本社サイドでも積極的な投資を考えている」との現状を紹介。これを反映して、24時間365日の日本語サポートを、国内かつ無償で提供することになったとも説明している。

 

中小向けのセキュリティ管理を包括的に提供する「Windows Intune」

Windows Intuneの概要
コマーシャルWindows本部 輪島文シニアプロダクトマネージャー

 2つ目のWindows Intuneは、クライアントPCのセキュリティ管理に関する機能を、包括的に提供するオンラインサービス。更新プログラム(パッチ)やソフトウェア/ハードウェアの資産管理機能、ウイルス対策機能に加えて、利用継続中は、PCを最新かつ最上位のエディション(現在はWindows 7 Enterprise)へアップグレードする権利「クライアントSA(ソフトウェアアシュアランス)サブスクリプション」が提供される。

 こうしたサービスをマイクロソフトが提供しようとしている背景の1つには、「OSそのものを安全に保つこと、つまり、更新プログラムを適切に保つことをユーザーは重要視している」(コマーシャルWindows本部 輪島文シニアプロダクトマネージャー)ことが挙げられる。

 また、「セキュリティ対策の課題としては、『手間やコストがかかる』ことが第1位になっている」(輪島氏)とのことで、サーバーを用意する必要がなく、“管理のための管理”を気にせず利用できるクラウドサービスは、こうしたニーズにうってつけなのだという。加えてWindows Intuneでは、Windows 7 Enterpriseへのアップグレード権を使うことで、ドライブの暗号化機能(BitLocker)や、クライアントOSを1つに統一することによる、OSのサポート省力化も期待できる。

 輪島氏は、こうしたメリットを総括して「更新プログラムでOSそのものを安全にし、ウイルス対策で外部からの脅威に対策し、BitLockerで紛失・盗難対策を行える。Windows Intuneでは、セキュリティに関する総合的なサービスを提供できる」と述べ、その有用性を強調した。

 提供予定は2011年上半期で、国内での価格は未定。ただ、米国ではPC1台あたり月額11ドルでの提供となっており、国内でもこれに準じた価格になるのではないかとした。また、すでにクライアントOSのSAを保有しているユーザーや教育期間向けの割引価格も用意する予定で、SA保有ユーザーに対しては6割程度の価格を計画しているとのこと。

 このほか、Windows Intuneの契約終了後もWindows 7 Enterpriseを継続して利用したいユーザー向けの、ライセンス買い取りオプションも提供される予定。管理対象のOSは、Windows XP Professional SP3以降のビジネス系SKUを推奨する。

Windows Intune(ベータ版)のトップ画面PCのハードウェア、ソフトウェアの資産情報も表示できる。この画面に表示されているように、仮想マシンの管理も可能だ
個々のアラートについては、トラブルシューティング情報も参照できる。現在は英語だが、正式提供時には、きちんと日本語化される予定とのことパッチの管理画面
管理対象のPCには、軽量のエージェントをインストールするクライアント側の画面
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