日本IBM、自動階層化と仮想化に対応したミッドレンジストレージ「Storwize V7000」

ハイエンドストレージの“いいとこ取り”を実現


IBM Storwize V7000
システム製品事業 ストレージ事業部長の山崎徹氏

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は8日、自動階層管理と仮想化の両機能を備えたミッドレンジSANストレージ「IBM Storwize V7000」を発表した。最小構成価格は607万5000円(税別)からで、11月12日の出荷開始を予定する。

 Storwize V7000は、ミッドレンジストレージとして初めて、自動階層管理とストレージ仮想化の両機能を実装した製品。製品単体でも、2Uサイズの筐体に24台のSSDまたはSAS HDDを内蔵可能なほか、最大9台まで(発売時点では4台まで)の拡張筐体を増設でき、最大240TBまでの大容量をサポートする。インターフェイスは8GbpsあるいはGigabit Ethernet(iSCSI)を搭載可能だ。

 日本IBM システム製品事業 ストレージ事業部長の山崎徹氏は、Storwize V7000を、「ハイエンド製品のいいとこ取りをして、2Uの筐体に凝縮した製品だ」とこの製品を評する。いいとこ取りをした機能とは、具体的には1)DS8000シリーズの自動階層化機能「Easy Tier」、2)SANボリュームコントローラー(SVC)のストレージ仮想化機能、3)XIVの使いやすい管理コンソールの3つ。

 このうち、1)のEasy Tier機能は、アクセス頻度に応じて、キャッシュメモリ、SSD、HDDといった、I/O性能の異なる3つの階層に自動でデータを再配置し、より高いパフォーマンスを発揮させる自動再配置機能。全容量の2%分のSSDを活用した場合で約2倍、10%分のSSDを活用した場合で約3倍の性能向上が見られるという。また、「最小16MBから管理単位を設定でき、必要に応じてサイズをチューニングできるのが大きなポイント」(山崎氏)とのこと。

 2)のストレージ仮想化機能は、他社製品を含めたストレージを接続し、複数のストレージをあたかも1台のストレージであるかのように見立てて利用できる機能。Easy Tier機能との併用も可能で、接続した外部ストレージを含めて、効率のよいデータ活用を実現できる。

 この機能のメリットは、他社製品を含めたストレージの既存資産を最大限生かせる点で、山崎氏は「仮想化して柔軟性を高めることで、ストレージの使用効率を平準化でき、効率を最大30%向上。さらに、複品の管理インターフェイスを使ったり、複数製品の容量を個別に管理したりする場合と比べて、管理の効率も最大2倍に向上できる」と、その価値を強調した。なお、接続できるストレージ、サーバーは、富士通やNECといった日本企業の製品も含めて150種類以上にものぼっている。

アクセス頻度に応じて、自動でデータを再配置できる他社製ストレージを含めて、接続したストレージを1つに仮想化することができる

 3)の管理コンソールでは、専門知識がなくても直感的に操作できる、XIVの管理ツールを継承。シンプロビジョニングについても容易に設定できるという。この管理ツールについて山崎氏は、「ミッドレンジ製品ということで、ストレージ専門の管理者以外が操作するケースも多々あることが予想されるため、特に効果的ではないか」と、価値を説明した。

 価格は607万5000円(税別)からで、Easy Tierとシンプロビジョニング、FlashCopyの各機能は標準で提供する。ストレージ仮想化機能はオプションとなり、接続するストレージの容量に応じて、別途ライセンスを購入する必要があるとのこと。また、米IBMが買収した、ストレージ圧縮技術を手掛ける「Storwize」の社名をブランドに採用しているものの、圧縮、重複排除といった機能は搭載していない点にも、注意が必要だ。

 さらに今回は同時に、SVC単体についても新製品「SVC v6.1」が発表された。Storwize V7000と同様のソースを使っているため、Easy Tierや直感的な管理ツールなど、同製品の機能はこちらでも利用可能。ただし、Storwize V7000より拡張性に優れるほか、従来通りストレージを内蔵せず、仮想化専用アプライアンスとして提供される点などが、Storwize V7000と異なっている。参考価格は、接続するストレージ容量が10TBの場合で1430万600円(税別)。

専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏

 なお、専務執行役員 システム製品事業担当の薮下真平氏によると、日本IBMのサーバー・ストレージ事業は、「2010年4~6月は、サーバー市場で久々に、当社が首位に返り咲いたし、ストレージも非常に好調」とのこと。薮下氏は、そのストレージを特に引っ張っているのがSVCとした上で、「こうしたストレージ仮想化製品は2006年~2007年ごろから紹介をしてきたが、お客さまはまだ勉強段階だった。しかし今年は勢いがあり、ストレージの伸びをけん引している」と述べ、この市場で盛り上がりが見られるとした。

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